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【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.30】中東編 ー エジプト

コラム海外リユース探訪記2024-04-30

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古着とブランド品が主流
障壁は店舗数と長時間交渉

視察したマーケットはいずれも賑わっており、よく取引されていたリユース品は古着やブランド品の類。ジーンズを山積みにして販売している店舗もあれば、店頭にルイ・ヴィトンやアディダスのアイテムを並べている露店も見かけました。

ブランド力よりも品質
古着市場は発展途上

値札にはアラビア「語の」数字が常用されている

いわゆる「中古街」的なストリートには、雑貨やスニーカー等さまざまな商品を取り扱うお店があり、輸入した品物を売っている古着屋もありました。売る側もフレンドリーで、メールアドレスを交換すると後日ハートマークでいっぱいのメールを送ってきてくれたほど。ただ、商品の品ぞろえに少々統一感がないのが気になったところで、その点に関してはあまり気を遣ってなさそうな雰囲気でした。「ブランド品ノーブランド品問わず、それなりにキレイでとりあえず着れるものであれば何でも扱う」といったスタンス。

2023年9月時点のブランド品の市場相場は、1点あたり約50~200エジプトポンド。日本円にして200~900円程度。決して高いというわけではないですが、特別に安くもないといった感じです。

ブランド品の真贋については、古着を多く取り扱っているお店「ElWekala(エルワカ)」では本物(日本製)のラルフ・ローレンも発見できましたので、ニセモノしかないということはなさそうです。エルワカの仕入れ先のひとつはベルギーとのこと。それなりの品ぞろえを確保しているお店は、ヨーロッパの国々からドバイ経由で輸入しているのかもしれません。

胡散臭い品々も見かけましたが、目利きに自信のある方であれば、蚤の市でも思わぬ発見ができるかもしれません。お店の数が非常に多いこと、長時間の交渉を何度も行う必要があることを覚悟して挑んでみてください。

エジプト商人の特徴は
押しと技あり交渉

交渉の際の押しと粘り強さは、エジプト商人の気質なのでしょう。お土産屋や服屋、カフェやコンビニでさえも、アレを買おうコレが欲しいと値段を訊くと、「そんなに高かったっけ?」と不思議に思う価格が提示されます。実は、観光客相手には相場よりもかなり高い価格を提示することが頻繁にあるのです。

値下げ交渉に慣れていない人は怖気づいてしまうかもしれませんが、向こうも商売、こちらも商売。揺ぎなき姿勢で価格交渉に臨みましょう。相手はしょっちゅう「これ以上マケられないよ」と言いますが、それもまた「技」のひとつ。納得のいく価格になるまで交渉を続けるか、あるいは購入を止めるかです。うまくやれば三分の一近くマケさせることもできます。

視察を通し、エジプトで日本からのリユース品が売れる可能性は、十分にあると思いました。日本からリユース品を仕入れている人をほとんど見かけなかったので、競争率もそれほど高くはなさそうです。

古着の場合、現地業者の見積りに基づくと、1コンテナの輸送コストは70万円ほど。40フィートハイキューブに約24トン入るので、「1キロ=Tシャツ2~3枚」を90~100円ぐらいで売れば利益は出せそうです(当時の市場価格をもとに算出)。

見落としがちですが、日本で使われる「アラビア数字」ではなく、「アラビア語の数字」を使用しなければならない点には注意です。チャレンジ精神の強い人にとってはやりがいのある場所となるでしょう。

● 筆者プロフィール ●
株式会社ワサビ 代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外×リユース×technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中。

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