コラム

【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.38】ヨーロッパ編 ー フランス1

コラム海外リユース探訪記2024-10-07

この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。

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伝統文化と企業努力が光る フランスのリユース教育

過去と現在が共存する花の都パリ

フランス、花の都パリ。ヨーロッパの中でもひときわ強い存在感を放っている文化の発信地です。こういった仕事をしている私にとっては、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「シャネル(CHANEL)」をはじめとする数々の高級ブランド発祥の地というイメージが強いですね。

ゲスト自身で出品したいシューズの撮影ができる

フランスにおいても歴史ある建築物が重宝され、活用されていました。「凱旋門」や「エッフェル塔」「ルーヴル美術館」は日本でも非常に有名ですが、現地ならではの「雰囲気」やこれらが無いパリというのがまったく想像できない「存在感」を味わうことができました。主要駅のひとつである「パリ北駅」に関しても、1865年に現在の駅舎が完成されて以降、都度改修されながら利用され続けています。

こういった建築物は決して「前世紀の遺物」として残されているのではなく、今なお「人々を引き寄せるランドマーク」として存在感を保ち、多くの人々が出会い集う空間であり続けています。このパリという街は、「現在」と「昔」がうまく共存しているのでしょうね。昔のものとうまく付き合うという考えは、リユースの理念とも共通するように思えます。

企業オフィスでリユース教育を体験

今回私が訪問した「ヴェスティエール・コレクティブ(以下VC)」は、欧米で中古ラグジュアリーのマーケットプレイスを展開しており、特に欧州ではかなりの存在感を発揮しています。日本では2024年7月まで展開しました。アスリートとのコラボによるアップサイクルにも積極的です。アップサイクルというのは、廃棄予定の商品に手を加え別の品へとアップグレードさせ、全く異なる新しい価値を付加することです。その上で再度マーケットへ送り出すことで、SDGsの新たなアプローチ手法として近年世界中で注目されています。

VCは環境やSDGsに関するさまざまな取り組みのほか、地域の学校と連携し、リユースに関する教育のサポートも実施しています。近年、日本でもフリマサイトの運営会社が自社の技術を活用して学校教育のサポートを行っていますが、フランスでは一歩先に進んでいるように感じられました。

このVCは、他にもユニークな取り組みを行っています。たとえば、勤務形態は「フリーロケーション」を採用しており、スタッフは基本的にどこで働いてもかまわないことになっています。では、オフィスには価値がないのかというとそんなことはなく、むしろ他にはない素晴らしい特徴を有しています。VCのオフィスは、ある種の美術館か博物館のよう。過去から現在までに発売された、さまざまなブランドアイテムが展示されています。

ジョーダンのスニーカーなどは年代別にズラリと並べられており、ファンにはたまりません。ですが、よくよく見ると本物に混じって偽ブランド品も展示されているのが面白いところ。訪れたゲストは、展示されている本物とニセモノで、ちょっとした実践的なゲームを楽しめるようになっています。

その他、ゲストが記念に落書きを行えるスペースや、持ってきたシューズをその場で撮影して再販できるブース等々、クリエイティブな気風を感じられる居心地のよいオフィスでした。我々に対しても好意的な対応で、ブランディングのためのイベントや、為替差分解消の試みを共に行いたいというご提案をいただくことができました。

実はこの中に偽ブランド品が紛れ込んでいる

筆者紹介

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中。

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