【2026年最新版】関税の仕組みと計算方法を初心者向けに解説|DDP・DDU・インコタームズの違いも紹介
リユース・越境 コラムリユース・越境 現場ガイド 作成 2026-08-10

これから海外販売を始める方や、始めたばかりの方の中には、
「関税は誰が支払うのだろう」
「商品価格以外にどれくらい費用がかかるの?」
「DDPやDDUって何が違うのだろう」
と感じている方もいるのではないでしょうか。
越境ECでは、関税の仕組みを理解していないと、想定外の費用が発生したり、購入者とのトラブルにつながったりすることがあります。
また、関税は商品代金だけで決まるわけではなく、送料や保険料、販売先の国、インコタームズ(国際取引条件)によっても負担額や支払い方法が変わります。
本記事では、関税の基本的な仕組みや計算方法、DDP・DDU・DAPの違い、インコタームズの考え方までを初心者向けに解説しますので、海外販売や越境ECに取り組む際に押さえておきたい基礎知識を確認していきましょう。
関税とは?まず押さえたい基本知識
関税の役割と考え方
関税は、国境を越えて入ってくる物品に対して課される税金で、もともとは国家の財源を確保する手段として用いられていましたが、現在では国内産業を保護する役割も大きくおり、輸入品に税金をかけることでその分のコストが上がり、自国で生産された商品が価格競争で不利にならないように調整する機能を持っています。
※出典:財務省「わが国の関税制度の概要」
また、税関は適正な税金を徴収するだけでなく、貿易の円滑化という使命も担っており、関税の仕組みを理解することは、スムーズな通関や購入者の受け取り体験にも直結するといえます。
関税と輸入消費税の違い

海外販売において混同されやすいのが、関税と輸入消費税の違いであり、関税が輸入品そのものに対して課されるのに対し、輸入消費税は輸入品が国内で消費されることに対して課されます。
日本に輸入する場合、関税がゼロであっても、輸入消費税は別途発生する仕組みとなっていますが、これは海外向けの販売でも同様の傾向があります。
たとえば、仕向国で関税が無税となる品目であっても、VAT(付加価値税)やGST(物品サービス税)と呼ばれる消費税相当の費用が購入者に請求されることが考えられ、「関税がゼロなら税負担もない」という認識はトラブルのもとになるため注意が必要です。
関税は誰が支払う?
法的原則として、関税や輸入消費税を支払う義務があるのは「輸入者」や「荷物を引き取る人」であり、日本の輸入取引においても、輸入品を引き取る者が納税義務者として定められています。
しかし越境ECの実務においては、法律・売買条件・配送会社の設定という3つの要素が絡み合い誰が支払うかが変わり、通常は購入者(受取人)が到着時に支払うケースが多いものの、販売戦略として売主が事前に関税や税金を負担し、購入者への追加請求をなくす方法を選ぶことも可能なため、販売方針に合わせて適切な条件を選択していく視点が求められます。
関税はどのように決まる?

HSコードが重要な理由
関税の税率を決める上で基礎となるのが、HSコード(輸出入統計品目番号)です。
HSコードは国際条約に基づき、あらゆる物品を分類するために使われる番号で、上6桁は世界共通のルールで分類されますが、7桁目以降は各国が独自の統計細分などを設定できるようになっています。
同じ商品であっても、輸入国によって判断が分かれ、適用されるコードが異なることも珍しくなく、輸出元のコードをそのまま使った結果、仕向国の税関で異なる分類とみなされ、想定外の税率が適用されたり通関が遅れたりするリスクがあったりと、正確な関税額を算出するためには、HSコードによる分類を正しく行うことが欠かせません。
※出典:ジェトロ「HSコード」
課税価格の考え方
税率をかける対象となる「課税価格」の算出方法も、国ごとに違いがあり、日本へ輸入する場合は、商品代金に仕向地までの運賃や保険料を含めたCIF(Cost Insurance and Freight)価格を基準として計算されるのが一般的ですが、米国のように商品価格(FOB価格)を基準とする国も存在するため、日本の輸入ルールだけを基準に「関税は必ず送料を含めた金額で計算される」と考えるのは早計です。
販売先の国がどのような基準で課税価格を決定しているのか、仕向国のルールを個別に確認することが実務上の基本となります。
原産地やEPA・FTAも影響する
商品がどこで作られたかを示す「原産地」も、関税率を左右する重要な要素であり、日本と経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を結んでいる国へ輸出する場合、条件を満たせば通常の税率よりも低い特恵関税率が適用されることがありますが、このメリットを享受するためには、所定の原産地証明書を用意するか、自己申告制度に基づく手続きが必要です。
ただし、協定税率を利用すれば必ず安くなるわけではなく、もともとの一般関税率(MFN税率)がすでに低い国の場合、手間をかけて原産地証明書を用意する意味が薄れるケースもあるため、対象国の税率を事前に比較・確認しておくことが大切です。
※出典:ジェトロ「輸出時の原産地証明書の使用方法および輸入者のメリット」
関税の計算方法

基本的な計算式
日本向けの輸入を例にすると、関税計算の基本的な流れは以下のようになります。
まず、商品代金に送料や保険料などを足して「課税価格」を算出し、この課税価格に関税率を掛けたものが「関税額」です。
具体的には、以下のように計算が進みます。
- 商品代金:40,000円
- 送料:5,000円
- 保険料:500円
↓
課税価格:45,500円
↓
関税率10%(※目安として仮置き)
↓
関税:4,550円
↓
輸入消費税計算(課税価格+関税額などを基礎に計算)
海外へ販売する場合も、このように商品代金だけでなく輸送コストを含めた総額に対して税金がかかるケースが多い点を押さえておきましょう。
送料を含めると課税対象額が膨らみやすいため、購入者の負担額を想定する際には送料込みの全体像で計算することが必要です。
アパレル・時計・バッグの計算イメージ
取り扱う商材によって、適用される税率や負担感は大きく変わります。
たとえば、時計は多くの国で関税が無税になりやすい品目ですが、関税がゼロでも輸入消費税等は発生するため、購入者の支払いが完全になくなるわけではない一方、アパレルの場合は関税がかかることが多く、商品代金に送料を加えた額をベースに計算されると、購入者の税負担が想定以上に大きくなる傾向があります。
特に注意したいのが、リユース品の扱いです。
中古のラグジュアリーバッグであっても、「ブランド品だから」ではなく「バッグという品目だから」という基準で税率が分類され、中古品でも新品と同様に分類に基づく税金が発生するため、事前の見積もりでは商材の素材や属性を正しく把握することが重要です。
少額輸入や簡易税率制度とは?
少額の貨物に対しては、通関の手間を省くための簡略化されたルールが存在し、日本の場合は、課税価格の合計が20万円以下の一般輸入貨物や国際郵便物に対して「簡易税率」が適用される制度があります。
数千もの分類から調べる代わりに、7つの大きな区分で税率が決まる仕組みで、課税価格が1万円以下の場合は、原則として関税や消費税が免除されます。
※出典:税関「少額輸入貨物の簡易税率」
ただし、革製のバッグやニット製衣類、履物などは、わが国の産業への影響を考慮して簡易税率や免税の対象外とされており、これはあくまで日本の輸入ルールの話です。
海外へ販売する際に「1万円程度なら免税になるだろう」と日本の基準をそのまま当てはめると、仕向国の異なるルールによって購入者に請求が届く原因となります。
※出典:税関「1001 総額20万円以下の貨物の簡易税率(一般輸入貨物、国際郵便物)」
DDP・DAP・DDUとは?

インコタームズの基本
越境ECの配送設定を考える上で避けて通れないのが「インコタームズ(Incoterms)」です。
インコタームズとは、国際商業会議所(ICC)が定めた国際取引条件のルールのことで、売主と買主の間で、どこまで輸送手配を行うか、どの時点でリスクが移転するか、通関費用をどちらが負担するかを明確にするために使われます。
ここで注意したいのは、インコタームズはあくまで売買契約上のルールであり、配送会社への実際の請求設定とは別概念であるという点であり、インコタームズで取り決めを行っても、配送業者の送り状で正しく支払い設定を行わなければ、意図しない相手へ請求が行く可能性があります。
DDPとDAPの違い
現行のインコタームズでよく使われる条件が、DDPとDAPです。
DDP(Delivered Duty Paid:仕向地持込渡し・関税込み)は、売主が輸送にかかる費用だけでなく、輸入通関の手続きや関税、現地の税金までをすべて負担する条件で、購入者から見れば「追加の支払いなしで商品を受け取れる」状態になります。
一方のDAP(Delivered at Place:仕向地持込渡し)は、売主が指定の場所まで輸送を手配しますが、輸入通関や関税、現地の税金は買主(購入者)が負担する条件です。ECサイト上では安く見えても、商品到着時に購入者へ税金の請求が行くため、事前のアナウンスが不足しているとクレームにつながりやすい特徴があります。
※出典:DHL「How Incoterms Impact Customs Clearance」
DDUは現在どう扱われている?
海外配送の用語として「DDU」を見かけることもありますが、取り扱いには注意が必要です。
DDU(Delivered Duty Unpaid)は、インコタームズ2000まで存在していた古い規則であり、現在(インコタームズ2010以降)はDAPに統合・置き換えられています。
※出典:FedEx「Delivered Duty Unpaid (DDU) Definition and Meaning」
旧称ではあるものの、実務の現場では「受取人払い」を意味する慣用句として使われ続けているケースがありますが、解釈のずれを防ぐためには、現行ルールのDAPやDDPを用いて条件を明示するのがより確実なアプローチです。
越境ECで関税理解が重要な理由
価格設計に影響する
関税や税金の負担をどちらが持つかは、商品の着地価格(最終的にかかる総額)を大きく左右し、DDPを選択して売主が税金を負担する場合、そのコストをあらかじめ商品価格や送料に上乗せして設計する必要がありますが、利益計算の段階で現地のVATや通関手数料を見落とすと、売れれば売れるほど赤字になる危険性があります。
一方でDAPを選択すると、表面上の販売価格は抑えられますが、他の競合セラーがDDPで「関税込み」を謳っている場合、購入者は最終的な支払い総額を比較して他店へ流れるかもしれないため、利益確保とターゲット市場の購買傾向のバランスを見極めることが求められます。
配送トラブル防止につながる
関税の知識不足は、そのまま配送トラブルや遅延の原因になり、発送時に正確なHSコードやインボイス(商業送り状)の記載がなければ、現地税関で確認作業が発生し、荷物が保留されるケースがあります。また、関税の支払い義務者が不明確なまま発送してしまうと、通関業者から確認の連絡が入り、スムーズな配達ができません。
配送会社のヤマト運輸でも、関税等諸費用はお届け先で負担することが原則であり、金額の事前案内はできない旨を明記しており、通関で荷物が止まることは、購入者からの「いつ届くのか」という問い合わせ急増につながり、運営コストを圧迫する要因となります。
※出典:ヤマト運輸「国際宅急便の関税(関税等諸費用)とは、何ですか?いくらかわかりますか?」
顧客満足度にも関わる
想定外の関税請求は、購入者の満足度を著しく低下させかねず、DAP条件で発送した場合、商品を受け取る際に配送業者から高額な税金を請求され、「送料込みだと思っていたのに騙された」と悪いレビューをつけられるケースが少なくありません。
さらに深刻なのは、購入者が支払いを拒否し、受取拒否に発展するパターンであり、受取拒否になった場合でも現地で発生した税金は消滅せず、最終的に差出人(売主)へ関税や返送費、廃棄費用の請求が回ってくる可能性が高くなるため、顧客体験の悪化を防ぎ、販売側のリスクを軽減するためにも関税のコントロールは欠かせません。
関税で失敗しないためのポイント
関税込みかどうかを明確にする
もっとも基本的な対策は、購入者へ事前のアナウンスを徹底することであり、DAPで発送し購入者に税負担をお願いする場合は、商品ページや決済画面、ショップのポリシーページに「輸入関税や税金は商品価格や送料に含まれておらず、購入者の負担となる」旨をはっきりと記載することが大切です。
「送料無料(Free Shipping)」という表現は、購入者に「追加費用は一切かからない」と誤認させやすいため特に注意が必要であり、事前の期待値調整を行うことが、クレームを未然に防ぐ最大の防御策となります。
国ごとのルールを確認する
販売先の国がどのような関税ルールを設けているのか、定期的に情報をアップデートする姿勢も大切で、国によって免税となる金額の枠が異なったり、特定の商材に対して追加の関税がかけられたりすることがあります。
また、法改正によって急に免税ルールが廃止されるケースもあるため、すべてを完璧に把握するのは難しくても、扱う商材が主要な販売先でどのように扱われているか、傾向だけでも掴んでおくと価格設定や配送方法の判断がしやすくなります。
配送会社やモールの仕様も確認する
利用するプラットフォームや配送会社の独自の仕様も確認が必要で、たとえばeBayでは、販売者が自身で海外発送を手配する場合、輸入費用は買い手負担とするのが通常のルールですが、「eBay International Shipping」というプログラムを利用した場合は、eBay側が購入者へ輸入費用を案内し徴収する仕組みになっています。
※出典:eBay「Taxes and import charges」
また、モールのポリシー変更にも注意が必要で、eBayでは2025年10月以降、日本や韓国から米国へ発送する2,500ドル未満の荷物について、DDP物流サービスの利用を求める新たなルールが設定されました。
非DDPで紛争が起きた場合、売り手のアカウントに制限がかかる可能性があるため、販売チャネルごとの最新の仕様に合わせた配送設計が求められます。
※出典:eBay「Shipping Policy for Packages from Japan and Korea to the United States」
よくある質問(FAQ)
関税と輸入消費税は何が違いますか?
関税は「国境を越える物品そのもの」に対して課される税金で、国内産業の保護を目的とされている一方、輸入消費税(VATやGSTなど)は「国内で消費されること」に対して課される税金であり、関税が無税の品目であっても、輸入消費税は別途かかるのが一般的です。
DDPとDAPはどちらが良いですか?
状況や戦略によって異なり、DDPは追加請求がないため購入者の体験が良く、購入率アップにつながりやすいメリットがあります。
DAPは販売時の設定価格を抑えられますが、受取時の請求によるクレームや受取拒否のリスクがあるため、高単価商材や顧客体験を重視する場合はDDPが選ばれる傾向があります。
DDUは今でも使われていますか?
DDUは古いインコタームズの用語であり、現在の公式なルールではDAPに置き換わっています。
現場の慣用語として「受取人が税金を払う」という意味で使われることもありますが、認識のずれを防ぐために公式用語であるDAPを使用しているか確認してみると安心です。
中古品でも関税はかかりますか?
関税は新品か中古かではなく、「その商品が何に分類されるか(素材や品目)」に基づいて税率が決定されるため、中古のラグジュアリーブランドであっても、通常の衣類やバッグとしての税率が適用されます。
送料込みなら関税も込みですか?
「送料込み(Free Shipping)」は、あくまで指定場所までの輸送費が無料であることを意味し、関税や税金が含まれているとは限らないため、関税も含めて販売者が負担する場合は、DDPであることを明示する必要があります。
まとめ
ここまでの内容を整理すると、関税に関する知識は単なる税金の手続きだけにとどまらず、仕入れた商品をいくらで売れば利益が残るのかという「価格設計」や、どの条件で発送すれば荷物がスムーズに届くのかという「配送設計」の根幹に関わるため、事前の案内が不足していれば購入者の不満を招き、最悪の場合は受取拒否による損失につながります。
まずは扱う商材の分類を把握し、販売先の国や利用するプラットフォームのルールを整理するところから進めてみましょう。
越境ECでは、関税だけでなく配送方法やマーケットプレイスごとの仕様理解も重要です。
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