海外EC調査部

ベトナムでローカル色を打ち出し、スピード宅配で存在感を放つーTiki(ティキ)

海外EC調査部2022-06-09

Tiki(ティキ)とはどんなEC?

2010年に書籍の取り扱いからスタートしたベトナム発のECです。
自宅ガレージで商品である書籍の梱包を行い、地道に発送することから始まり、今では幅広い商品を扱う総合ECモールへ成長しています。

現在の取り扱い商品のカテゴリは34以上、商品数も600〜700万点程。

書籍、生活用品、食料品やデリバリーサービスなど、生活に密着したオールジャンルのECです。

ちなみに、Tikiにはベトナム語で「Tìm kiếm=探す」 と 「Tiết kiệm=貯える・保存」 という2つの意味が込められています。

(引用:Tiki公式サイトのTOP画面より※日本語訳済み)

利用ユーザーの特徴

オフィスワーカーが多く、男女比は55%:45%とほぼ拮抗しています。
個人の趣向よりも、家族との時間のために利便性を追求し、商品の品質にも拘りたい層が中心となっています。

以前紹介したLAZADAのユーザー層にも通ずる部分があり、比較的所得が高めのホワイトカラーの人々を指していると想像されます。

ベトナムの事情に合致したサービス展開で事業を拡大

ベトナムでは、既に越境サービスを展開し日本からの利用も始まっているShopee・Lazada、ベトナム国内企業のTiki・Sendoの4つが代表的なECプラットフォームです。
特にTiki、Sendoはローカル色の強いECで、東南アジアに根ざしたサービスを強化しており(2022年6月現在)、国外への進出は今のところ可能性が低いと考えて良さそうです。

Tikiは、ベトナムに暮らす人々の生活スタイルや、国の政策に則した手法で規模を拡大させています。
ベトナムには、元々ラストマイルデリバリー(いわゆる宅配サービスの事)を提供する起業家が多く存在していました。
日本で同サービスを挙げるならば、佐川急便、クロネコヤマト、ゆうパックなどが一般的イメージかと思います。
この3社は日本全国をカバーする大企業ですが、ベトナムの宅配サービスはそれとは異なり、規模の小さな起業家たちのサービスがひしめいています。
それを束ね、消費者へ商品を届ける宅配サービスとして利用し始めたのがTikiです。
現地に根ざしたローカルの宅配サービスの力を借り、スピード感ある発送を実現させました。

オンライン決済でベトナムのキャッシュレス社会拡大へ貢献

元来、代引で現金での支払いが主流だったベトナムにおいて、Tikiはオンライン決済の利用を急速に促しました。
ベトナム政府がキャッシュレス社会を目指していた事も追い風となり、最近では電子ウォレットの利用にまで拡大しています。
事業開始時に現金での支払いが100%だった注文は、今ではオンライン決済の割合が40%に達するまでになりました。

超高速配達サービス TikiNOW

(引用:公式サイトより)

TikiNOWとは、2019年2月にスタートした15kg以下の商品をハノイ市またはホーチミン市内へ注文から2時間以内で配達するサービスです。
韓国のECや東南アジアの他ECでも、とにかくスピードに拘った当日配達サービスや注文から●時間以内に配達と言った謳い文句が多く掲げられていますが、Tikiも例に漏れず配達スピードに注力しています。

Tikiが提供するフルフィルメントサービス TikiNOWSmartLogistics(スマートロジスティクス)

Tikiが提供する、倉庫保管・注文処理、在庫管理から配送サービス、売上のデータ管理や分析などのフルフィルメントサービスです。
TikiがベトナムでEC事業を始めた当初は、国内では物流や決済などサービスが整っておらず、仕組みをゼロから構築する必要がありました。
そういったシステムの蓄積が、Tikiのフルフィルメントサービスに内包されています。
TikiNOWもサービスのうちの一つです。

また、商品を保管する倉庫のレンタルサービスも開始しています。
倉庫レンタルは、必ずしもTikiで出店し販売を行っている業者でなければ利用できないというものではありません。
他EC、例えばLazadaなど他ECで出店し販売している商品に関してもサービスの申込みをすることができます。

日本からの出店はできない

残念ながら、販売者として日本からの登録はできません。
ベトナム・中国・台湾・シンガポールからのみ可能となっています。
また公式サイトにおいても、英語も非対応です。

(引用:Tiki公式サイトの登録画面より日本語訳したもの。画像の通り、4カ国のみ選択が可能)

まとめ、今後の展望

現在ベトナム・中国・台湾・シンガポールの4カ国で展開するTikiですが、今後の国外進出への可能性についてCEOは「国外進出は、優先順位に応じて考えていきたい(2020年7月のインタビューより)」と答えています。
ECの役割が単にものを売り買いするだけでなく、様々な店舗を未開拓の顧客層へアピールし存在を伝えていく広告に成り得るとの認識を持ち、しばらくはローカルビジネスに注力するのではないでしょうか。
とは言え、ベトナムでの売上ベースは依然として高く、国内EC事業の先駆者です。
扱う商品の品質とサービスの良質さでは、引き続き高い信頼性で支持を集めていくでしょう。


参考:https://www.reuters.com/article/us-vietnam-tech-ecommerce/vietnam-targets-e-commerce-turnover-reaching-35-billion-by-2025-idUSKBN22V0CD
https://www.tikinow.biz/
パンデミックにより利用者が急増したベトナムeコマース事情と4大プラットフォーム

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