リユース・越境 コラム

【2026年最新版】アメリカ関税の仕組みと計算方法|デミニミスルール撤廃・トランプ関税の影響を解説

リユース・越境 コラムリユース・越境 現場ガイド関税関連 作成 2026-08-10

これから海外販売を始める方や、始めたばかりの方の中には、

「アメリカ向け販売では関税がどのように計算されるのだろう」
「800ドル以下なら関税がかからないと聞いたことがある」
「デミニミスルール撤廃やトランプ関税のニュースがよく分からない」

と感じている方もいるのではないでしょうか。

米国の関税制度は近年大きく変化しており、これまで越境EC事業者に広く利用されてきたデミニミスルール(少額輸入免税制度)の見直しが進み、トランプ関税として知られる追加関税も継続しているため、以前の情報だけでは判断が難しくなっています。

本記事では、アメリカ関税の基本的な仕組みや計算方法から、デミニミスルール撤廃の動き、トランプ関税の現状、越境EC事業者が押さえておきたいポイントまで初心者向けにわかりやすく解説します。

米国関税とは?

関税とは何か

米国の輸入関税は、海外から米国の関税地域へ物品を輸入する際にかかる公課であり、米国の関税制度においては、HTSUS(米国統一関税率表)というシステムが用いられ、輸入されるすべての物品について、税率や統計区分、特恵税率などの適用の起点を定めている重要な表となっています。

※出典:USITC「About Harmonized Tariff Schedule (HTS)」

このHTSUSの維持と公表はUSITC(米国国際貿易委員会)が行っており、実際の解釈や執行は、CBP(米国税関・国境警備局)が担っているため、関税について調べる際は、これらの機関の動向を確認すると進めやすくなります。

誰が関税を支払うのか

法的には、輸入時に発生する通常関税や追加関税の債務は、輸入者(importer of record)に帰属し、eCFR(電子連邦規則集)には、輸入に付随する関税債務は輸入者の個人的な債務であると明記されています。

※出典:GovInfo「19 CFR §141.1 Liability of importer for duties」

仮にブローカーや配送業者に関税相当額を支払っていても、その業者がCBPへ納付しなければ輸入者の法的責任は消滅しない一方で、ECの実務上は、配送ラベルや販売時の契約条件によって支払者を設定することが一般的となっています。

主な支払い条件の例

  • DDP(仕向地持ち込み渡し・関税元払い):売り手(セラー)が前払いする
  • DAP(仕向地持ち込み渡し・関税着払い):買い手(バイヤー)が負担する

このように、法律上の責任は輸入者にありますが、商流上の費用負担者は売り手・買い手のどちらにもなり得るといえます。

関税率はどのように決まるのか

関税率は、まず品目の分類によって決まり、HTSUSは国際的なHSコードを基礎にした階層構造を持っており、最初の6桁は国際共通のHSコード、続く8桁目が米国の税率ライン、10桁目が統計用区分です。

※出典:USITC「About Harmonized Tariff Schedule (HTS)」

ここで押さえるべき基準は、HSコードそのものが最終的な税率を直接決めるわけではないという点であり、同じ品目であっても、以下の要素によって実効負担は変わってきます。

  • 原産国がどこか
  • FTAなどの特恵税率が適用されるか
  • 追加関税の対象となっているか

HTSの税率欄には「Column 1 General」、「Column 1 Special」、「Column 2」があり、通常の税率や特恵税率などが使い分けられており、HSコードの特定はあくまで税率選択の入口であるため、商品ごとの原産地や追加措置の有無をセットで確認してみてください。

アメリカ向け販売で関係する税金

関税

前述の通り、海外から米国へ物品を輸入する際に課される国レベルの公課であり、越境ECにおいて、まず最初に考慮すべきコストの一つといえます。

Sales Tax

米国向け販売で関税と混同されやすいのが、Sales Tax(売上税)であり、米国には国レベルのVAT(付加価値税)や、全国一律の売上税は存在しない代わりに、州や地方自治体レベルでSales Taxが課されています。

税務上のルールや税率は州ごとに大きく異なる傾向があります。

※出典:Trade.gov「Chapter 4 – Taxes 2025」

オンライン販売の場合、プラットフォーム(マーケットプレイス)側が代わりに徴収・納付を行うケースもありますが、独自ECサイトでの販売では州ごとの基準に応じて登録・徴収義務が発生するかどうかを確認しておくことが重要です。

たとえば、California州はマーケットプレイスが税徴収責任を負う仕組みを持ち、New York州も一定の売上・件数を超える遠隔販売者に登録・徴収を要求しています。

※出典:California Department of Tax and Fee Administration「Tax Guide for Marketplace Facilitator Act」

※出典:New York State Department of Taxation and Finance「Registration requirement for businesses with no physical presence in New York State」

VATとの違い

VAT(Value Added Tax)は、ヨーロッパなどで採用されている多段階型の消費税であり、生産や流通の各段階で付加価値に対して課され、最終消費者が負担する仕組みとなっています。

これに対し、米国のSales Taxは、原則として小売段階でのみ課税される単段階課税のため、同じ「消費課税」と呼ばれるものであっても、制度の設計そのものが異なります。

日本の消費税との違い

日本の消費税は、商品やサービスの取引に対して課税され、消費者が負担し事業者が納付する間接税であり、売上時に受け取った消費税額から、仕入時に支払った消費税額を差し引いて納付額を計算します。

※出典:国税庁「消費税のしくみ」

この仕組みから、日本の消費税はVAT型の制度設計であると分類されるため、米国向け販売を考える際は、「米国は関税+州ごとのSales Tax」、「日本やEUは関税+VAT系の税」というように切り分けて整理すると進めやすくなります。

米国関税の計算方法

課税価格とは

関税を計算する際のベースとなるのが課税価格であり、実際の取引価格を基準に関税を計算する仕組みを、Transaction Value(取引価格)と呼びます。

※出典:GovInfo「19 U.S.C. §1401a Value」

取引価格とは、米国向けの輸出販売において実際に支払われた価格、または支払われる予定の価格のことで、これには商品代金だけでなく、買い手が負担する梱包費や販売手数料などが含まれる一方、国際輸送にかかる運賃や保険料などは、一定の条件を満たせば取引価格から除外することが可能です。

関税額の計算例

最も基本的な関税額の計算式は以下のようになります。

関税額 = 課税価格 × 従価税率

米国の税率には、パーセンテージで課される従価税(ad valorem)のほか、数量に対して課される従量税(specific)、そして両者を組み合わせた複合税(compound)が存在します。

簡単な例として、課税価格が100ドルで、HTSUSの一般税率が8%だとすると、この場合の通常関税は8ドルですが、もしその商品が中国原産であり、Section 301による25%の追加関税の対象となっていた場合、通常関税の8ドルに加えて、追加関税の25ドルが上乗せされ、少なくとも33ドルの関税負担が発生すると考えられます。

デミニミスルールとは?

800ドル免税制度の概要

デミニミス(De Minimis)ルールとは、政府にとって徴収コストに見合わない低額貨物について、一定範囲で無税(duty-free)での輸入を認める制度です。

法的根拠は19 U.S.C. §1321に定められており、2016年に免税の閾値が200ドルから800ドルへと引き上げられました。

※出典:GovInfo「19 U.S.C. §1321 Administrative exemptions」

この変更により、長らく「800ドル以下の貨物であれば関税はかからない」というのが実務上の一般的な目安とされてきました。

なぜ越境ECで注目されていたのか

デミニミスルールが越境ECにおいて非常に重要視されていたのには理由があり、800ドル以下の小口貨物を直接購入者へ発送(直送)する場合、関税コストを削減できるだけでなく、通関手続きの負担も大きく軽減できたからです。

この制度は、低単価の商品を高回転で販売する越境EC事業者にとって、価格競争力を保つための強力な追い風となっていました。

デミニミスルールは現在どうなっている?

2025年以降の制度変更

しかし、2025年春以降、このデミニミス制度に大きな転換が訪れ、まず2025年5月より、中国および香港原産の商品について、800ドル以下であってもデミニミスルール(無税措置)の適用が停止され、その後、2025年7月の大統領令により、この停止措置の対象は特定の国だけでなく全世界へと拡大されています。

※出典:The White House「Suspending Duty-Free De Minimis Treatment for All Countries」

2026年時点の状況

さらに2026年2月には、大統領令によって全世界を対象としたデミニミス適用の原則停止が継続されました。

※出典:The White House「Continuing the Suspension of Duty-Free De Minimis Treatment for All Countries」

現在の状況において押さえるべき基準は、金額や原産国、輸送方法を問わず無税措置が適用されないという点であり、かつては「800ドル以下なら無税」というルールが存在しましたが、商用小口貨物については現在広く停止され、さらに法律レベルでも、2027年7月には商用向け例外措置そのものの廃止が予定されています。

日本セラーへの影響

この制度変更により、日本から発送するセラーへの影響も避けられず、少額直送を前提として成り立っていた価格設計や、通関手続き簡素化のメリットが弱まりました。

商品原価が低くても、通関コストや関税が発生することで、利益率と顧客の購入体験を同時に圧迫するリスクが高まっており、とくに「低単価・高回転」を前提としたビジネスモデルは、最も影響を受けやすい構造といえます。

トランプ関税とは?

Section301追加関税とは

いわゆる「トランプ関税」という言葉にはいくつかの意味が含まれますが、狭義には第1期トランプ政権下で発動された、対中国の追加関税措置(Section 301)を指し、知的財産権の侵害などを理由に、中国からの輸入品に対して多額の追加関税が課されました。

現在も継続しているのか

はい、このSection 301に基づく追加関税は、現在も継続しており、2024年に行われた4年ごとの見直し(Four-Year Review)において、対象となっている中国製品への関税は引き続き維持される方針が示されました。

※出典:USTR「Four-Year Review」

さらに、EV(電気自動車)、半導体、太陽電池などの戦略分野においては、関税率のさらなる引き上げも実施・提案されており、たとえば、半導体や太陽電池は50%、EVは100%へと引き上げられる整理が公表されました。

一部の適用除外措置は2026年11月まで延長されていますが、定期的な見直しが行われています。

※出典:USTR「U.S. Trade Representative Katherine Tai to Take Further Action on China Tariffs After Releasing Statutory Four-Year Review」

中国製品への影響

ここで注意したいのは、「中国から発送されたかどうか」ではなく、商品の原産地が中国であるかどうかが判断基準となる点であり、**原産地が中国である場合、通常の関税率に加えてSection 301の追加関税が重なります。

なお、近年ニュースなどで「トランプ関税」と呼ばれているものには、第1期トランプ政権で始まったSection301だけでなく、2025年以降に打ち出された相互関税(Reciprocal Tariffs)や追加の緊急関税措置を含む場合がありますが、記事や報道によって指している内容が異なるため、トランプ関税という言葉を見た際は、どの制度を指しているのか確認しておくと理解しやすくなります。

米国向け販売で注意したいポイント

価格設定

デミニミスルールの停止により、これまでかからなかった関税や通関コストが発生するようになったため、これらのコストをあらかじめ商品価格に織り込むか、それとも購入者負担とするかの判断が求められます。

低単価商品であっても、従来の「商品価格のみ」で勝負する戦略は見直しが必要で、状況に応じて価格設定を再構築してみてください。

利益率管理

中国で製造された商品(中国原産品)を取り扱う場合、通常税率だけで粗利を計算していると、思わぬ追加関税によって利益計画が崩れる傾向があるため、中国調達品とそれ以外の原産国(日本など)の調達品とで、原価表を分けて管理すると進めやすくなります。

DDPとDAPの考え方

配送時の条件であるDDP(関税元払い)とDAP(関税着払い)の使い分けが、これまで以上に重要となっており、DAPを選択した場合、商品到着時に購入者へ関税の請求がいきますが、事前の説明が不十分だと受け取り拒否などのトラブルにつながり、顧客体験の悪化を招く恐れがあるため、商品の単価帯やターゲット層に合わせて、どちらの条件を採用するか検討してみてください。

制度変更への対応

米国の関税制度は、現在進行形で変更が続いており、Section 301の適用除外品目の見直しや、州ごとのSales Taxの徴収ルールの変更など、常に最新情報を追う必要があります。

過去の知識に頼らず、最新のHTSUSやCBP(税関)、USTR(通商代表部)の通知を、注文時点や出荷時点で確認する運用体制を整えておくことが欠かせず、必要に応じてCBPの事前確認制度を活用し、分類や評価の不確実性を減らしておくという方法があります。

よくある質問(FAQ)

アメリカの関税は誰が払う?

法的には輸入者(importer of record)が関税債務の責任を負いますが、ECの実務上は、DDP(売り手負担)やDAP(買い手負担)といった販売条件を設定することで、実際の費用負担者を調整することが可能です。

800ドル以下なら本当に無税?

2026年時点においては、一般論として「800ドル以下なら無税」とはいえず、大統領令により、金額や原産国、輸送方法を問わず、デミニミス(無税措置)の適用が原則として停止されているためです。

デミニミスルールは廃止された?

実質的に機能が停止され、2025年に全世界向けの停止措置が発動、2026年2月にも継続命令が出されており、さらに、2027年には法律によって商用向け例外そのものが廃止される予定です。

トランプ関税は現在もある?

はい。狭義のトランプ関税であるSection301追加関税は現在も継続しています。

個人販売でも関税は関係する?

関税は法人の規模に関わらず、米国へ輸入される物品であるかどうかが基準となり、とくにデミニミス停止後は、個人規模の小口販売であっても関税や通関コストの影響を受ける可能性が高まっています。

まとめ

ここまでの内容を整理すると、米国関税においてはデミニミスルールの停止や、追加関税の継続など、大きな変更が進行中であることがわかります。

扱う商品がこれらの影響を受ける場合は、単なる税率の確認にとどまらず、原産地や通関方式、州税の扱いなどを一体として見直してみてください。

米国関税の制度は一度覚えて終わりではなく、継続的な情報収集が重要ですので、まずは最新の制度動向や、扱う商品の該当状況から確認してみましょう。

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