海外EC調査部

OZON ―ロシアの「アマゾン」と呼ばれる人気モール

海外EC調査部2022-02-22

概要と沿革

(引用:www.ozon.ru

ozon.ru(以下、オゾン)はロシアの総合オンラインマーケットプレイスです。
1998年、Reksoftによって最初はオンライン書店として創立され、ロシアのEコマース業界の先駆者とみなされています。

2001年からは取り扱う商品の範囲が広がり、総合的なマーケットプレイスになりました。
また2005年には、ロシア初のEコマース専用の流通センターを建設。
2011年、複数の投資者から1億ドルの投資を受け、ロシアでEコマース史上最大の民間投資になりました。

2020年11月、オゾンはアメリカのナスダックとモスクワ証券取引所へ同時に上場。
これによって、世界資本市場で一番成功したロシアIT企業と言われています。

オゾンによれば、2021年のGMV(流通取引総額)は59億ドルになり、前の年より125%増加しました。アクティブユーザー数は5,000万人を超え、ロシア人の三分の一がオゾンを利用している計算になります。

2021年から、ロシア以外の市場にも進出し始めました。
同年、ベラルーシとカザフスタンでサービスを開始し、今後も旧ソ連の加盟国いわゆるロシア文化圏に積極的に進出すると予測されています。

ビジネスモデル

オゾンは自社のモールサイトで小売業者として商品を販売している一方で、全世界の第三者の販売者たちにロシア国内市場向けのオンラインマーケットプレイスも提供しています。

販売者が商品をオゾンで売ったら、販売手数料が取られます。
他の総合的なモールと同じように、商品の販売手数料はカテゴリによって異なります。
現時点では(2022年2月)約2%〜13%ですが、最近の世界的なインフレのため2022年の半ばには4%〜15%へ引き上げられる予定です。

オゾンは自社で商品の配送もしていますので、自社配送を選択すると送料を加えられます。

流通センターと配達サービス

創業最初にネット書店から総合オンラインマーケットプレイスになった点は、アメリカのアマゾンに似ています。つまり、ロシアの「アマゾン」と言うわけです。
成長過程だけでなく、ほかの一点もよく似ています。
それは流通を重要視することです。
アマゾンと同じように、オゾンも自社が配達サービスを提供しています。

(大胆なデザインで目立つオゾンの配達車。引用:https://www.gamingdeputy.com/ozon-shocked-buyers-with-an-unexpected-innovation/

これで他社の配送順番を待たずに、速い配達ができます。
オゾンの統計によれば、速達サービスを導入しはじめた2006年の売上が前の年より77%伸びました。ネット通販では、配達の速さはやはりとても重要な一環に間違いありません。
消費者にとって全体的なサービスの質が上がった印象を与えるので、人気になるのは当然なことだと思います。

コロナ禍での急成長

コロナ禍によりロシア政府が厳しい規制をとったため、在宅自粛の人が急激に増えました。
これを背景にネット通販の需要も急激に伸びてきました。
利用者の間で人気があるオゾンは、自然と好調になっています。

(配達パックを準備しているスタッフたち。引用:https://www.yuga.ru/articles/society/9533.html

ネットで食品や生活用品への需要に応じて、オゾンが料理の配達や1時間以内の商品配達などのサービスを始めました。これらの新しいサービスがもちろんコロナ中の急成長に貢献しています。
オゾンによると、2019年のGMV成長率は93%、2020年には188%、2021年には125%です。

日本からの出品と購入

出品の場合は、販売者向けの日本語対応があります。
マーケティングや分析などの販売者へのサポートサービスも充実しています。

(販売者へのサポート。引用:https://global.ozon.com/jp

ただし、オゾンでは中古品の出品ができません。

オゾンに出品するには、まずオゾンの登録ページ(https://seller.ozon.ru/app/signup)でアカウントを作る必要があります。
セラーの資格の審査を受けるため、会社の情報や書類も必要です。
セラーアカウントの登録と審査が完了したら、出品や受注などの全ての機能が管理画面でアクセスできるようになります。
海外販売の場合は、30日(プレミアム会員の場合は60日)以内の返品ができます。

詳しい情報はオゾンのヘルプサイト(https://global.ozon.ru/en/docs/launch/)にあります。

オゾンは主にロシア国内向けで、サイトも全てロシア語(ほかの言語の公式翻訳はありません)なので、日本からの購入は一般的にできません。

まとめ

OEC(The Observatory of Economic Complexity. 貿易情報分析サイト)2019年度の統計によれば、ロシアの最大の貿易相手国はヨーロッパ連合と中国です。
二つの経済体とも地理的な近隣国あるいは国の連合ですので、ロシアはやはり伝統的な大陸国家の傾向が強いと考えます。
旧ソ連崩壊後、市場経済制度の導入やグローバリゼーションによって、ロシアの経済は世界経済の一環となりました。
また、近年のEコマースの発達に伴い、ロシアは更に広い範囲の国と地域との経済連携の可能性が増えてきました。
世界的な資本市場の波に乗っているオゾンといったロシア企業はまさにその可能性を実現する先駆者になっています。

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