ただのFacebookの「副業」か?あるいは新しい未来の「開拓者」か?-Facebook Marketplace
海外EC調査部2022-02-09
概要
Facebook Marketplace(以下FM)は近隣エリアを中心に売買を行うために開発されたオンラインマーケットプレイスです。
2016年に、FMがFacebookという総合ソーシャルサービスの一部としてデビューしました。
FMの特徴とメリットは、Facebookで直接、自分のものを出品したり、お買い得なものを見つけたりできることです。
他のアプリをダウンロードしたり、新しいアカウントを設定したりする必要はありません。
FMでは、衣料品からテレビ、車、さらには不動産など、幅広いアイテムが揃っています。
個人、ビジネスのどちらでも、販売するアイテムを出品でき、中古品新品両方の出品がされています。
仕組み
Facebookの一部とはいえ、FMはマーケットプレイスとしての機能を完備しています。
購入する場合は、検索を利用して、近隣の利用者が販売しているアイテムや店舗で販売されている最新のアイテムを見つけることができます。
特定のアイテムを検索したり、カテゴリ別に閲覧したりもできます。
FMではある特別な機能があります。
自分と共通点がある利用者の販売グループで購入できます。
特定の地域や興味、アイテムなどを検索して販売グループを見つけることができます。
購入を決めたら、FacebookのMessenger機能を利用して販売者に質問したり、受け取り方法を相談したり支払いを行ったりできます。
以上のような個人のアカウントに基づく売買を行う場合は、FMは手数料を取りません。
手数料が取られるのはビジネス向けのサービスだけです。
その場合は、販売額の5%、あるいは8ドル(約910.66円)以下の取引については定額で0.40ドル(約45.53円)となります。
Facebookについて
FMを紹介するにはやはり親会社Facebookに触れることが必要だと思います。
ある意味で、Facebookはソーシャルメディアの代名詞です。
1990年代、インターネットがアメリカの研究や軍事専用から世界中誰でも使えるネットワークに変わっていました。
この転換期の中で、インターネットを通じて新たなコミュニケーションを形作ろうとしていたいくつかの試みがありました。
Eメールより便利なインスタントメッセンジャーICQやマイクロソフトのMSNなどが現れ、インターネット上のコミュニケーションがリアルタイムになりました。
そして、MyspaceとFriendsterという利用者が自分の写真や趣味についての情報発信ができるサービスが誕生。
これによって、インターネットでの自己発信時代が始まりました。
2004年、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)がルームメイトと共にハーバード大学の寝室でFacebookを創立しました。
最初の利用者はハーバード大学の学生に限定されていましたが、徐々にサービスがほかの大学に広がり、MSN Spaceより使いやすい直感的なユーザーインターフェースやさまざまな機能のおかげで、大学生の間で人気が急上昇しました。
マーク・ザッカーバーグは、まさに「現実」をコピーペーストするように、大学での社交的な体験をインターネットに移しました。
それから、ウォール・ストリートの投資者たちから投資を集め、ソーシャルメディアの王者への物語が始まりました。
2006年に、Facabookは大学生限定ではなく、誰でも使えるサービスになり、会社の急成長期に入りました。
2012年に上場し、当時最大融資額のIPO(1040億ドル)になりました。
2020年、Facebookのアクティブユーザー(活発に、あるいは日常的に利用している人)は28億人になっています。
つまり全世界人口の三分の一以上の人がFacebookを使っています。
日本でよく使われているインスタグラム(Instagram)もFacebookの子会社です。
2021年、Facebookの会社名が「Meta」に変わりました。
メタバースという構想
Metaverse(以下メタバース)が最初に出てきたのはNeal Stephenson(ニール・スティーヴンスン)のSF小説でした。
簡単に言えば、メタバースは「現実を超える世界」、つまりVR(バーチャル・リアリティ:仮想現実)技術を利用して、もう一つの「現実」を作り出すことです。
最近、フェイスブックが会社の名前を「Meta」に変更したことをきっかけに、メタバースという言葉が全世界の注目を集めています。
実は、メタバースに興味がある会社はフェイスブックだけではありません。Microsoft(マイクロソフト)がゲーム大手Activision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)を約7.9兆円で買収したのも会社のメタバース計画の一部だと言われています。
GoogleやAppleもメタバース関連事業に注力しています。
歴史的な経験から見ると、ビッグテック(通常Google、Amazon、Facebook、Appleと Microsoftを指します)の動きがその分野の発展の方向を決めています。
ですから、今日の計画が明日の現実になる可能性がかなり高いのです。
総合的に見れば、メタバースの実現に一番近いのはフェイスブックです。
2014年に、FacebookがVRハードウェアおよびソフトウェア製品を開発する会社Oculus(オキュラス)を買収しました。
それによって、世界で一番のVR環境を構築する能力を手に入れました。
VRハードウェアの普及率とソフト開発の難題があって、VRで買い物すること、いわゆるVRショッピングの進みが遅いですが、かつて一度難航していたパソコンやスマホと同じように、普及する日が来るのは時間だけの問題です。
Facebookの特徴から考えると、SNSとVRショッピングの結合は多分FM未来のカタチかもしれません。
日本からの出品と購入
Facebookのアカウントを使えば、出品と購入ができます。
ただし条件があり、言語設定をサービス提供がされている地域(例えば英語圏など)にしなければ、アイコンが表示されません。利用の場合には、言語設定を変更する事が必要です。
また作成したばかりのアカウントはマーケットプレイスのアイコン表示がされない事も多く、一定の信頼度が求められている可能性があり、Facebook側である程度の判定がされているようです。
まとめ
コロナの影響で、ライススタイルと働き方が変化しています。
自粛や感染防止のため、人と人のリアルな接触が減っています。
一方、Facebookやインスタなどのソーシャルメディアを通じて、「二次元」のコミュニケーションが増えつつあります。
多数の「現実」に存在する会社の売上減少に反して、「もう一つの現実」を作り上げたビッグテックがいずれも過去最大の売上を公表しました。
ほとんどの先進国がウィズコロナの政策を採っていますので、ビッグテックを代表とするIT会社が今後もきっと重要な役割を演じると思います。
この傾向が続けば、ゲームだけでなく、近い未来にVRでもっと体感的に買い物するのも夢ではないと思います。
まさにアニメ映画『サマーウォーズ』の仮想世界「OZ」のように、将来、私たちがメタバースにもう一つの自分と生活を持つことになるかもしれません。