Reuse for the Future

消費社会へ一石を投じるグリーンフライデー

Reuse for the Future2021-10-19

Amazonのプライムデー、楽天のスーパーセール、タオバオのダブルイレブン。
クリスマスセールならブラックフライデー。
オンラインショッピングに親しんだ消費者ならおなじみのセール名だ。
この期間を狙って買い物をするという人も多いのではないだろうか。

今回紹介するのは、ブラックフライデーならぬ「グリーンフライデー」
通常のセールとはまた違った趣旨の、SDGsにも深く関わる活動だ。

消費社会へ苦言を呈す、グリーンフライデー

グリーンという言葉から何を連想するだろうか。
緑色は一般的に、自然などの森林、環境に優しいもの・事柄のイメージとして使われる事が多い色だ。
グリーンフライデーも例に違わず、「環境に配慮したサステナブル(持続性のある)消費を推進する」活動や期間を指す言葉である。
発案者はフランスの慈善団体で、主にゼロ・ウェイストやフェアトレード製品を扱う企業などが賛同をしている。

グリーンフライデー推進協会のwebサイト
https://greenfriday.fr

後述でも触れるが、元々フランスでは「大量に生産・大量に売買・大量に消費への批判」の声が大きく、そこで提起されたのがグリーンフライデーなのだ。

フランスでの動き ~グリーン&ブラック~

大量消費を抑制する活動「グリーンフライデー」に対し、世界規模セール「ブラックフライデー」は大量生産・大量消費を促す、言わば対極にあるイベントだ。
ここ数年で日本でも徐々に浸透しつつある大規模セールだが、環境意識の高いフランス国内では、「購買意欲を煽られ大量に不要なものを購入してしまう期間だ」と年々批判の声が高まっていた。
グリーンフライデーが生まれた背景には、ブラックフライデーに抵抗するフランスの人々のエシカル消費意識の高まりがあるのだ。

[nlink url=”https://wasabi-inc.biz/2021/09/22/reuse_column_sdgs-esg2/”]

グリーンフライデーの活動例は、以下の通り。

・企業がブラックフライデーへの不参加を表明(大量生産と売買への抗議)
・グリーンフライデーと銘打った期間の売り上げの一部を、慈善団体や市民団体に寄付
・NGO団体による「持ち寄った製品を修理する」イベントの開催

SDGsとグリーンフライデー

グリーンフライデーの理念は、SDGsで言うところの「⑫つくる責任つかう責任」「⑧働きがいも経済成長も」の2項目に密接に関わっている。

⑫つくる責任つかう責任
大量に生産し、消費し廃棄するという一方方向へのサイクルから、衝動買いでなく品質の良いモノを厳選購入し、修理やリユース売買を通して出来るだけ長く循環させる。

⑧働きがいも経済成長も
一極集中の安売りセールは、従業員の業務の負担にもなる。
業務過多による労働環境の悪化、肉体的な疲労により、安全に安心して仕事ができる環境では無くなる。

消費者側だけでなく、生産者側の問題にも言及しているのがフランス国内での特徴である。

今後の日本ではどうなる?

まだ日本では馴染みのないグリーンフライデーだが、2020年からは以下のような事例もある。

(引用元:お客さまをお呼びして「新作ゼロ!グリーンフライデーサステナブルファッションショー」を実施しました!#メルカリな日々https://mercan.mercari.com/articles/25943/

「サステナブルファッションショー(メルカリ)」

一般参加者から募集した不要になった服や「メルカリ」で購入した服を活用したコーディネートをファッションショーで披露

(引用:メルカリ グリーンフライデープロジェクト 新作ゼロの「サステナブルファッションショー」をオンラインで開催https://about.mercari.com/press/news/articles/20201113_mercarigreenfriday/)

「サステナブルストア(メルカリ)」

2021年11月25日~11月27日の期間限定でユーズドアイテムの購入を通じて身近なサステナビリティが体験できる、メルカリ初のお客さま参加型ファッション実店舗「サステなストア」を表参道にオープン

(引用:「メルカリ グリーンフライデープロジェクト 2021」始動 身近なサステナビリティを体験できる、メルカリ初のファッション実店舗「サステなストア」を表参道に期間限定オープンhttps://about.mercari.com/press/news/articles/20211005_sustaina-store2021/

また、イケアではバイバック(買い取り)フライデーというキャンペーンが行われた。

イケアは、77年間の歴史で初めて、世界27カ国のイケアストアにて、数千点におよぶ不要になった家具を買い取り、その製品を必要とする新しいお客さまに使っていただく#BuybackFridayキャンペーンを行います。
販売がむずかしいと判断された製品は責任を持ってリサイクルします。

(引用:イケア、ブラックフライデーに代わる#BuybackFridayキャンペーン開催https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000065734.html

明確にグリーンフライデーと銘打ったものではないが、サステナブルなライフスタイルを目指すという観点から、趣旨としては同じと考えられる。

最後に

日本ではまだ知名度の低いグリーンフライデー。
しかしながら、企業のSDGs参画に比例し、持続可能な社会を目指す活動は更に加速するだろう。
それに伴い、近い未来日本でもグリーンフライデーのような大量消費に抗う動きが活発化するかもしれない。


参考URL:

市民が環境問題への対応を政府と企業に迫る、フランスの現状
https://diamond.jp/articles/-/259759

仏で「グリーンフライデー」運動、政府も買い控え支援
https://www.alterna.co.jp/28918/2/

この金曜日はブラック?グリーン?Black Fridayをめぐるふたつの動き。
https://ovninavi.com/blackfriday/

ブラックフライデーを「放棄する」企業、何が起きているのか?その皮肉な現実
https://www.huffingtonpost.jp/entry/black-friday-boycott_jp_5dddcdbce4b0913e6f75ab13

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