海外EC調査部

トルコECの可能性と未来 トレンドヨルとヘプシブラダ

海外EC調査部2022-07-05

はじめに

トルコは東ヨーロッパに位置し、人口8000千万人を越える国です。国民の72%がインターネットユーザーであり、全人口に占める若年層の割合が多く、且つクレジットカード利用率も高いというEC成長に適した環境が整っています。

一方で、EC上での日本セラーの出店は非常に少なく、日本からのトルコへの輸出額も国別では全体の1.7%と低い水準です。
この記事では、トルコのEC成長状況、日本からの越境ECの可能性について解説していきます。

トルコと日本、輸出について

以下のリンク先の動画は、トルコでの和食文化の広がりや日本からの輸出についての今を取材したものです。

https://www.jetro.go.jp/tv/internet/2021/10/e3a42af674bf0e39.html
世界は今 -JETRO Global Eye
トルコに日本食材を売り込め ‐中小企業 奮闘記‐

ここ数年でトルコ国内では徐々に和食店が増えてきており、トルコの人々にも好評のようです。動画内で紹介されている和食料理店では日本茶も提供され、日本文化の一部として歓迎されています。
こうして見てみると、日本食品の根付き、EC上での食品売買にも勝機があるのではないかと期待してしまいますが、そう簡単にはいかないようです。

その大きな理由として、食品類の輸出は日本の政府機関が発行する証明書が必要で、日本国内でも証明書の入手に非常に手間がかかるという点が挙げられています。
また日本食に準じて人気の出そうな日本茶に関しても、茶葉はトルコの主要産業と位置づけられているため、海外から輸入されるものについては品質検査が非常に厳しく、検査項目自体がオープンにされていない現状もあります。
輸入量が絞られるため、必然的に国内では中々日本からの輸入食品は流通し辛いのです。

一方で、トルコと日本は歴史的な経緯から友好関係にあある親日国です。今でもデジタル機器などの家電製品において品質が良いというイメージが保たれています。
日本文化も受け入れられやすい土壌のため需要は眠っていると予想されますが、中小企業が柔軟に輸入輸入を行なうにはまだまだ実績が足りない状況です。

トルコの厳しい輸入管理体制には、メリットもあります。
現在、トルコの日本食材は、中国産、又はヨーロッパを経由して入ってくるものがほとんどのため、「直輸入」はそれ自体がブランドにもなり得るのです。安全性が保証されていることと同意義になるため、信頼性は非常に高くなります。

トルコの代表的なECの紹介 トレンドヨルとヘプシブラダ

trendyol(トレンドヨル) ― トルコ最大のアリババ傘下EC

(引用:トレンドヨル公式サイトトップ https://www.trendyol.com/de/campaign/list/damen

トレントヨルは2010年創業、3000万人の会員を持つトルコ最大のECです。メインカテゴリは衣服で、靴やアクセサリー、スポーツウェア、ブランド品の取り扱いもされています。
2021年8月にはトルコで初のデカコーン(評価額が100億ドルを超える新興企業のこと)になり、ヨーロッパにもサービス拠点を拡大中です。
現在、ドイツ、オランダ、フランス、イギリス、ベルギー、スペイン、オーストリア、チェコ共和国、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ポルトガル、ルクセンブルグ、フィンランド、ポーランド、デンマーク、スウェーデンなど、全27カ国で利用が可能です。
2022年のGMV(流通取引総額)の合計予測は180億ドルとなっています。

hepsiburada(ヘプシブラダ)について

(ヘプシブラダトップページ(日本語訳済み):https://www.hepsiburada.com/

ヘプシブラダは1998年設立のトルコ発ECです。
トルコのEC業界においてはトレンドヨルに次いでマーケットシェア2位のEC事業者となっています。主要カテゴリは衣類、家電、化粧品類、日用品など様々な商品を取り扱っています。

サービス提供範囲は自国トルコをはじめ、アルジェリア、アゼルバイジャン、バーレーン、エジプト、イスラエル、ヨルダン、カザフスタン、モロッコ、オマーン、カタール、イエメン、ロシア、チュニジア、トルクメニスタン、ウクライナ、アラブ首長国連邦(UAE)、ウズベキスタンなどです。
サイト閲覧回数は1カ月に約2億回、アプリのダウンロード数は約2,500万件、登録ユーザーは3900万人以上に昇ります。

また、トルコでは唯一NASDAQ上場を果たした企業でもあり、国内でのブランド認知度は圧倒的です。

ヘプシブラダの日本商品取り扱いについて

ヘプシブラダ社員が語ったインタビューによれば、日本企業の商品がプラットフォームで扱われることに関して非常に好意的であり、歓迎ムードです。分野を問わず日本商品に期待を寄せており、現状まだ少ない日本商品について少なからず可能性を感じます。

今すぐにと行った状況とは言えませんが、長期的な目線で市場調査を行なうのも将来への投資となりそうです。


参考:

トルコに日本食材を売り込め ‐中小企業 奮闘記‐
https://www.jetro.go.jp/tv/internet/2021/10/e3a42af674bf0e39.html

現地最有力企業が日本製品取り扱いに期待(トルコ)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2020/1202/e34a8afb36ec0d1b.html

SEARCH

ARCHIVES