【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.31】ヨーロッパ編 ー ギリシャ
コラム海外リユース探訪記2024-05-28
歴史と神話の都ギリシャ・アテネ。ギリシャといえば「パルテノン神殿」や「アクロポリス」「アテナイのアゴラ」といった史跡で知られていますが、2009年の「ギリシャ危機」もまた、多くの人々にとって衝撃的なできごとだったのではないでしょうか。
観光地は賑わいの反面 社会格差は浮き彫りに
欧州全土を巻き込んだあの大騒動の後、ギリシャでは度重なる政権交代、EU(欧州連合)やIMF(国際通貨基金)との対立と譲歩の繰り返し、さらにはコロナショック等々、数々の波乱に見舞われました。
20年の経済成長率はマイナス9.3%と落ち込みましたが、21年は8.4%という高水準を達成し、22年においても5.6%と比較的安定しています。大きな足かせのひとつであった201億ユーロもの債務についても22年4月にIMFへ返済が完了し、失われた経済力と信用を回復しつつあるようです。
観光は存在自体が儲かるリユースビジネス!?
そのようなギリシャですが、相変わらず観光客で賑わっていました。「パルテノン神殿」や「アクロポリス」、「アテナイのアゴラ」等々世界的に知られる史跡はどこも人だらけ。
特に有名なパルテノン神殿の混み具合は、まるで京都の清水寺や産寧坂周辺のよう。「歴史的な名所を背景に写真を撮ってみたい」「実際に見てみたい」という人々がたくさん訪れているのでしょう。改めて歴史文化遺産のパワーを実感させられました。これもある意味リユースビジネス!?
史跡めぐり自体は楽しいものでしたが、その道中や帰路ではうんと困らされました。観光名所の周辺にはスリが多く、私の同行者も危うく財布を盗まれそうになりました。
エジプトに続きギリシャでも……何度もぼったくりに遭遇!
空港で乗せてもらったタクシー運転手は目的地に着くなり20ユーロも上乗せして請求してきてびっくり。両替屋もレート表示のないところだらけの上、価格もてんでバラバラで、まるで信用できないという始末でトホホ。
一番衝撃的だったのは、「モナスティラキ広場」で突然ミッキーマウスらしき二人組に捕まって無理やり踊らされ、写真撮影までさせられた挙句にお金を請求されたこと。思いっきり”中身”が見えていましたし、子どもが出会ったら泣いてしまうんじゃないでしょうか。ギリシャ観光の際、どこからともなくミッキーマウス”らしきもの”が近づいてきたら要注意!
グラフィティに見るいびつなギリシャ内情
街へ眼を向ければ、あちらこちらの壁や塀に「グラフィティ」が描かれていました。その多くは非常に画力が高く、中には社会問題に対する風刺や批判のメッセージを込めた作品も見られることから、ギリシャの新名所的な存在としてネットでも話題になっているようです。
しかしながら、中には建物の所有者の許可を得ることなく、違法に描かれたものも少なくないそうです。たしかに、自身の家の壁やシャッターに勝手に描かれた「落書き」を、観光客がはしゃぎながら写真を撮ったりしているというのは、あまり気持ちの良いものではないかもしれません。「文化」のあり方というのはなかなか難しいものですね。
筆者紹介
株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中。