海外EC調査部

日本でもサービス開始 スピーディーな配達と充実した会員サービスの韓国EC Coupang(クーパン)

海外EC調査部2022-04-14

Coupang(クーパン)の概要

クーパンは韓国のECサイトであり、アメリカに持株会社を置くEコマース企業です。

2010年8月10日、ハーバード大学卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)を経てハーバードビジネススクールを卒業したアメリカ国籍のキム・ボムソク代表が創業しました。

韓国内での売上高はネイバーに次いで2位、イーベイコリアと並ぶ大型ECです。

近年の変化としては、2017年に大規模な物流センター設立と配送システムの継続的な改善により、業務効率が上昇。
2020年頃からコロナの影響により売上が急増しています。

韓国ではAmazonのサービス提供は行われておらず、配送のスピーディーさ、取り扱い商品のジャンルなどから、「日本人にとってのAmazon=韓国の人々にとってのクーパン」と言っても良いと思います。

韓国のECの事情

クーパンのサービスを紹介する前に、韓国内でのECの事情について触れておきましょう。
韓国国内ではモバイル端末でのEC利用が非常に盛んに行われており、年々消費金額も増加しています。

海外製品の購入も多く、韓国国民が2021年に海外から購入した総額は4.1億ドル(日本円で約約5,278億)に上っています。
日本製品は韓国が海外から購入する国の4位に位置しており、特に全体の27%を占めるファッションが人気カテゴリです。
また近年はスポーツ・レジャ―用品も売上を急速に伸ばしており、日本のゴルフブランドが国内愛好家の間で好まれています。

Coupang(クーパン)の配送サービス

クーパンには配送サービスの種類がいくつかあります。

ロケット配送

深夜12時以前に注文すると翌日には配送してくれるサービスです。

Amazonの大規模な物流センターと仕組みは同じで、自社の物流センターに商品を保管し、注文があればすぐに梱包して出荷させるという形式でスピード配送を可能にしています。

ロケットワウ

購入する数量や合計金額に関係なく、ロケット配送をしてもらえる定額サービスです。最初の30日間は無料、それ以降は月額500円がかかります。

クーパンユーザーであれば加入必須の便利なサービスです。

主なサービス内容は以下の通り。

  • 合計19,800ウォン未満(約2,000円程度)で品物を購入しても、数量に関係なくロケット配送をしてもらえる。
  • 商品を購入すると、早朝配送を選択することができる。
  • 生鮮食品の早朝配送サービスである「ロケットフレッシュ」が利用できる。(15,000ウォン(約1,530円)以上の購入)返品も購入者の送料負担なしでほぼ無条件に可能。(30日以内)
  • 自社のOTT事業であるクーパンプレイ(動画配信サービス)を使用することができる。
  • 後払い決済が利用できる。(ロケット配送、ロケットフレッシュ商品(食料品))

ジェット配送

ロケット配送の一種ですが、ロケット配送との違いは、ロケットワウ会員でなくても当日配達や早朝配送が可能です。

ロケット直購

海外で販売している商品を代行購入するサービスです。
約3,000円以上の購入で無料配送可、未満の場合は約250円の配送料がかかります。(ロケットワウ会員は無条件で無料配送)
ただし、海外直輸入のため個人通関固有符号が必須です
(※関税庁ホームページで簡単に作成可)
通関にかかる日数は1日程度、多くても約2〜4日です。

日本から出店は?

Global Sellersからセラー登録が可能です。

韓国では日本製品も好評で、ファッション、スポーツ・レジャー用品は特に人気があります。
日本のゴルフブランドは韓国でも注目されており、出店には絶好のチャンスかもしれません。

登録には他ECにありがちな現地の銀行口座なども必要ありません。

詳しくは別記事でご紹介予定です。

また試験的に、東京都品川区、大田区、 目黒区、渋谷区(2022年4月現在)で日本版クーパンとも言えるサービスが開始されています。

クーパンは2022年内に台湾と日本への進出を目指しており、この試験的運用で手応えを伺っているようです。

日本版クーパンのサービスはこちら。(https://www.aboutcoupang.jp/)

Coupang(クーパン)のこれから

コロナ禍により、クーパンの業績は急成長しました。
ただ創業当初から右肩上がりの売上と同時に、物流整備などへの先行投資により赤字額も計上し続けています。
それでも韓国内での有料会員は増え続けており、配達サービスに関してはAmazonにも引けを取らないスピード感のあるシステムを構築しています。
今後の成長と共にこの赤字の縮小と、先行投資による物流整備の更なる強化、そして日本国内でのサービス展開など動向に注視したいところです。

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