海外EC調査部

アフリカのアマゾン、JUMIA(ジュミア)〜JUMIAについて〜

海外EC調査部2021-10-12

前後編の2編にわたってお届けしている今回。
前編では、私たちにはやや縁遠い地域で発展を目指す「JUMIA」を知るために、必要なアフリカの背景を部分的に取り上げた。
後編では、前編を踏まえた上で、JUMIAとはどんなECプラットフォームなのか、どんなサービスを展開・提供しているかを、いくつかの数字とともに紹介していきたい。

JUMIAの概要

前編で記したように、JUMIAはアフリカ54か国中11か国でサービスを展開。そしてアフリカ以外には、中国・ポルトガル・UAEにも拠点を構えている。

大きく分けて3つの事業を展開しており、主軸はマーケットプレイスだ。

  • マーケットプレイス
  • オンライン決済サービス(フィンテック)
  • ロジスティクス

2021年1月にJUMIAが出している資料を参考に市場規模といくつかの数字を見てみよう。
JUMIAのマーケットプレイスには年間670万人のアクティブコンシューマーと年間11万人以上のアクティブセラーがおり、1年間に2800万件の注文が発生している。
その年間GMV(流通取引総額)は約10億ドル(約1116億円)で、商品数は4000万点以上。
後述のオンライン決済システム、「JumiaPay」を使用しての取引は、2020年第3四半期には34%にも上った。

2019年の売れ筋の商品カテゴリーは、上位からファッション、デジタルサービス、携帯・スマホ、生活雑貨などだ。
やはり、固定電話の普及を飛び越えスマホの普及が進んでいることもあり、モバイル関連の購入やデジタルサービスの利用も比較的盛んなことが見受けられる。
ちなみに、ケニアと日本を比べれば、モバイルペイメントの利用率は実はケニアの方がずっと高い。

2019年2月にナイジェリア、ケニア、モロッコ、コートジボワールの4か国で行われたJUMIAに関する調査によると、アフリカで過去1年間にオンラインショッピングをした人の78%がJUMIAを利用しており、またそのうちの88%がJUMIAで再購入もしている。
オンラインショッピングをしない回答者でも、78%がJUMIAのことを知っており、その中の62%が今後1年以内の利用を検討していると答えたそうだ。
JUMIAは着実にその認知度と信頼を獲得しつつあると感じさせる結果である。

このように見ていると、JUMIAにも、アフリカ全体にも、まだまだ成長の可能性とポテンシャルを感じられる。

JUMIAのミッション

JUMIAはそのミッションとして、「テクノロジーを活用してアフリカの日常生活を改善する」ことと併せ、次の3つを掲げている。

・新しいサービスの提供

Jumiaは、アフリカの消費者が日常の基本的なニーズを満たすことができるよう、革新的で、便利で、手頃な価格のオンラインサービスを提供しています。

・中小企業の成長を促す

Jumiaは、アフリカ経済全体をオンライン化し、中小企業や大企業が成長し、新しい消費者を獲得できるよう支援します。

・持続可能なインパクトの創出

Jumiaは、アフリカの新しい世代が生活を築き、国をより良くするための仕事とスキルを創造します。

JUMIAは現在、モバイルで何でも注文できるようにと力を注いでおり、フードデリバリー事業も展開している。
さらには通話料金、公共料金、学費などの支払いもできるようになっているのだ。

(引用・自動翻訳:JUMIA, About us, Services for Consumers

また、アフリカには現在、1700万もの中小企業と個人商店がある。
JUMIAがアフリカ経済のオンライン化を牽引することで、多くの中小企業や個人商店が今まで届くことのなかった顧客へリーチすることが可能となる。

そして、前編で述べた通り、アフリカの人口は今後急増していく見込みであり、雇用の創出は急がれる課題だ。
テクノロジーの進化とともに、新たな雇用の創出とインフラ整備が進み、経済が発展していけば、人口の増加を賄うだけでなく、強みとして変えていくことができるだろう。

ここからは、このJUMIAの主軸であるマーケットプレイスを支える、JUMIA独自の決済フィンテックとロジスティクスについて紹介していきたい。

デジタル決済 JumiaPay

JumiaPayはJUMIAが提供している無料のオンライン決済サービスだ。
アフリカの国々ではそれぞれ異なる通貨が使用されており、それらの支払いを安全かつスムーズに処理できる決済ソリューションは今までなかった。
しかし、JumiaPayは、アフリカ11か国での支払い決済の摩擦を取り除くことに成功。
多数のモバイルペイメントの選択肢がある中で、この展開国の多さを強みにアフリカの国々の隔たりを無くしていくことを目指している。

さらに、JumiaPayはオンライン決済だけでなく、幅広いデジタルサービスや金融サービスの配信を促進している。
近日のうちにビジネス管理などができる機能を備えた「JumiaPay for Buisiness」もリリース予定のようだ。

ロジスティクス・ソリューション Jumia Logistics Services

(引用:https://group.jumia.com/news/jumia-logistics-services

アフリカでメーカーやブランドが事業を展開する際、直面しがちなのが輸送や配送の問題だ。
広大な土地に、整っていない交通インフラ、リスクも伴う現金決済など、解決すべき課題は多く、また一つ一つの壁が大きい。

上の図「アフリカにおける複数の課題」を左から訳すと、

  • 代引き
  • 輸送とインフラの不足
  • 非常に断片的な物流パートナー
  • 未熟な技術インフラ
  • 収納スペースの問題
  • 住所不備

[simple_tooltip content=’※ラストワンマイルとは、物やサービスが消費者に到達する物流の最終接点のこと’]JUMIAも同様、創設時は「ラストワンマイル」への課題があった。[/simple_tooltip]

(引用:https://group.jumia.com/news/jumia-logistics-services

そこで、彼らは消費者へシームレスな配送を提供できる独自の物流プラットフォームを構築。
倉庫から配送トラッキング、返品処理までを一貫して自社の管轄で行うようにした。
アフリカ11か国に展開するJUMIAだからこそ実現できる配送規模と、リーチの長さ、技術でエンド・ツー・エンドのロジスティクス・ソリューションを提供している。

都市部であれば、要求があった際に1時間以内での配達もしているとのことだ。

そして現在では、JUMIA以外からの注文も含めた、あらゆる種類の荷物の配送に、このロジスティクスサービスを利用できるようになっている。
JUMIAのテクノロジーとネットワークを活用して、配送やロジスティクスのニーズに応えたいと考えているアフリカのサードパーティ企業にこのサービスを提供しているのだ。

まとめ

今回は、アフリカの現状についての情報のアップデートも兼ねつつ、今後の成長と発展が期待されるJUMIAについて紹介してきた。
しかし、ここで記載した内容は断片的なものに過ぎず、アフリカが直面している課題は今もなお深刻で、解決に困難を極めている状況であることも事実。
今回のようなデジタル化の推進など、喜ばしいニュースも耳に入れつつ、本当の意味で全体を底上げしていくためにも、多くの人がアフリカを含む積極的な支援が必要な地域の実情に関心を持ち、力を注いでいくことが必要だろう。


参考:
https://s23.q4cdn.com/836376591/files/doc_presentation/2021/01/Jumia-Needham-conference-January-2021.pdf

https://group.jumia.com/business/pay

https://group.jumia.com/news/jumia-logistics-services

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