ネット上のガレージセール OfferUp(オファーアップ)
海外EC調査部2021-11-04
OfferUp(以下、オファーアップ)はアメリカをベースに、オンラインマーケットプレイス、いわゆるフリマアプリを運営する会社です。
2011年に、eBay、Craigslist、Facebook Marketplaceといったオンラインマーケットプレイスと競争しようとして設立され、近年急成長。
アメリカでリユースマーケットプレイス大手になりました。
目次
オファーアップについて
(引用:https://en.wikipedia.org/wiki/OfferUp)
同社によると、2017年に公表された利用者数は3300万人を超え、2016の販売額が1400億ドルに達しました。
2015-2017年の成長率は166%。
コムスコア(comScore, Inc.)の調査では、オファーアップの起業から5年間のPtoP取引数は、イーベイ(ebay North America)の起業から10年間のその数を超えたとの事です。
AdvisoryHQの調査によれば、2010年半ばまでに総価値20億ドル以上のユーザーの近隣地域で、販売する商品を取り扱っています。
またFortune、Forbes、Business Insiderといったビジネスメディアから高い評価を受け、資本市場での注目会社になっています。
ビジネスモデル
不用品を持っている人と安く中古品を買いたい人へ信用できるプラットフォームを提供し、売り手から最低額1.99ドル、(最低額を超えた場合は)商品の販売価格の12.9%(メルカリの10%より高い)を取る仕組みです。
ライバルのLetgo(以下、レットゴー)の買収
2015年に創業されたレットゴーは、オファーアップのライバルとして、近隣地域の中古品を中心にサービスを展開していました。
レットゴーアプリは2018年にはダウンロード数が1億を突破し、4億以上の中古品がプラットフォームで販売されました。
Sensor Towerのデータによると、米国時間2020年8月30日の時点では、OfferUpはiPhoneのショッピングカテゴリのランキングで4位、letgoは12位でした。
その後2020年9月に、オファーアップが資金を集め、レットゴーを買収。
それにより、オファーアップの利用者数が更に増え、アメリカで一番のCtoCリユースマーケットプレス大手となりました。
オファーアップの魅力
なぜオファーアップが急成長し、ライバルを買収までできたのでしょうか。
その答えは、いくつかの特徴にあります。
「ご近所」という概念の徹底
対面で取引をするというリアル感と、地域コミュニティを中心に伝統的なフリマのような物々交換の機会を提供する考えを重視し、GPSデータを利用して近ければ近いほどの商品が出やすい検索システムが一番目の魅力です。
アメリカの伝統的なガレージセール(家の車庫で不用品を近所の人に販売する形式)をネットに移したような印象が強いです。
もちろん、位置情報からの検索だけではなく、カテゴリ別、価格別などの選択肢も提供されています。
ユーザインターフェースの簡潔さと操作の手軽さ
写真一枚をアップロードするだけで出品できます。
人と人の繋がりと信頼感を重視
ネットで買い物をするときに、実物が見えない事から生じた不安を解消するため、オファーアップはSNSのようなコミュニケーションの場所を提供しています。
安全な取引への取り組み
売り手と買い手の間の信頼感を強め、詐欺を減らすために、TruYou Badge(本人認証バッジ)という機能があります。
TruYou Badgeをもらうには、身分証明書と電話番号での認証、その場で証明写真を撮ることなどの本人確認が必要です。
そして、アプリ内にはメッセージ機能が加えられています。
売買に関する全てのやり取りはこのアプリ内で行っているので、個人情報漏洩のリスクが減ります。
その他、販売詐欺と個人情報保護について、オファーアップがユーザに様々な注意喚起を促しています。
日本からの出店について
日本の身近なアプリに例えると、アメリカ版のメルカリのようなものです。
もともとアメリカ国内の個人を中心に、近所販売限定の概念を元に作られたフリマアプリですので、海外からの出店は想定されていないようです。
その理由としては、以下の通りです。
- 日本のアカウントでダウンロードできません。(日本語非対応)
- アメリカは自分の国の産業を保護するため、低価格の中古品に対する輸入規制が厳しいです。
カテゴリによって、輸入禁止の場合もあります。
一例として、販売目的の輸入中古アパレルの場合では、新品と同じ額の関税を課される(アメリカ税関の規定)ので、価格の競争力はありません。 - アメリカ国内では、不用品の寄付流通システムが発達しているため、衣類や家具などの中古品は慈善施設で低価格あるいは無料で取引がされています。
近年、ネット通販やスマホの販売アプリの発展によって、日本の中古市場で販売できる中古品のような商品は増えましたが、文化の角度から考えると、アメリカ市場に向けて中古品を販売するのは難しそうです。
まとめ
残念ながら、オファーアップを通じて海外へ中古品の販売が難しい現状です。
近所限定のマーケットプレイスを作りたい日本の業者にとっては、良いビジネスモデルの参考となるかもしれません。