【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.44 マレーシア編3
お知らせコラム海外リユース探訪記2024-12-16
この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。
地元のリユースショップをいくつか巡りましたが、なかには各国の駐在員が引っ越した後の物を引き取り並べただけのショップや、露骨に手を加えたことが分かるリペアブランド品を置くラグジュアリーショップも見受けられました。一方で、専門商材に特化したショップもありました。
「専門商材」と「仕組み化」で発展マレーシアの現地マーケット
商品の質はピンからキリまで
倉庫の天井に届かんばかりに積まれた衣類のベール
ヴィンテージ腕時計を販売していたのは「9th watch PLT」。2000万円以上する高級ブランド品も販売しています。ただ、本来の富裕層は、こうした商品を購入しても安全な場所へ保管しておくだけで、身に着けて外出したりはしないそうです。それは札束が歩いているようなもので、治安的にかなり危険だとか。
「Bundle Preloved」はなかなか尖ったお店で、なんとリユース防寒着の専門店。1年を通して滅多に気温が20度を下回らないマレーシアで、果たして防寒着を売ってビジネスになるのかと疑問に思いますが、どうやらスイスや冬の日本でスキーがしたい海外旅行者向けに販売しているようで、なかなか繁盛していました。店内で旅行会社の方が思いっきり営業していたのは面白かったですね。
マレーシア発超巨大中古アパレル
セカンドストリートのライバル的存在で、マレーシアでも最大規模のリユースアパレルショップの「JBR Bundle Klang」も訪問。広大な店内では、衣類、バッグ、食器や玩具が販売され、整頓された陳列で利用しやすい店づくりがなされていました。
品ぞろえもよく、ブランドジーンズが大量に売られていたり、ラルフローレンのシャツが500円弱の価格だったりで、この店でピックすれば日本に持って行っても利益を得られそうです。ただ、偽ブランドと思われる品も混じっていたので、注意は必要です。
このショップへ商品を卸している「Hong Soon Hung(M)Sdn Bhd」の古着倉庫も訪問させていただきました。
輸入した古着を仕分けする現場はアナログながら大規模なシステム。ベルトコンベアから流れてくる衣類を大まかに分類してダクトパイプで階下へ落とします。落ちてきた衣類をチェックし、問題なければプレスしてベールを作り出荷。分類が間違っていたらダクトパイプの上流へ戻します。約300人ものスタッフがテキパキと作業をこなしていました。スタッフの多くはインドネシアやミャンマーからここへ働きにやってきたそうです。
我々が見かけたベールの山はインド行きのもので、コットンやアクリルセーターでした。日本への出荷についても聞いてみましたが、今のところはウェスだけとのことです。仕入れ先は品質等の理由から、日本だけに絞っているようです。
マレーシアのような発展したマーケットに参入するのは案外難しいかもしれません。たとえばJJJの場合、徹底した「仕組み化」を行い、売り方に対してひたすら創意工夫を行った上での成功です。海外での古着リユースビジネスは参入者が増加しており、成功のためには他よりも一歩進んだ創意工夫が求められるでしょう。
筆者紹介
株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中