海外EC調査部

市場を揺り動かす東南アジアEC―Carousell(カルーセル)

海外EC調査部2022-03-08

概要

彼らは、シリコンバレーで「ドロップボックス」がどのように成功したのかを目撃しました。
そこから、自分たちが使っていない中古品を簡単に販売できるサイトを開発しようというアイデアを閃き、ユーザーが急増しているモバイルアプリを中心に開発しようという意見を集めました。 

インターンシップを終えてシンガポールに帰国後、販売アイテムを衣類や電子製品だけでなく、自動車、不動産、さらには職業を含む様々なアイテムを販売しています。 

カルーセルは他のオンラインプラットフォームと同じように、ユーザーが使わなくなった物や望まない中古商品の写真を撮り、詳細事項と一緒にアップロードして個人間の直接販売を仲介するプラットフォームです。

サービス

スマートなAI機能

利用者が販売する品目の写真をアップすると、イメージ認識技術でサイトが自動的に該当項目を識別し、適切なカテゴリーとタグを適用させます。
このような過程を通じて、カルーセルは、商品登録時間を現在の30秒から最終的に3秒に短縮することを目標にしています。

そして、商品販売を更に効率化するため、カテゴリーとタグだけでなく商品の適切なタイトルと価格を提案するシステムを作り上げました。 

(引用:https://www.facebook.com/thecarousell/)

カルーセルは「写真を撮って売り、チャットで買う(Snap-Sell、Chat Buy)」をモットーに掲げています。
スマホ上の中古取引で若い消費者を惹きつけ、現在東南アジア8カ国でShopee(ショッピー)ようなEコマース強者とショッピングカテゴリーアプリ1-2位を争っているようです。

(引用:Carousell 公式Webページより)

強み

カルーセルはシンガポールで指折り数えられるAI企業です。
販売者が物品を写真に撮って載せれば、自動的に認識して適切なカテゴリーに分類し、タグを入力する「AIリスト(List)」技術がキーポイントです。
AIは使用者にタイトルと適正価格を提案し、商品に関する消費者の質問に答えることもできるようです。

しかも「コミュニティグループ」もセルーセルの人気要素です。

例えばレゴを好きなユーザーがレゴグループをフォローすると、グループ内ではレゴについての話し合いや議論ができる グループがあります。
職場・地域・関心事等によって様々です。
このように関心事を共有するコミュニティーを通じて単なる取引を越えて友達を作り、自分の話をカルーセルで交換することができるのは、とても面白い話ですよね。

現状

シンガポールで開始した同アプリは現在、オーストラリア、インドネシア、香港、マレーシア、フィリピン、台湾、7カ国に進出しており、2億5千万件のリスティングと7,100万ドルの売上を記録しています。

展望

2019年11月にカルーセルはノルウェーの通信会社テレノグループ(Telenor Group)の子会社「701 Search」と合併することになります。
701SearchはすでにマレーシアのMudah、ベトナムのCho TotおよびミャンマーのOne Kyatを所有しています。

この取引を通じて、ノルウェーの通信会社Telenor Groupは、カルーセルの持分32%を占め、筆頭株主となりました。
今後カルーセルは701Searchに買収された他の東南アジアのスタートアップ企業と共に統合運営され、サービス拡張のために様々な実験を実施する方針です。 

中古商品の販売だけでなく、人工知能技術を活用した様々なオンラインコマースビジネスへと成長しつつあるカルーセル、東南アジアだけでなく全世界を対象にするグローバル企業へと成長できるのか、引き続き注目していく必要がありますね。

Carousellへ出店方法

残念ですが、現在時点では日本からの出店ができないようです。
Carousellは、以下の国で使用することができます。

オーストラリア
カナダ
香港
インドネシア
マレーシア
ニュージーランド
フィリピン諸島
シンガポール
台湾

日本からの出店はまだサービスをしてないようですが、公式ホームページでは持続的に事業の拡大をしています。
カルーセルは今も様々な国へ進出拡大の準備をしていますので、随時見守る必要がありそうです。

更新情報はこちらで確認ができます。
参考:https://support.carousell.com/hc/en-us?origin=web&platform=web

まとめ

カルーセルはC2Cをベースとしたプラットフォームです。
銀行送金、宅配金など支払い方法に対する提供がシステム上で制限されているため、直接ミーティングをしたり取引を成功させなければならない構造でもあります。
ほとんどの中古市場のプラットフォーム構造が個人と個人間の取引により増加しています。
しかしこのように便利で大衆にも広く知られているのに相変らず詐欺問題、安全性、許容性に対する範囲が曖昧です。
確かに個人と個人のスムーズな取引のためには、仲介業者が必要です。
きちんとした商品の検収が行われるべきですし、被害再発防止のための対策も必要だと思います。

むしろ企業の立場から出店を考えるなら、検収や商品管理においては個人よりも厳しいため、様々なトレンドアイテムを選定し、レビュー評価で個人に信用を与えれば、良い選択になるのではないでしょうか。

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