【ミニコラム】 モノはいつからゴミになるの?
Reuse for the Future2021-03-31
この度モノを取り巻くあらゆる人と「モノとのより良い関係性」について考えるプロジェクト、
’Reuse for the Future’ を始めました。
モノを巡ってさまざまな立場が存在する今、異なる視点での対話が必要ではないでしょうか。
’Reuse for the Future’ を通して、より良い「モノの未来」を一緒に考えてみましょう。
ここでは編集部がコラムを執筆。
今回はモノはいつからゴミになるのかについて考察します。
目次
モノはいつからゴミになるの?
みなさんは何時どの時点で「モノ」が「ゴミ」に変わるのか、考えたことはありますか?
ゴミ箱に入れたとき?
壊れてしまったとき?
焼却炉で燃やされるとき?
それとも、不要になってそのモノの存在を忘れてしまったとき?
ここではモノがいつからゴミになるのかについて考えていきます。
どんな時にモノを捨てようと決めますか?
ゴミと言っても種類はさまざま、分け方もさまざま
一言にゴミと言っても、いろんな種類のゴミがあります
また、どんな原材料からできているかによって分類が変わってきたり、自治体により分別基準が異なったりします。
例えば単純に、大きいゴミ・小さいゴミのように大きさで分けることができます。
家具や家電など、捨てるときには少し決意と気合いがいりそうな大きいゴミ。
鼻をかんだティッシュ、いらないチラシ、飲み終わったペットボトルの容器などの小さいゴミなどは、
深く考えず気軽に捨ててしまうものが多いです。
大阪市のゴミの分別を参考にした場合、捨て方は材質別に以下のように分けられます。
(参照:大阪市:ごみの出し方 (…>ご家庭で出るごみ>分別・出し方のルールと収集カレンダー))
ゴミを捨てるタイミングもさまざま
日々の生活の中で出るゴミとして真っ先に思い浮かぶのは、日常的に出る家庭ゴミです。
料理をして出る野菜の皮、空になったお菓子の袋、使い終わったトイレットペーパーの芯…例を挙げるとキリがありません。
日常的に排出するゴミを捨てるときに「よし!捨てるぞ!」と意識している人は少ないのではないでしょうか?
置いておくと衛生的に良くないから、目的や役割を果たして他に使い道がないから…
そういった常態化した判断で、ゴミ箱に入れているはずです。
他にも、故障してしまって修理もできない電化製品や、壊れてしまった小物・家具など、置いていても役に立たないものは、捨てる判断を下しやすいでしょう。
断捨離を思い立った時、引っ越しなどのイベントごとに捨てるものが大量に出てくることもあります。
モノとゴミの境界線
ゴミと判断するのは誰?いつからゴミになるの?
ゴミを取り巻いては大きく3つの立場の人が存在します。
捨てる人と、ゴミを集める人、そしてゴミを処理する人です。
当然ながら、モノがいつからゴミになったと見なすかは、人それぞれ異なります。
また、どの立場からそのモノを見ているかにもよります。
収集業者の方や処理現場で働く方にとっては、指定された場所に指定された形で置かれているものは、例えどんな状態にあっても職務上「ゴミ」と判断するでしょう。
モノをゴミとして捨てると決めた人はどうでしょうか?
これについては個人の感覚的なところが強く、その時の状況や気分でも変わってくると思います。
ある人は部屋のゴミ箱に入れた時点と答えるだろうし、もう一歩進んでごみ置き場に持って行った時と答える人もいるでしょう。
またゴミ箱に入れる前でも、壊れたり使えなくなったりしてもう用がないと感じた時や、単純にいらなくなってしまった時にゴミだと見なす人もいるはずです。
あるいは意識をしていないだけで、使わなくなった時やそのモノの存在を忘れてしまった段階で、そのモノの命は所有者の中で既に終わり、無意識にゴミという区分をしている人もいるかもしれません。
こう振り返ってみると、今まで無意識に捨てていたモノの多さにハッとさせられます。
ゴミは誰のもの?ゴミに所有権ってあるの?
モノはどの時点で元の持ち主の所有権は無くなるのでしょうか?
ゴミ置き場に置いてあるゴミは一体誰のものなのでしょうか?
それらを持ち帰ると窃盗罪になるのでしょうか?さまざまな疑問が湧いてきます。
ゴミの持ち帰りが窃盗罪になるかどうかはケースバイケースで意見の分かれるところです。
自治体独自の取り決めの有無でも変わってきます。
多くの場合では、モノは家の外のゴミ置き場に置かれた時点で所有権が放棄されたこととなり「無主物」、つまり所有者のないモノとして扱われることが多いです。
これでは窃盗罪として立件するのは難しそうですが、自治体によっては資源となるものなどを自治体の所有として扱うところもあります。
ゴミとともに手放しているもの
ゴミの所有権について知ると、物理的にモノを手放しているだけではなく、所有権という目に見えない権利をも放棄しているというが分かります。
改めて「権利」と示されると、モノを買うことにも捨てることにも少しばかりの責任を感じます。
ゴミ置き場に所定の形で置くことが、いらないものという意思表示と所有権の放棄となるのであれば、
「モノを家から外に出し、自治体の指定する決まった形で、ゴミ置き場にそのモノを置く」という時点が、
モノがゴミに変わる瞬間の一つの答えとなりそうです。
ゴミになる以外の道
ゴミの持ち帰りトラブルが発生するのは、元の所有者には無価値と思われたものが他の人には価値のあるものだったからです。
粗大ゴミに限った場合で言えば、中にはまだ使えるものがあったのかもしれません。
誰かがまだ必要としているモノを、自分の中では役割を終えたモノだからと処理手数料を払いゴミに出す。
もっと良い道はないでしょうか。
自分にとっては必要のないモノ。
誰かにとってはまだ使えるモノ。
自分の世界だけでなく、もっと広い視野で世界を捉えると、モノの命は長いことに気がつきます。
作られてから捨てられるまで、「大量生産・計画的陳腐化」の一直線にモノが流れていく時代から、
「いいモノをより長く大切に」と循環サイクルを描く時代へ、今がシフトする時。
その一翼を担いたい、そんな想いを私たちは抱いています。
最後に
今回は、「モノはいつからゴミになるのか」という疑問について考えていきました。
明確な答えを出すの難しいですが、普段は意識しない事を自分に問いかける事で、変わることもあるはずです。
例えば今後皆さんがゴミを捨てる際、またはもっと遡ってモノを買う際や選ぶ際に、
「いつからゴミと思ってたんだろう」「私がこれをゴミとするはいつだろう」と心の中で呟いてみてください。
そこから少しずつ世界が変わるのではないでしょうか。
皆さんとともに、これからの生活と環境をより良くするためのきっかけ作りができるよう、”Reuse for the Future”編集部より発信していきます。