【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.37】ヨーロッパ編 ー イギリス
コラム海外リユース探訪記2024-08-22
この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。
支援内容は三者三様 支持者がショップを選ぶ環境
イギリスでは、学校教育によってチャリティ活動に積極的に参加する人が多くいます。このような需要があるからこそ、街中に多くのチャリティショップが開かれているのでしょう。
日本においては、リユースショップは馴染みがありますが、チャリティショップはまだまだ珍しく感じてしまいがちなものです。イギリスではごくごく当たり前、ふつうのお店でショッピングをするのと何ら変わりないのです。
洋服や雑貨などの寄付も日常的に行われており、どの店でも十分な品ぞろえが確保されていました。地元に住んでいる方々が、不要になったものを定期的にショップへ持ってきてくれるのでしょうね。
そういったお店の商品に取り付けられたタグを見てみると、「W22」や「W20」と何やら暗号めいた言葉が書かれていました。スタッフの方にこの意味を聞いてみると、「店頭に陳列されてから何週間経過したか」を表しているとのこと。
ある程度の期間が経過した品はストックと取り替えるそうです。取り替えた品は捨てるのではなく、一定期間が経過したらまた店頭に並べます。在庫を循環させることによって、お客を飽きさせない工夫をしているんですね。
推せる慈善団体を「選択」する
さらに興味深いのは、イギリスの人々がチャリティショップを「選ぶ」という点です。あまり馴染みのない我々からすれば、「チャリティショップなんてどこも同じでは?」と思ってしまうかもしれません。でも、実は違います。
一口にチャリティショップといっても、運営団体によってどのような支援を行っているかが異なっています。代表的な慈善団体を挙げると、「オックスファム」では、災害や戦争で貧困に苦しんでいる人々への支援、「イギリス心臓病支援基金」では、難病の治療支援を重視しています。利用者の多くは支援内容を事前に把握することで、賛同できる支援に応じて利用するショップを選ぶわけです。こういった形での支援活動は、日本でいうなら「ふるさと納税」が近いかもしれませんね。
「シェルター」という、路上生活者支援や環境保護のチャリティ活動を行っているお店で印象的なメッセージを見かけました。「衣服の寿命を2倍にすることで、温室効果ガスの排出量を44%削減できる」というもの。ファストファッションに慣れてしまい、衣類を買っては捨ててを繰り返している我々ですが、その習慣を見直すべきなのかもしれませんね。
リサイクルについての意識も高いようで、街中にあるゴミ箱のほとんどがリサイクルボックスでした。紙類やペットボトルだけでなく、古着専用のボックスも各地に設置されており、探し回る手間もかからないでしょう。これだけ環境が整っていれば、日常の一環としてリサイクルやチャリティに取り組むことができそうです。
筆者紹介
株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中。