【ミニコラム】次のトレンドはアップサイクル
Reuse for the Future2021-05-27
みなさんは「アップサイクル」ということばを聞いたことがありますか?
近年になって徐々に浸透し始めたこの「アップサイクル」は、持続可能な社会を作り上げていくための一つの方法であり考え方です。
「アップサイクル」よりも耳馴染みのある「リサイクル(Recycling)」。
これは、例えばペットボトルに使われているプラスチックなどの素材を資源として、別のものに作り変えたりもう一度ペットボトルにしたりして、再利用するというものです。
「リサイクル」の「リ(re-)」は「もう一度/再び/〜しなおす」などを表す言葉で、その素材をもう一度循環させるという意味の言葉になります。
では「アップサイクル(Upcycling)」は何かというと、
本来なら廃棄物として捨てられていたはずのものに付加価値をつけて生まれ変わらせる
というもの。
「アップ(up-)」なので、一段階上の層に上がるイメージ、つまり、デザインやアイデアなどの付加価値をつけて、より価値のあるモノへと昇華するのです。
そのバリエーションは多岐にわたり、アート作品もあれば、実用的な日用品・便利グッズ、ファッション、食品、美容関連などさまざま。
Photo by Utopia By Cho
(不要になった500以上もの服のタグを縫い付けたパンツ)
そして、「アップサイクル」があれば「ダウンサイクル(Downcycling)」もあります。
ひょっとすると「ダウンサイクル」の方がより身近に感じる人も多いかもしれません。
例えば着なくなった服や古くなった布を切って雑巾にしたり、古紙を原料に戻してトイレットペーパーにしたりすることなども、ダウンサイクルにあたります。
「ダウン(down)」なので、「下へ」のイメージです。
服から雑巾にする例のように、商品としての価値や品質を下げて、より長く使っていくというものです。
私たちが思い描いていた従来のリサイクルは、このダウンサイクルがほとんどだったように思われます。
しかし、一般的なリサイクルにおいてモノを原料に戻して違う製品に作り替える際、ペットボトルや古紙などは機械によって処理され、その過程で何かしらのエネルギーを消費します。
この点が「アップサイクル」との大きな違いです。
「アップサイクル」はモノの素材や風合いそのままを生かつつ別のものに変化させアップグレードし、使用寿命を延ばします。
その際に、モノを分解するためのエネルギーを消費しないことと、自然界から新たな資源を取らないことがポイント。
加えるのは私たちの知恵とアイデアと創意工夫です。
(場合によっては人的労力も必要かもしれませんが)
捨てられるはずだったモノに新たな命を吹き込むことで廃棄物を削減し、その際に余分なエネルギーは使わない、地球にやさしい取り組みです。
(画像引用元:VVV-Craft)
↑本来なら気に留めることなく捨ててしまうであろうインスタントラーメンの袋。
そのデザイン性と色合い、ツルツルとして丈夫な素材の特性を活かして見事にバッグへとアップサイクルされている。
循環する社会を目指していくために、モノの消費について考えることは非常に大切。
目の前にあるもの、すでに自分が持っているものと向き合い、
本当に新しく買い替える必要があるのか、
そのモノの役目は完全に終わったのか、
何か別の形で使うことはできないのか。
一度問いかけてみるのはいかがでしょうか。
「昔の人の知恵」や「おばあちゃんの知恵」とは言ったものですが、古くから根付く日本人のもったいないの精神がトレンドとして返り咲く時が来ているかもしれません。
身近にある丈夫な素材、おしゃれなデザイン、ひいてはその成分や材質まで、様々な角度でモノを見てみると新たな可能性が見つかるのではないでしょうか。
アップサイクル製品を生み出すことやそれらの商品を選ぶことが、次のトレンドとなりそうですね。