Reuse for the Future

#02 ゴミの処理ってどうしてるの?廃棄物の行方<後編>

Reuse for the Future2021-04-15

この度モノを取り巻くあらゆる人と「モノとのより良い関係性」について考えるプロジェクト、
’Reuse for the Future’ を始めました。

モノを巡ってさまざまな立場が存在する今、異なる視点での対話が必要ではないでしょうか。
’Reuse for the Future’ を通して、より良い「モノの未来」を一緒に考えてみましょう。
ここでは編集部がコラムを執筆。
今回はゴミがどのように処理をされていくのかを、前編と後編の2回に分けて解説していきます。

ゴミの処理ってどうしてるの?廃棄物の行方 <後編>

前回は一般廃棄物に関して、ゴミが私たちの手元を離れてから、どのように処理されるのか、
全体の大きな流れを用語の説明とともに解説してきた。
前回記事「ゴミ処理の実情<前編>」 今回はその後編として、中間処理以降のゴミの行方や詳細、そしてゴミの現時点での終着点とも言える最終処分場とは一体どんなところで、どんなことをしているのかについてを関連した事柄にも絡めながら解説していく。

(参照:平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第3章第2節 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状

まず、中間処理とは具体的にどんな方法があるのか、前編では「焼却、破砕・選別、圧縮・成形、中和、脱水」と紹介した。(参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)
これらの操作はいずれも、ゴミの量や体積を減らすこと、資源を回収すること、そして有害物質を無害なものにすることを目的に行われる。
どうしてゴミの減量が必要なのか、主な理由としては「最終処分場」がゴミで溢れるのを少しでも遅らせるためと言える。
「最終処分場」についてはのちに詳しく言及するが、実はゴミの減量に関して、この図で表されるもっと前の、私たちがゴミを排出する段階でできることもある。その方法と効果についても少し触れておきたい。

日常生活の中で家庭から、または事業者から常に排出され続ける生ゴミであるが、最近ではそれらの減量化を訴える自治体も増えてきている。
例えば、福島市では、「ゴミ減量大作戦」と題してゴミを20%減量することを目標に掲げており、その作戦の一つとして生ゴミの水切り徹底化を呼びかけている。
それによりゴミの減量化だけでなく、「悪臭やカビの発生の抑制、ゴミ収集車の燃費向上、ゴミ焼却炉の燃焼効率の向上」などが望めるとのことだ。
(参考:作戦その1 生ごみの水切りの徹底

そのほかにも京都市においては、事業所(飲食店など)から排出される生ゴミを削減するために、水切りに加えて仕入れや仕込みの工夫や、野菜の皮や芯などの有効利用も呼びかけている。
(参考:生ごみが占める割合って こんなに大きい!

これらの取り組みは私たちがすぐにでもできることばかりであり、
今ゴミを減量できるかどうかは近い将来の私たちの生活を大きく左右することだろう。

話を中間処理の部分に戻そう。
中間処理方法の中でも比較的イメージしやすいのが「焼却」ではないだろうか。
燃やせば物体の中の水分は飛ぶので減量される。
このように何らかの方法で減量化に成功した量が「中間処理量」に続く「減量化量」だ。

そして中間処理を通して残ったのが「処理残渣(ざんさ)量」。

焼却処理の場合、燃え殻とばいじんとも言える。
この中にはセメントなどとして資源化できるものも混ざっており、一部が「処理後再生利用量」として「総資源化量」に加わる。

処理方法がガス化溶融方式の場合であれば、溶融スラグと呼ばれる砂や石のようなものと、金属が固まったメタルが資源化物として再利用される。
(参考:ガス化溶融 – 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア

これら処理残渣の有効活用、特にスラグの有効利用が「ゼロエミッション」への鍵として今注目されている。
「ゼロエミッション」とは、「ある産業から出た廃棄物を別の産業が再利用することで最終的に埋め立て処分する廃棄物の量をゼロに近づける」(引用:ゼロエミッションとは? 推進する意味と企業の取り組み事例)という意味を持つ言葉だ。
日本のゴミの埋め立て地、つまり最終処分場は近い将来いっぱいになることが目に見えており、そのためにゴミの減量化が今強く求められている。

ゴミの最終処分場とは

そもそもゴミを埋め立てるとはどういうことなのか。
最終処分場とはどんなところなのか。
最後に「最終処分場」という場所について解説していきたい。

1900年代前半の日本はゴミを海や川へ捨てたり、陸に積んでいたりしてした。
現代になってはこの方法が衛生上、そして環境上、非常に問題のある方法であることは明白だ。

現在の、そして現時点でのゴミの終着点は「最終処分場」と呼ばれる場所である。
そこに持っていかれる「最終処分量」は、中間処理を経て減量化され、資源化も叶わなかった「処分後最終処分量」と、処理を施すことなく直接運ばれた「直接最終処分量」である。
「最終処分場」は山間部や臨海部に設けられていることが多い。
下の写真のような形で、埋め立てられていくのだ。

(画像引用:ゴミ(3)「処分後に土に還るのか?」|ふしぎを追って|国立環境研究所

処分場の構造としては「安定型」「しゃ断型」「管理型」の大きく3つのタイプがある。
「安定型」は環境保全に支障をきたさないと判断されたものを埋め立て処分するものだ。
「しゃ断型」は特定の有害な産業廃棄物などをコンクリートで仕切られた空間の中に埋め立て処分するもので、点検や特殊な設備の設置が義務付けられている。
「管理型」は無害な産業廃棄物を埋め立て処理するもので、汚水などが外に漏れないような設備設置と管理が義務付けられている。
(参考:廃棄物処分場ってどんなところ?|ひびき灘開発株式会社
いずれも周辺の地下水などを定期的に検査し、汚水が外へ浸出していないかも確認されている。

これらの埋め立てられたゴミが最終的にどうなっていくのか、というのは研究にかなりの歳月がかかるものであり、まだ答えは出ていない。
故に、今私たちの目に見えるゴミの最終地点はここ、「最終処分場」である。
ひょっとすると一部は土に還るかもしれないし、もしくは環境にどんどん悪影響を及ぼすようになるかもしれない。
研究者の間でゴミが無害になる「安定化」にかかる時間や、それを早める方法を探る研究が日夜行われている。
(参考:ゴミ(3)「処分後に土に還るのか?」|ふしぎを追って|国立環境研究所
近い将来「最終処分場」がゴミでいっぱいになると聞くと、単純に「最終処分場」を増やせばいいのではないかと思われるかもしれない。
しかし、それでは地上はいつかゴミで溢れてしまうし、根本的な解決にはならない。
それに近隣住民の同意を得ることが難しい最終処分場の増設は、かなり望みが薄いのだ。


今回の記事では中間処理の過程から最終処分場まで、様々な見解も混ぜながらの解説・考察となった。
調べていくほどに、知らなかったことやまだまだ知らないことの多さに驚く。
いつも何気なく捨てていたゴミも、少しその処理の実情を垣間見るだけで、何か自分の中での意識が変わりそうだ。
生産背景を知るのと同じように処理についても知ることで、その間にある私たちの行動にも変化があるかもしれない。
これからも知り得たことの共有を通して、ここでみなさんと一緒により良い「モノの未来」について考えていきたい。

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