リユーステック2026開催レポート
お知らせイベント・セミナーレポート2025-11-17

2025年10月21日(火)リユース業界の未来を語る「Reuse×Tech Conference for 2026」が開催されました。リユース企業のテクノロジー活用やEC販売等を応援する業界最大級の本イベントにて、ブース、参加セッションの模様をレポートします。
ダイジェスト動画
当日ブースの様子


当日は多くの参加者がブースに来てくださり、サービスの
概要や現在地についての情報を共有しました。
登壇内容について
登壇プログラムでは、弊社代表・大久保をはじめメンバーが登壇。
それぞれの登壇内容についてご紹介いたします。
「グローバルリユース最前線 – 海外市場で勝つために必要なこととは」
登壇者
・山内 祐也氏(株式会社コメ兵 代表取締役社長)
・井上 徹氏(ブックオフグループホールディングス株式会社 執行役員)
・大久保 裕史氏(株式会社ワサビ 代表取締役 / モデレーター)

個性豊かな3人が語る、それぞれの現在地
セッションは、3人の自己紹介からスタート。
三者三様のユニークな経歴と、グローバルリユースに懸ける想いが語られました。
株式会社コメ兵 代表取締役社長 山内 祐也氏
2002年にコメ兵に入社し、現在はブランドオフの代表も兼任。「モノを次の人につなぐ『リレーユース』を思想から文化へ」という壮大なビジョンを掲げています。現在、コメ兵グループは海外売上比率が12.6%、海外店舗数は28店舗。香港、台湾、タイ、シンガポール、アメリカなど、アジアを中心にグローバルな事業基盤を築いています。また、ヴィンテージの聖地としてインバウンド客に認知され始めた青山・表参道エリアに2店舗目をオープンさせた事例を挙げ、エリア全体で市場を盛り上げる戦略の重要性を語りました。
ブックオフグループホールディングス株式会社 執行役員 井上 徹氏
「半沢直樹みたいな世界が嫌だった」と語り、銀行員から一転、ブックオフに入社した異色の経歴の持ち主。現在は海外事業、リサイクル業、および国内で売れなくなった商品を海外で再流通させる「3次流通」を担当しています。同社はアメリカ、フランス、マレーシア、カザフスタンで合計48店舗を展開。海外進出したきっかけを聞かれると、上場前は「『古本屋に就職させたつもりはない』と言われる世界だった。『海外進出する会社で働いている』と安心してもらう象徴として進出した。」という創業秘話を明かし、会場を和ませました。
一方で、長年「業界2位だったが、コメ兵さんに抜かれて今は3位です」と悔しさも滲ませ、トップ奪還への意欲を見せました。
株式会社ワサビ 代表取締役 大久保 裕史氏
20代で探偵業を営むなど波乱万丈な経験を経て、「志を持とう」と俺は中古王になろうと決め、中古業界の作業という闇を解決する為にワサビを設立し、売上を求めた結果、海外へ進出。
現在は年の3分の1を海外で過ごし、「地球人」としての視点でビジネスを展開しています。
「日本の中古品は海外でまだまだ価値がある。このセッションが、皆さんが海外を目指すきっかけになれば」と、自身の豊富な海外経験を基に議論をリードしました。


なぜ海外へ? それぞれのきっかけと戦略
次に、なぜ海外市場を目指すのか、その動機と戦略について各氏が語りました。
井上氏は、海外進出の大きな理由を「国内で余った在庫の出口戦略」だと明言しました。ブックオフでは年間約4億点の商品を買い取りますが、販売は約3億点。差し引き1億点が国内では行き場を失ってしまう現実があります。
この「捨てない社会」を実現するための重要な出口が、マレーシアで展開する「Jalan Jalan Japan(JJJ)」でした。
「日本では見向きもされない商品に、マレーシアの人々が熱狂する。2日間徹夜で開店を待つお客様もいるんです」と、現地での熱狂ぶりを語りました。
一方、山内氏(コメ兵)は、よりマクロな視点から海外市場の重要性を説きます。
「世界のラグジュアリーリユース市場において、日本のシェアはわずか数パーセント。しかし、日本の家庭に眠る”かくれ資産”は72兆円とも言われています」。この膨大な国内の潜在在庫を、成長著しいグローバル市場につなげることこそが、今後の成長の鍵だと分析。そのハブ拠点として、税制面で有利な香港の戦略的重要性を強調しました。
大久保氏も、日本製品のポテンシャルの高さを指摘。「ロシアに行けば、日本のデパートで扱われているようなリユース品が今まさに求められている」と述べ、市場の需要と供給のミスマッチを解消することに大きなビジネスチャンスがあると語りました。
海外進出で学んだこと、そして成功への鍵
セッションの核心である「海外で勝つために必要なこと」。
3人が共通して挙げたのは、「人」の重要性でした。
1. コミュニケーションと現地化
井上氏は「20店舗を超えると、日本のやり方だけではチェーンオペレーションが機能しなくなる」と語ります。現地スタッフ一人ひとりと向き合い、「あなたたちの会社なんだ」という当事者意識を育むこと、そして彼らの成長を信じてマネジメントを任せていくことの重要性を強調しました。
山内氏も「かつて日系企業は人気でしたが、今は給与水準などで現地企業に見劣りすることも。人事制度や評価基準を完全に現地に合わせ、最終的には現地の人材にトップを任せる覚悟が必要」だと述べ、経営の現地化が不可欠であると説きました。さらに、中国進出での苦い経験を振り返り、「巧詐は拙誠に如かず(こうさはせっせいにしかず)」という言葉を引用。小手先の賢さよりも、誠実な姿勢こそが信頼を勝ち取ると力説しました。
2. 戦略と実行力
山内氏は、コメ兵の海外進出を3つのステップで説明しました。
ステップ1:BtoBや業者間オークションで市場を把握し、買取専門店で商品調達の基盤を作る。
ステップ2:ECと販売店舗を展開し、現地の顧客に直接アプローチする。
ステップ3:プラットフォームの運営や真贋鑑定システムの提供など、市場そのものに介入し、エコシステムを構築する。
井上氏は、国ごとに最適な店舗パッケージを展開する柔軟な戦略を紹介。
アメリカでは書籍中心の「スタンダード型」と「アニメ専門店型」、マレーシアでは大型の「フルパッケージ型」とアパレルに特化した小型店を展開しています。また、カザフスタン(冬物が売れる)とマレーシア(夏物が売れる)という、季節が真逆の2つの出口を持つことで、在庫リスクを巧みにコントロールしている点も明かされました。
3. トラブルへの備え
海外ビジネスにトラブルはつきものです。井上氏は、カザフスタンの倉庫が火災に遭い、3,000万円分の商品が灰になった壮絶な体験を告白。「リスクマップには書いていたが、まさか自分の身に起こるとは…」と、想定外の事態への備えと、それを乗り越える精神力の重要性を語りました。
未来へ:日本のリユースが世界を席巻するために
最後に、3人は今後の展望を語りました。
井上氏は「業界の垣根を越え、日本全体で『捨てない社会』を海外に広げていきたい」と連携を呼びかけました。大久保氏も「海外では、日本のリユース企業はライバルではなく『連合軍』。一緒に世界市場を取りに行きましょう」と応じ、会場を盛り上げました。
このセッションを通して見えてきたのは、グローバル市場で成功するためには、緻密な戦略や資金力以上に、「人を信じ、現地をリスペクトし、誠実に向き合う」という普遍的な姿勢が何よりも重要であるということ。
3人のリーダーたちの熱い言葉は、日本のリユース業界が世界へ大きく羽ばたくための、力強いエールとなったことでしょう。
「スマホ完結!ワンオペ海外ECが”動き出す”自動化の全体像 – 白抜き補正・モール展開もOK!ワサビスイッチライト版で始めるEC運営術 -」

登壇者
・津村 雅之氏(株式会社2nd Village 代表取締役)
・上村 孝太氏(株式会社ワサビ ビジネス開発部 アシスタントマネージャー)
株式会社2nd Village(以下、2nd Village)は、リユース事業を軸に、買取・販売、輸出、システム開発など多角的に事業を展開されている企業です。同社は、「モノの価値をつなぐ“第2の村”をつくる」という理念のもと、国内外でリユースの新しい仕組みづくりに挑戦されており、限られた担当者数の中で実施される出品や買取作業に課題がありました。
これらの課題を解決するため、同社は販売管理システム「ワサビスイッチライト版(WSL)」と
出張買取特化AIリユースPOSシステム「MONOCLE」を導入され、下記の結果が見られました。
導入後の結果
まず、手作業に依存していた出品作業が、WSL導入後、ワンクリックで複数モールへの一括出品が実現し、商品登録から出品までの時間は50分から10分へと大幅に短縮されました。
その結果、限られた人員(担当者数4人)のまま、国内外の販路拡大を可能にし、月間の出品点数が200点から1000点へ増加しました。
また、MONOCLE導入により、アポイント調整にかかる時間が50%削減され、買取業務のDX化が実現。販売業務の圧倒的な効率化と海外を含む販路の拡大が実現し、さらにAIを活用した買取プロセスの最適化とデータの一元管理が達成されました。
また、ライト版では、初回設定MTG(60分×2回)で出品に必要な設定を任せることができ、
アカウント作成後、すぐに稼働開始可能なサポート体制が提供されています。
「現場が変わると、売上が伸びる!」業務の仕組み化で導いたグローバル戦略の実例!

登壇者
・竹川 京介氏(株式会社トレーダー リユース事業部 総括長)
・古賀 竜馬氏(株式会社ワサビ 取締役)
本登壇では、リユース事業を展開する株式会社トレーダー様が、長年の課題であった「人の力に頼る」縦割りの業務体制から、「仕組みが人を動かす」状態への変革を目指し、WASABI SWITCHを導入された事例が紹介されました。
株式会社トレーダー様は、「リユースショップと、エンターテイメントショップ」「実店舗とECのお宝リサイクル」というコンセプトのもと、リユース事業にて実店舗とECの両方を運営されています。その中で、店舗ごとの仕組みや、店舗とECが別々のシステムで運用されていたため、情報共有や育成に課題がありました。
これらの課題を解決するため、販売管理システム「ワサビスイッチ」の導入が始まりました。
導入後の結果
ワサビスイッチの「出品テンプレート」機能を用いた出品作業や在庫数の確認・調整の機能によって、業務方法が全ての店舗で統一され、属人化が解消されました。
店舗側でもECの在庫数の確認が可能になり、在庫回転率が20%向上したとのことです。
出品数も約81,000点から約102,000点へと約120%増加し、EC売上が導入前の約6億5千万円から、導入後は約9億4千万円に増加しました。
作業を統一し、現場の中でデータが可視化・共有されたことで、店舗とEC双方の意識が変わり、現場の改善が進んだことが、成果に直結したと結論づけられていました。
販売までのルーティン統一により取り扱い商品数と販売数が大きく伸び、店舗とECの連携強化が在庫回転率の向上を導いたそうです。
登壇の最後には、「販路拡大で売り上げが大幅に伸びる!」「現場が変わると、売り上げが伸びる!」という力強いメッセージが示されていました。
懇親会:Recore × WASABI「リユース DE ナイト」
イベントの後は、次世代の小売業を円滑にする株式会社Recore様との懇親会を実施。


リユース業界についてのライトニングトークや名刺交換会など、
協業や情報交換にて実りあるイベントになりました。

総括:
改めて、今回ブースに来場くださった方、登壇に清聴してくださった方に、この場を借りて感謝申し上げます。
今回の経験を糧に、私たちはさらなる飛躍を目指し成長してまいります。来年のイベントで、より進化した姿をお見せできるよう努力いたしますので、どうぞご期待ください!
