【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.45 アメリカ(ロサンゼルス)編1
お知らせコラム海外リユース探訪記2024-12-16
この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。
今回訪れたのは、アメリカ合衆国・西海岸カリフォルニア州に位置するロサンゼルス(L.A.)
せどり目的も利用可能相場格差で利益化のチャンス
1世紀以上続くチャリティ系中古店
大型ディスカウントモール内に店舗を構える
以前、アイルランドやイギリスで紹介したチャリティーを兼ねたリユースショップがここL.A.にもあります。そのうちのひとつが「Goodwill Southern California」です。ここでは、薬物依存者やホームレス、退役軍人や障がい者等の就職が困難な人々のためにリハビリや就職支援を行っています。
お店の品物は寄付で賄われている点についてはイギリス等で見かけたチャリティーショップと同様ですが、規模はかなり大きいです。1916年代に創立され、9000万人を超える支援者がいる団体なので、当然といえば当然なのかもしれません。
玩具やプリンタ、雑貨等も販売されていますが、やってきたお客の様子を見ていると、やはり古着目当ての方が多いようです。中には、有名ブランドの古着が紛れ込んでいることもしばしば。それらを探し出して格安価格で購入し、eBay等に出品するといったせどり目的で利用している方もたくさん見かけました。
かくいう我々も古着コーナーを物色し、30年代に製造されたヴィンテージ品と思われるニットのシャツを見つけることができました。このお店では日本円にして1200円(8ドル)程度でしたが、1万円以上の価値があるなかなかの掘り出しものです。
もうひとつのチャリティーショップは「The Salvation Army Thrift Stores」。運営元は、世界中で貧困からの救済や教育の普及、反人身売買活動を行っている、イギリス発祥のプロテスタント系非営利団体です。
ジーンズのコーナーを物色していると、突如現地の人に話しかけられてビックリ!お話を聞いてみると「いい古着はセカンドストリートにあるよ!」とのこと。
米ブランドは低相場で魅力的な仕入れ先
というわけで、次は掘り出し物の多かった「セカンドストリート パサデナ」へ。たとえば、日本にファンが多く、場合によっては4万円近くの高値で取引されるようなSupremeとTHE NORTH FACEのバックパックがここでは約1万円(66ドル)程度!同じくSupremeの「ESP6 Panel Cap」は日本では5500円ほどで取引されるにも関わらず、ここでは約1800円(12ドル)という安値。その逆もあり、日本では2~3000円程度が相場となっているAPEのシャツは109ドル(約1万6500円)という高価格!
どうやらアメリカ国内のブランドは安く、日本のブランドは高めで取引きされているようです。この価格差の大きさを考慮すれば「仕入れ先」としてもかなり魅力的ではないでしょうか。
現在アメリカでは古着の買取ビジネスを行う業者やせどらーが増えていますが、その火つけ役となったのは、セカンドストリートではないかと考えます。それまで寄付文化の方が盛んであった環境において、セカンドストリート等の大規模な古着買取ビジネスモデルの上陸は、かなりのインパクトがあったのではないでしょうか。とはいえ、アメリカ各地での出店コストやセキュリティ関連の出費は決して少額ではなく、まだまだ利益還元はできていないと思われます。今後、どのようにリユースアパレルビジネスを展開していくか、要注目です。
セカスト パサデナ店はリゾートチックな内装
株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中