リユース・越境 コラム

【2026年最新版】VATの仕組みをわかりやすく解説|欧州の付加価値税と消費税・関税との違いとは?

リユース・越境 コラムリユース・越境 現場ガイド 作成 2026-08-10

これから海外販売を始める方や、始めたばかりの方の中には、

「VATとは何だろう」
「欧州の付加価値税は日本の消費税と何が違うのだろう」
「関税との違いがよくわからない」

と感じている方もいるのではないでしょうか。

VAT(付加価値税)は欧州で広く採用されている税制度ですが、日本国内で販売しているだけでは馴染みがなく、初めて調べると難しく感じやすいテーマですが、eBayをはじめとする越境ECでは、VATの仕組みを理解しているかどうかで、価格設定や配送方法、購入者への対応が変わることもあります。

本記事では、VATの基本的な仕組みから、日本の消費税や関税との違い、欧州販売で重要になる理由まで、初心者向けにわかりやすく解説します。

VATとは?まず押さえたい付加価値税の仕組み

VATは欧州で採用されている付加価値税

VAT(Value Added Tax)は、商品やサービスの「付加価値」に対して各段階で課される一般的な消費税のことです。

EU(欧州連合)の公式な説明によれば、最終的な消費者が負担する税金であり、事業者が直接負担するものではなく、ほぼすべての商品やサービスに対して課税され、EU域内への輸入時にも適用されるため、欧州へ商品を販売する際には必ず意識しておきたい制度となっています。

※出典:European Commission「VAT for businesses」

日本の消費税との共通点・違い

VATは「欧州版の消費税」と考えると理解しやすくなります。

日本の消費税も、商品やサービス、輸入貨物に対して課税され、事業者が受け取った税額と仕入れ時に支払った税額の差額を納付する仕組みです。

※出典:財務省「消費税に関する基本的な資料」

基本構造はかなり近いため、このように捉える入口は間違ってない 一方で、大きな違いとして挙げられるのが税率の仕組みであり、日本では国内一律の税率が適用されますが、EUの場合は販売先の国(購入者の居住国)によって税率が変わるという特徴があります。

※出典:European Commission「VAT for businesses」

欧州向け販売では「VATがあるか」ではなく、「どの国のVATか」が実務上の重要な論点といえます。

なぜ「付加価値税」と呼ばれるのか

商品が消費者の手に届くまでの各取引段階で、事業者が生み出した「付加価値」に対してのみ税を納める仕組みだからであり、各事業者は、販売時に受け取ったVATから、仕入れ時に支払ったVATを差し引いて国へ納付します。

※出典:European Commission「How does VAT work?」

たとえば、税率を10%と仮定し、メーカーが100ユーロ、卸が150ユーロ、小売が200ユーロで商品を販売したとき、メーカーは10ユーロを納付し、卸は受け取った15ユーロから仕入時の10ユーロを控除して5ユーロを納付しますが、小売も同様に、受け取った20ユーロから15ユーロを控除して5ユーロを納付するという流れです。

二重課税を防ぎつつ、各段階で生まれた価値の分だけが課税され、最終的に積み上がった税額を消費者が負担する合理的な構造になっています。

なぜ欧州販売ではVATが重要なのか

EUでは国ごとにVAT税率が異なる

EUでは、大枠となるVAT指令(VAT Directive)のもと、各加盟国が独自の税率を設定しており、標準税率は少なくとも15%以上と定められていますが、具体的なパーセンテージは国ごとに異なっており、軽減税率やゼロ税率が適用される余地もあります。

※出典:European Commission「VAT for businesses」

そのため、欧州のさまざまな国へ販売を行う場合、どの国のVATが適用されるのかを把握することが価格設定において見逃せない点です。

輸入時や販売時にVATが関係する

欧州圏外から商品を発送する場合、販売するタイミングだけでなく、EUへの輸入自体が課税対象となる取引であるとされています。

※出典:European Commission「Taxable transactions」

VATの処理方法によっては、購入者が商品を受け取る際に追加で税金を請求されることもありますが、このような追加請求は、受取拒否やクレームにつながりやすく、顧客体験を大きく損なう要因になりかねないため、VATは裏側の税務処理だけでなく、配送や利益率にも関わる運用項目です。

英国はEUとは別ルールで考える必要がある

「欧州向け販売」と一括りにしがちですが、英国(UK)については注意が必要であり、英国はEUを離脱したため、関税やVATの面ではEUとは別の国として扱われます。

※出典:European Commission「United Kingdom and EU customs relationship」

英国独自のVATルールや、オンラインマーケットプレイスの責任に関する規定があるため、EU向けと英国向けは分けて整理すると、実務上の判断がしやすくなります。

※出典:GOV.UK「VAT and overseas goods sold directly to customers in the UK」

越境ECでVATが関係する主な場面

日本からEUへ商品を発送するとき

日本からEUの購入者へ直送する場合、商品価格によって扱いが変わり、150ユーロ以下の商品であれば、後述するIOSSなどの仕組みを使って、購入時にVATを徴収することが可能です。

※出典:European Commission「EU VAT One Stop Shop (OSS)」

IOSSが適切に使われれば、輸入時のVATは免除される仕組みとなっています。

※出典:European Commission「Guidance on import and export of low value consignments」

一方で、150ユーロを超える商品の場合はIOSSの対象外となり、通常の輸入手続きへと移行し、輸入VATに加えて関税も論点になりうるため、「150ユーロ以下」と同じ売り方は通用しません。\

※出典:European Commission「Guidance on import and export of low value consignments」

このように、商品の価格帯によって適用されるルールが分岐する点に留意して着地コストを設計することが重要です。

eBayなどマーケットプレイスで販売するとき

eBayのようなプラットフォームを利用する場合、条件を満たすとマーケットプレイス側が売り手に代わってVATを徴収し、税務当局へ納付する仕組みがあり、たとえば、売り手の所在地、貨物の価格、商品の所在地に応じて、購入時のチェックアウトでVATが自動的に計算・徴収・送金される場合があります。

※出典:eBay「VAT import regulations for the EU」

実務上の負担が減る側面もありますが、すべての取引を代行してくれるわけではなく、 「eBayが処理するケース」と「販売者側で対応を考えるべきケース」を正確に切り分けることが求められます。

EU域内に在庫を置いて販売するとき

現地の倉庫やFBA(フルフィルメント by Amazon)などに在庫を保管し、そこからEUの消費者に販売するケースもありますが、この場合、販売時点で商品がEU圏内にあるため、購入者の居住国のVATが直接論点となります。

※出典:European Commission「Taxable transactions」

日本から直送する場合と比べ、税務登録や申告の実務が一気に濃くなる傾向があり、越境ECにおけるVAT実務が大きく変わる分岐点となるため、在庫の配置場所は、販売前に整理しておくと安心です。

2021年のEU VAT改正で何が変わった?

低額輸入免税の廃止

2021年7月のe-commerce VAT package(VAT改正)の施行で最も影響が大きかったのが、免税枠の廃止であり、以前は22ユーロ以下の小口貨物には輸入VATが免除されていましたが、現在では金額にかかわらずすべてのEUへの輸入品がVATの対象となっています。

これにより、22ユーロ以下の輸入品もVAT対象になりました。

※出典:European Commission「Guidance on import and export of low value consignments」

「安い商品だからVATを気にしなくてよい」という考え方は通用しなくなったため、単価の低い商材を扱う場合でも、VATを含めた価格設定の見直しが欠かせません。

OSS・IOSSの導入

複数の国で個別にVAT登録する手間を省くため、OSS(One Stop Shop)とIOSS(Import One Stop Shop)という申告の仕組みが導入され、特に越境ECでの物販において重要なのがIOSSで、これはEU外から輸入される150ユーロ以下の貨物を対象とし、購入時にVATを徴収できることがIOSSの大きな特徴です。

IOSSを利用すると販売時にVATを一括申告できるため、購入者が商品受け取り時に税金を請求される事態を防ぐ効果が期待できます。

※出典:European Commission「EU VAT One Stop Shop (OSS)」

マーケットプレイス徴収の拡大

同改正により、電子インターフェース(オンラインマーケットプレイスなど)がVATの目的において「販売者とみなされる(deemed supplier)」ケースが規定されたことにより、EU外の売り手がプラットフォームを通じて商品を販売したり、150ユーロ以下の輸入品を販売したりする場合、プラットフォーム側がVATを徴収して納税する責任を負う場面が拡大しています。

eBayなどがVATを徴収する仕組みも、このルール変更に基づいています。

※出典:European Commission「EU VAT One Stop Shop (OSS)」

VATを理解するときの注意点

VATと関税は別の制度

越境ECで混同されやすいのが、VATと関税の違いであり、VATが「消費税」として商品の付加価値に対して課されるのに対し、関税はEUへの輸入品にかかる税金であり、品目(HSコード)や原産地によって税率が異なります。

目的も計算方法も異なるため、これら2つはまったく別の仕組みとして理解しておく必要があります。

輸入VATと販売時VATは役割が違う

輸入時に税関で論点となる輸入VATと、購入者がチェックアウト時に支払う販売時VATは、発生タイミングが異なりますが、二重課税を意図したものではありません。

IOSSなどの制度を正しく利用し、販売時にVATを徴収した証明(IOSS番号等)を配送業者へ電子的に伝達すれば、輸入時のVATは免除される仕組みです。

※出典:eBay「VAT import regulations for the EU」

情報を正しく連携しないと、購入者が受け取り時に再度VATを請求されるトラブルにつながるおそれがあります。 設定や配送伝票の記載は、事前に確認しておくと安心です。

中古品には特則がある場合もある

中古品や美術品、骨董品を扱う場合、「マージンスキーム」と呼ばれる特別な計算方法が存在することがあり、これは、販売価格の全額ではなく、仕入れと販売の差額(利益部分)に対してのみVATを適用するという制度です。

※出典:GOV.UK「VAT margin schemes: Overview」

ただし、条件を満たさない場合や、プラットフォームがVATを徴収するケースにおいては、マージンスキームが適用されず全額にVATがかかることもあります。\

※出典:eBay「Your VAT obligations in the UK & EU」

一般論だけで判断せず、リユース商材特有のルールとして個別に確認しておくことをお勧めします。

VATに関するよくある質問

VATと関税は同じですか?

関税はEUへ輸入する際にかかる関税率の仕組みで、品目や原産国によって税率が変わる一方で、VATは欧州版の消費税にあたるもので、輸入時や販売時に発生し、各国の標準税率等に基づいて計算されます。

OSSとIOSSの違いは何ですか?

対象となる取引の性質が異なり、OSSは主にEU域内における消費者向けの販売やサービスを、一つの加盟国のポータルからまとめて申告する仕組みであり、IOSSは、EU圏外から輸入される150ユーロ以下の低額貨物に対して、販売時にVATを徴収し申告するための制度となっています。

eBayがVATを徴収するなら何もしなくてよいですか?

いえ、eBayは一定のケースでVATを徴収・送金しますが、すべての取引を代行するわけではなく、在庫国、発送国、販売先の情報整備や、現地でのVAT登録要否の判断は、引き続き売り手側の実務的な論点となります。

EUと英国は同じVATルールですか?

同じではなく、英国は関税上EU外の国として扱われるため、英国独自のVATルールとマーケットプレイス責任の仕組みが存在し、欧州へ販売する際は、EU向けと英国向けでそれぞれ要件を確認すると進めやすくなります。

中古品ならVATは関係ありませんか?

中古品であってもVATは関係し、EUや英国には中古品向けのマージンスキームがあり、条件を満たすと利益部分に対してVATを計算する特則を利用できるため、「中古品だから無税」とは限らない点を押さえておくと安心です。

VAT登録は必ず必要ですか?

VAT登録の要否は、

・在庫の保管場所
・販売先の国
・利用するマーケットプレイス
・販売方法

などによって変わり、EU域内倉庫を利用する場合や、現地ルールによって登録が必要になるケースもあるため、販売形態に応じて確認すると安心です。

まとめ

ここまでの内容を整理すると、以下のようになります。

  • VATは「欧州版の消費税」と捉えつつも、越境ECでは販売先の国により税率が異なる。
  • 関税とは別の制度であり、150ユーロを基準にIOSSの適用や通常輸入のルールが分岐する。
  • プラットフォームがVATを徴収するケースもあるが、設定や価格設計は事業者自身で正しく行う必要がある。

状況に応じてこれらのポイントを整理すると、実務上のトラブルを防ぎやすくなります。

VATの仕組みは、価格設定から配送の手配、購入者からの問い合わせ対応まで、越境ECのあらゆる業務に関わってくる重要な要素**であり、2021年の大きな改正に加え、今後もeコマース向けの制度変更が予定されています。

VATのような制度は、設定して終わりではなく継続的なアップデートが必要で、海外販売や越境ECの知識を整理したい場合は、マーケットプレイス担当者や実務者のセミナーを通じて学べるリユース大学(https://wasabi.global/reuse-academy/)も参考になります。

まずは現在の販売体制を確認しつつ、最新の動向を学ぶ場として活用してみましょう。

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