【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.49 アラブ首長国連邦編1
お知らせコラム海外リユース探訪記2025-02-18
この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。
22年11月、23年9月の月の2度にかけて、アラブ首長国連邦(UAE)の都市ドバイへ、リユース視察に行ってきました。ドバイはUAEに含まれる7つの首長国の一つ、日本における県のような立ち位置です。
UAEの経済都市・ドバイ
経済特区経由の貿易で関税対策
経済特区経由で関税優遇を利用する

米やパキスタン等から毎月大量の古着を輸入し、ベールで欧州諸国へ輸出している
ドバイの裕福なイメージはどこからくるのか?
「石油の産出」「天然ガスの発掘」などと言われますが、どちらも不正解です。
本当の理由は「貿易」。ドバイ内には20を超える「経済特区(フリーゾーン)」が設けられており、この区域内では外資系企業に対して「関税や法人税がかからない」「外資規制なく100%の出資が可能」等々、世界的に見ても非常に大きな特権が付与されています。その上、港や空港、車道に鉄道等の輸送機関といった交通インフラも充実しており、大企業が海外進出するにあたって、うってつけの拠点となっています。
日本を含めた先進国の大企業が数多く誘致された結果、ドバイは中継貿易や加工貿易の「中継地点(ハブ)」として大きな発展を遂げました。
海外でリユースビジネスを展開したい業者にとって注目すべきは、フリーゾーンを利用した関税の節約です。フリーゾーンを経由して再輸出する製品には関税がかかりません。日本から直接製品を輸出しようとすると、高い比率の関税が課される国でも、途中でドバイを経由して再輸出すれば、ドバイから輸出した製品扱いになり、大幅にコストを削減できるというわけです。

未選別のいわゆる「最上流」の山をスタッフが仕分ける
世界有数の古着市場倉庫街
ドバイの隣の首長国・シャルジャでは、古着倉庫をたくさん見かけました。多くの古着やヴィンテージ品がベールでまとめられ、ドバイを経由してヨーロッパへ輸出されているそうです。輸入先は、アジアやアフリカのみならず、輸出先と同じヨーロッパ地域も含まれているのだとか。
また、倉庫間で売買が行われていたり、輸入国を限定した倉庫もあるようでした。いったいどれだけの場所からどれだけの品々が集まっているのか、底知れなさを感じます。
倉庫を見学させてくれた「Best Star Trading LLC」へ入ってきている品は、ノーブランドのシャツやジャケット等の古着、そして下着類。それらは、誰も手をつけていない未選別のものでした。状態の良いもの、納得のいく値段で売れそうなものがたくさん残っています。
毎月倉庫へ大量に入ってくる品々を、スタッフの方々が慣れた手つきでさばいていきます。コンベアーも使いながら種類ごとに細かく分類し、ベールに加工します。
どうも仕入れ元によって質はピンキリなようで、場合によってはウェスぐらいしか使い物にならないそうです。ちなみに、以前扱った日本からのベールはあまり質が良くなかったので、今は仕入れていないとのことでした。日本で質の良いものをピックしたい場合、東京や大阪等の都心部からの仕入れを狙う必要があります。ぜひ、再度日本からの輸入にチャレンジしていただきたいですね。

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中