【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.19】アジア編ーフィリピン 人気の日本製リユース品は「ぬいぐるみ」と「タンス」
海外リユース探訪記2024-01-09
過酷なオークションイベント運営事情
フジジャパンオークションを視察中、運営に関する話を訊くことができました。主催する側も利益獲得が大変で、1ヵ月に8本も催さなければまともなビジネスにはならないようです。主な利益は参加者から支払われる手数料で、数多く開催してなおかつ人もたくさん集めなければなりません。当然、場所代や人件費等々さまざまなコストの負担も軽くないわけで、赤字続きで撤退してしまうようです。
また、「雇用」の問題も重大です。日本とフィリピンの人々の間にはさまざまな価値観の違いがあります。日本人にとっては「当たり前」でも、現地の人にとっては常識外だったりなんてよくあること。フィリピンの人はよくも悪くも大らかで大ざっぱです。中にはルールを守らないどころか、オークションに入り込んで商品の盗難を繰り返すような人もいます。そのため、現場をうまく仕切り、人材の監督指導を行ってくれるような協力者やスペシャリストの存在がビジネス成功には必要不可欠です。
それらに加えて悩ましいのが「雨季」の存在。雨季は非常に長く、6月から11月の6ヵ月間、断続的な激しいスコールに見舞われます。さらに海抜が低い地域が多く、下水設備も不十分であるため、浸水や洪水によって各地のインフラが頻繁に機能停止を起こしてしまいます。流通や移動に与える影響も大きく、地方からマニラへ訪れる人は深刻な足止めを食らってしまうのです。
家具はデザインより耐久性を重視
もう一ヵ所、「JCSR Japan Surplus Auction」というオークションも視察しました。日本から持ち込まれたリユース品は「Japan surplus(ジャパンサープラス)」という呼称で高く評価されています。
日本からの品物の中でも特に需要が高いものの一つが、意外にもぬいぐるみ!
倉庫内にはたくさんのキャラクターのぬいぐるみが用意されており、人気の高さが窺えました。
もう一つの人気商品がタンスや食器棚です。日本製が特に好まれているようで、どちらかといえばデザインよりも耐久性重視。すぐに剝がれたり折れたり(合板)することなく、長く使い続けられる、がっしりした素材や設計がなされたものが高く評価されています。最近は都市部でのタンス需要がひと段落し、地方へ広げようとしていますが、雨季の問題で流通がスムーズにいかず在庫が捌けなくなっているのだとか。
しかしまあ、「日本にこれだけタンスが余っていたのか!?」という気持ちになりました。実は日本はタンス大国でもあったのです。普段生活しているだけではなかなか気づきませんね。