海外EC調査部

プレミア・限定盤商品オンリーの取引プラットフォーム KREAM(クリーム)

海外EC調査部2022-02-14

概要

韓国で一番利用されているポータルサイトNAVERを聞いたことがありますか。
韓国の国民の9割以上がネイバーを使います 

今日の主人公はNAVERではなく、NAVERの子会社のKREAMという会社です。

KREAMは2020年からサービスが開始されたプレミア商品・限定版のみを扱う取引プラットフォームです。
限定版商品の定価品の有無、瑕疵及びクオリティなどを正規品であるかどうかを検収して販売者と購入者間の仲介業をします。

現在韓国ではリセール事業に関連し、リユースなど環境にやさしい事業が進められています。
KREAMはこのようなアイテムの事業へいち早く乗り出しました。
さらに、限定版というタイトルでアイテムを選別するため、従来のリセール事業とは違いプレミアム感が出るのです。
限定版・プレミアム商品のみを取り扱うジャンルのプラットフォームはシェアは、KREAMがほぼ国内シェアを独占していると言えます。

KREAMのサービス

基本は取引仲介プラットフォームで、販売者と購買者を匿名で繋いでくれるサービスを提供しています。
販売者が販売又は希望する価格を提示し、購買者が当該価格を承諾するという具合です。

販売する者・購入する者同士の交渉で値段が決まる取引の特性上、いずれも新品であるという前提が必要なため中古品等は取り扱っていません。

主要取引品目は衣類やファッション雑貨などの限定版商品で、俗に言うリセール(Re-sell)取引プラットフォームと考えれば良いと思います。

特に一般的な直接取引プラットフォームとは違い、売り手と買い手はすべてKREAMを通じて取引をします。
販売者が物をKREAMへ送り、KREAMが検収、購買者に発送する方式で行われます。

利用者の特徴

リセールはMZ世代の多くの人に自分を良く見せること(いわゆる「ショーマンショップ」文化)とも関係が深く、人気を集めています。
最新のトレンドを真似て、これをSNSに載せて誇る「フレックス(Flex)文化」がリセール市場を育てているのです。
特に消費者の好みを表せる商品はリセール市場でも高く、 「ベアブリック」や「マーべルキャラクターフィギュア」などのおもちゃが代表的です。

割と少ない費用で高い収益率を上げることができるという点で、リセールは若者たちの投資先に挙げられてます。
特にスニーカーは1万~2万円程で値段が安く、手に入れる方法も主にランダム抽選方式のため応募のハードルが低く、好まれています。
KREAMだけでも加入者は160万人を超え、このうち20代や30代が80%に達します。
アメリカを代表するリセールプラットフォームのストックエックスのアンケート調査によると、利用者の約37%は限定版スニーカーの購入動機として「投資目的」を挙げていました。
それだけ今、リセール市場で流行っているということです。

MZ世代とは ? 

1980年代初めから2000年代初めに生まれたMillennials世代と1990年代半ばから2000年代初めに生まれたGeneration Z世代のことを言います。

デジタル環境に慣れたMZ世代は、モバイルを優先的に使い、最新トレンドと他人とは異なる経験を追求する特徴があります。
特に、MZ世代はSNSを基盤に流通市場で強い影響力を発揮する消費主体に浮上しています。

 KREAMの展望、これから出店が可能なのか?

(引用元:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2022/0201/0a57c90175aa4216.html)

KREAMは今年、日本や東南アジアでブランドリセールプラットフォームをサービス提供予定のようです。

日本には直接進出し、東南アジアは現地のプラットフォームと連携する形でサービスをリリースする説が有力です。
ネイバーの関係者は「リセールの特性上、高価なブランド品が多いため、商品の国家間移動では送料だけでなく、関税と付加価値税が相場形成に影響を及ぼす」とし、国別進出戦略を検討しています。

KREAMが日本·東南アジアに目を向ける背景は、リセールプラットフォームをグローバルサービスに拡大するためです。
KREAMのグローバル戦略は、この分野の元祖である世界最大のスニーカーリセールプラットフォーム「ストックエックス」に似ています。 2016年アメリカで誕生した「ストックエックス」は、全世界のMZ世代のリセール人気に後押しされ、ヨーロッパに続き日本、香港、オーストラリアなどアジアへの積極的な進出を続けています。
現在200ヶ国·地域でユーザー2億人以上を確保し、商品取り扱い数は10万個に迫っています。

ストックエックスの場合、3年ぶりにユニコーンとしてデビューし、最近4兆ウォン(4,000億円)以上の企業価値を認められています。
ストックエックスのサービスはKREAMとさほど変わりません。

IT業界の関係者は「リセール市場では有名ブランドや芸能人との提携を通じて商品の希少性を強調することが重要だ」とし「現地のデザイナーらとのコラボレーションを通じて商品の競争力を強化し、MZ世代のユーザーをより多く確保しようという戦略」と説明しました。

まとめ

現在KREAMは日本と東南アジアへ向け進出を準備中であり、既に韓国では「アウトオブストック」が日本のスニーカーマーケットプレイススニーカーと独占パートナーシップを結んでいます。
ロッテショッピングの東南アジアネットワークを活用する方案も模索しているそうで、出店もまもなくと予想できます。 

今後も、世界のスニーカーリセール市場の潜在成長力は大きいと思います。

アメリカの投資銀行コーウェン&コーによると、2025年世界スニーカーリセール市場規模が60億ドル(約6,000億円)で、昨年の20億ドル(約2,000億円)より3倍以上大きくなると推定されています。 

市場全体の流れを見て、現在のコロナ時代で捨てられたりするアイテムを事業的な視点を持って環境に寄り添う姿勢から、かなりの成長が期待できそうです。

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