海外EC調査部

世界最大級のオンラインマーケットプレイス eBay

海外EC調査部2022-02-09

会社概要

eBayの歴史はECの歴史の縮図と言っても過言ではありません。

1990年代、80年代以来のパソコンの企業と個人への普及とワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web)の出現に伴い、「ネット世界」のインフラが作られ、完備されてきました。
インターネットを通じて、ウェブページの上で商品やサービスを買ったり売ったりするのが現在では当たり前ですが、当時としては画期的な発想でした。

1995年、ソフトエンジニアのPierre Omidyar(ピエール・オミダイア)が労働者の日の休暇を利用して、AuctionWebというオークションウェブサイトを作りました。
AuctionWebで初めて取引成立したのは一本の壊れたレーザーポインターです。
オミダイアはこの商品を買ったユーザーが購入を間違えたのではと考え、ユーザーに確認し尋ねました。
ところが、ユーザーは自分のコレクションのためにわざと買ったと答えたのです。
この経験に彼は強く驚き、ECの未来の可能性に確信を持つことになりました。

(1995年当時の創立者ピエール・オミダイア。引用:www.ebayinc.com

それから、史上初のオンラインオークションマーケットプレイスとして、大人気となり、急成長が始まりました。

1997年、ウェブサイトの名前がeBayに変更されました。
もともとオミダイアは自分の顧問会社Echo Bay Technology Groupの名前に従って、echobay.comにしたかったが、そのドメインがすでにほかの会社に取られたので、echobayを短縮して今のeBayとして登録しました。

1998年9月21日、eBayがNasdaqに上場しました。
それから、eBayの取り扱う商品がコレクターズアイテムからほぼすべての売られる商品に広がり、総合オンラインマーケットプレイスに転換しました。

2002年、いわゆるインターネット・バブルが崩壊し、IT業界に莫大な打撃を与えました。
商品カテゴリの拡大や海外市場の進出などの取り組みのおかげで、eBayがこの危機を乗り越えました。同年六月に、決済大手のPayPal(ペイパル)を買収しました。

2020年、eBayの年間GMV(流通取引総額)は1,000億ドル(約11.38兆円)となり、売上は103億ドル(約1.17兆円)となりました。
最新の2021年第三季刊報告によると、7月から9月までの決算期間では、GMVは199億ドル(約2.26兆円)となり、売上は25億ドル(約2,845億円)で昨年同期と比べて11%増長しました。
注目すべき点は、越境ECでの売上の52%を占めていることです。

2021年、アクティブバイヤー数は1.52億人を超えました。
現時点で、eBayは190カ国でサービスを提供しています。

取り扱い商品の傾向

eBayでは中古と新品両方とも扱われています。
しかも、商品の種類も幅広いです。
日用品やホビーなどの手軽な商品から、ブランド品のような高価商品まで、毎日15億点の商品が常時出品されています。

eBayは世界中でコレクターズアイテムを探す本場です。
普通は価値がないと思う不用品が他の国のだれかにとってとても貴重なものになるかもしれません。

eBayは、日本国内市場向けのQoo10というオープンマーケットプレイスも運営しています。
2020年、Qoo10の会員数が1,750万人を突破しました。

サービスの特徴

eBayの最大の特徴は、アマゾンなどのバイヤー中心のモールと違って、セラーを中心にすることです。
より多くの販売者が出品する事で、プラットフォームが更に活性化するという原理です。
eBayに出店する中小企業や個人事業者が多いので、海外販売に関するサポートが必要となります。
そのため、eBayが販売サポートという販売者向けのサービスを提供しています。
他にも越境ECに関するいろいろな情報も定期的に配信しています。

eBayは販売者や購入者にもっと安全安心なマーケットプレイスを作るために、セラー保護プログラム、eBay知的財産保護プログラムや真贋保証などのサービスも提供しています。

もう一つの特徴は販売の形式です。
eBayでは、オークションと「直接買う」(定価出品)二つの売り方があります。
販売者が自由に商品の特徴に応じて適切な売り方を決められます。
この形式は特に中古商品の販売に相性がいいと思います。

近年、単一のカテゴリに特化したオンラインプラットフォームが増え、競争も激しくなっています。
2012年、eBayは中国市場から撤退しましたが、中国以外の地域では依然として強い影響力を持っています。
しかも、取り扱う商品種類の多さと膨大な利用者数で、今でも世界の越境ECをリードしていると言えます。

日本企業の進出について

デジタル世界の中で、情報の往来に国境というものはありません。
ですから、インターネットにアクセスできるデバイスがあれば、どこでもいつでも世界に繋がれます。商品の往来も同じです。言語や法律の違いによって生じる問題を越えれば、自由の往来ができます。

日本の経済は、バブル崩壊以降、低成長を経験してきました。
特に少子高齢化の影響で、国内の消費市場が伸び悩んでいます。
それに対し、日本からの越境ECの市場規模は近年急成長し、今後も大幅に伸びると予測されています。
国内消費に依存していた企業、特に中小企業は危機感を感じ、越境ECを利用して海外進出を図りました。

(2021年度のeBayトップセラーランキングです。引用:https://www.webretailer.com/b/worlds-top-ebay-sellers/

webretailer.comの統計によると、2021年eBayのトップセラーの数の一番多い国はイギリス、アメリカとドイツとなっています。
日本は10位内にも入っていません。
海外販売についての知識や人手不足などのハードルがありますが、eBayのような低コストで簡単に全世界に出品できる越境ECモールを利用すれば、中小企業の海外進出はきっとスムーズに進むと信じています。

コロナの影響で、全世界の人々のライフスタイルが変化しています。
各国の水際対策のため、入国制限があって、その国の商品を直接買うことができなくなりました。
それが原因で、インターネットを使って外国の商品を買う人が増えています。
ウィズコロナの将来でも、この傾向が続くと思います。

海外進出なら、今こそチャンスだと思います。
世界市場のトレンドを見込み、多様な越境ECプラットフォームを活用して、商品の販路を拡大しましょう。

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