コラム

【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.39】ヨーロッパ編 ー フランス2

コラム海外リユース探訪記2024-10-10

この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。

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リユースの重要性を体感する物々交換マーケットに潜入

今回の目玉は、ワインで有名なボルドーの郊外にあるリサイクルセンター「Smicval Market」。

最先端リユース施設へ飛び入り取材!

最先端リユース施設Smicval Marketへ飛び入り取材!
とても親切に案内してくれました。メルシー!

この施設の特徴は、いわゆる「物々交換」システム。電気スタンドを持ち込んでテレビをもらえますし、本同士を交換することも可能です。

このシステムがリユースの普及にうまく働いているのが、子ども用のオモチャやゲームの類。子どもたちは、親が施設から持って帰ったオモチャで遊ぶことを通じて、Smicval Marketの存在や意義を知る機会を得ます。その子どもたちが親となったとき、オモチャを持ってきてくれるようになるのです。

リユース品を介して、多くの人々が物を大切にすることの大事さやSDGsの重要性を学べるような「循環」が作り出され、結果としてよりよい社会づくりへとつながっています。

利用者に寄り添い進化するリサイクル

この施設には多種多様な品々が保管されており、取材時にも、家電や雑貨、廃材等を積んだトラックが何台もやってきました。生活の中でいったいどれだけ「いらないもの」が処分され、その中で「もう使えないもの」がどれだけあるのか施設の利用を通して、実感することができます。

持ち込まれた物のうち、廃材や壊れた家具等の粗大ゴミ、紙クズにガラス瓶等、そのままではリユースが難しいものはリサイクルします。

粗大ゴミ類に関しては、シンクやテーブルといった家具、断熱材等に再加工します。ガラス瓶は一枚のガラス板に、木材や枯れ枝は肥料にすることで、再び利用できるようにします。さらに、「解体したテーブルの脚だけ欲しい」という細かいオーダーにも応えてくれるのです。

また同施設は、フランス全体におけるリサイクル活動にも積極的です。付近の住宅から紙類やペットボトルを回収するリサイクルボックスには、NFCやQRコードを認識するリーダーを搭載。登録者のみの利用に限ることで、悪質なイタズラを防ぎ、安全に運用できるわけです。取材時には、試験段階でしたが、導入されればゴミ出しや回収作業の手間が大幅に削減されそうですね。

読書文化と相性◎
図書館のようなブックオフ

パリでは「BOOKOFF Châtelet」を訪問。

日本のブックオフでは、中古ゲームやフィギュア等々も多く扱っていますが、パリの品ぞろえは古本にかなりの比重を置いています。

地下フロアへ降りていくと、まるで図書館のような雰囲気。古本はジャンルだけでなく国ごとにもカテゴライズされており、探しやすいよう工夫されています。

フランスでは本を読む文化が根強く残っています。街中でも本を読みながらお茶を楽しんでいる人をたくさん見かけました。パリのブックオフが古本に注力するのも、こうした文化的な背景が関わっていそうです。

Smicval Marketでも感じたように、「今存在しているものとどう付き合うか」「相手を尊重する」ことをとても大事にしている国民性なのでしょう。取材や質問に対して快く応えてくれる人も多く、楽しく訪ね歩くことができました。

取り扱い品目のアイコンが看板に並ぶSmicval Market
取り扱い品目のアイコンが看板に並ぶ

筆者紹介

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中

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