中国の2大Eコマース ― 総合型ECの淘宝(タオバオ)と京東(ジンドン)
海外EC調査部2022-06-27
目次
中国Eコマースの二大巨頭・淘宝(タオバオ)と京東(ジンドン)
中国のEコマースと言えば、やはり淘宝(タオバオ)と京東(ジンドン)です。
淘宝(タオバオ)は2003年5月にアリババグループによって設立された、アジア太平洋地域で最大級の規模を誇る中国のオンラインショップです。登録ユーザーは5億人近くおり、毎日6000万人以上からアクセスされています。また、数多くの種類の商品を扱っており、一日に取引される製品の数は8億を超え、平均して毎分4万8千もの商品が販売されています。
京東(ジンドン、JD.com)は劉強東により創設された中国のオンラインショップです。2014年5月、米国のナスダック証券取引所に正式に上場し、2015年7月にはナスダック100指数にも追加されました。こちらも数多くの商品が扱われており、世界で初めてドローンによる宅配サービスも行われました。
中国Eコマースの二大巨頭として知られており、2021年のGMVは85兆円(タオバオ)、京東(ジンドン)61兆円まで達しています。
事業規模が拡大すると、数多くの店舗類型やキャンペーンなどにより、ユーザーにとってわかりにくい部分が増えがちです。
ここからはタオバオとジンドンにある店舗の種類、支払い方式とその他の特徴について紹介します。
淘宝(タオバオ)の店舗
まず特筆すべきポイントは、「タオバオ」と「Tmall」の違いです。
タオバオ内には「タオバオ」と「Tmall」という二種類の店舗があります。
一つのサイト内で2種の店舗を見ることが出来ます。
タオバオ店舗とTmall店舗の違いは、タオバオ店舗は個人でも開店でき、Tmall店舗での出店は企業のみという点です。
タオバオ店舗は比較的容易ですが、Tmall店舗の出店には厳しい審査があります。
Tmall店舗には、「天猫国際(Tmall国際)」という海外商品を取り扱う店舗が存在します。
天猫国際は越境ECプラットフォームで、運営元のAlibaba(以下アリババ)が直接輸入販売を行う方式や、海外企業が出店する方式などで海外から中国へ販売を行うことができます。
アリババのフルフィルメントセンターサービスを利用して販売を委託したり、企業が旗艦店を出店することも可能です。
京東(ジンドン/JD.com)の店舗
タオバオと同じく、京東(ジンドン/JD.com)でも海外商品を取り扱う店舗があります。
「京東全球購(JD.com全球購)」です。
店舗名の後ろに「全球購」マークが付いているのが該当店舗です。
また京東(ジンドン)にも「京東スーパー(JD.comスーパー)」というJD.com自営のスーパー(すべての商品名の後ろに「自営」マークがついているもの)もあります。
京東(ジンドン/JD.com)の自営店
京東(ジンドン)が直で運営する自営店は真贋の信頼性が高く、ユーザーから高評価の店舗です。
サイト上で自営店は「●●×(ブランド名)京東自営」(●●×JD.com自営)と表示されます。
運営元のJD.comは自前で広大な物流ネットワークを構築しており、中国各地にフルフィルメントサービスを提供しています。
JD.com傘下である「京東物流(JD.com物流)」で配送まで完結させるサービスが、消費者にとって信頼される理由となっています。
また、京東(ジンドン)の運営元であるJD.com自営のため、本物保証についても「信用できる」という高評価がされています。
そのため、高額のデジタル製品(Apple製品など)がJD.com自営店でよく売れる傾向にあります。
2020年JD.comのキャンペーン「618」では、スマホ製品が一番人気の商品でした。
それぞれの支払い方法・キャンペーンセール
支払い方法について
タオバオはアリババ傘下のため、基本的に決済アプリ アリペイ(支付宝)での支払いです。
アリペイ(支付宝)とは中国のアリババグループが提供するキャッシュレスサービスで、中国消費者に最も利用されている決済アプリともいわれています。
一方京東(ジンドン)は、決済アプリ京東支払(JD.com支払)が利用できます。
どちらも運営元が提供する決済アプリですが、近年アリペイとwechat payの台頭により京東支払のシェアはモバイル決済でシェア1%を切っており、決して普及率は高くありません。
セール・キャンペーン
毎年11月1日0時から11月11日24時まで開催される「ダブルイレブン」は、タオバオの一大イベントです。
この期間は多種多様なクーポン券が発行され、多くの割引ルールが適用されます。
あまりに多すぎてユーザーも混乱するほどの量ですが、確実に何らかの割引が約束される事から、莫大な売上金額となります。
2020年のダブルイレブンでは、タオバオの売上は4982億元(約8.3兆円)にも達しました。
近年のダブルイレブンでは、おもちゃやコスメ、ラグジュアリーブランドの商品が人気で、ポケモン関連のグッズなども特に好評だったようです。
京東(ジンドン)も2,715億元(約4.52兆円)に達し、「ダブルイレブン」売上ランキングの2位に付けています。
ダブルイレブン以外にも「618」という年の真ん中に行われるセールがあります。
こちらは京東(ジンドン)主催のキャンペーン・セールで、開店周年イベントとしてスタートしました。
数字の通り期間は6月1日から6月18日の間に開催され、2020年の売上は2692億元(約4.48兆円)に達しています。
近年の618では、特にビスケットやケーキなどの食料品やティッシュペーパーなどの日用品などが好評だったようです。
618にはタオバオも参加しています。
終わりに
タオバオとジンドンは、中国のEコマース市場で圧倒的な存在感を持っています。
デジタル製品、化粧品、高級ブランド製品から野菜、果物まであらゆる商品を網羅しているため、他のEコマースが参入し発展するには、機能性または商品の特化に力を入れる必要があります。
次回は、商品特化型の拼多多(Pinduoduo/ピンドゥオドゥオ)、網易厳選(Yanxuan)、蘇寧易購(Suning.com)と得物(POIZON)を紹介していきたいと思います。