【海外ECモール諸国漫遊 番外編】ついにTikTok Shopが日本でも開始 事業者が抑えるべきポイントは?
お知らせコラム2025-06-04
2025年05月29日、日本ネット経済新聞に【海外ECモール諸国漫遊 番外編】ついにTikTok Shopが日本でも開始 事業者が抑えるべきポイントは?のコラムが掲載されました。
https://netkeizai.com/articles/detail/14650/1/1/1
また、Yahoo!ニュースでも記事の内容が取り上げられました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2dd55953ca2309ac3f93c829e81dcaddea34b2c7


目次
【海外ECモール諸国漫遊 番外編】ついにTikTok Shopが日本でも開始 事業者が抑えるべきポイントは?

日本ECを変える「動画×ライブ×コメント」の本質
2025年6月、TikTok Shopがいよいよ日本でも本格展開されます。これは単なるショッピング機能の追加ではなく、「動画視聴から購入まで1アプリ内で完結する新しいEC体験」の始まりを意味します。
世界各国ですでに実績を上げているこの仕組みが、日本のEC構造をどう変えていくのか、事業者としてどう活用すべきかを解説します。
TikTok Shopはすでに中国・東南アジア・米国で年間4兆円超のGMVを記録し、コスメ・ファッション・日用品を中心に爆発的な成長を続けています。ユーザーが「見る・楽しむ・共感する」過程で自然に購入に至る、いわば「ショッパーテインメント(Shoptainment)」の代表格です。
なぜ日本でライブコマースは流行らなかったのか?
過去の日本ではライブ販売が普及しなかった要因として次の要因が挙げられます。
①スターライバー(影響力のある配信者)の不在
②ライブ販売特化のプラットフォームの未整備
③偽造品回避ニーズや爆買い文化の不在④EC化率の低さ(13.7%)とセールイベントの弱さ です。
しかし、TikTokは「エンタメ×短尺動画」の文化をすでに浸透させており、これらの課題を飛び越える土壌が日本でも形成されつつあります。
TikTok Shopの真の強みは「コメント×発見」
TikTok Shopの本質的強みは、X(旧Twitter)に似た「コメント文化」と「バズの仕組み」にあります。コメントがコンテンツ化し、「おもしろい」「共感した」声が拡散を生む。コメントから「商品返し動画」が生まれ、二次的バズが起きる。レビューや使用感をコミュニティが自発的に発信(UGC効果)。
さらに、アルゴリズムが「興味×購買意欲」を見極めて表示を最適化するため、検索しなくても「ほしい物に出会える」という世界が現実になります。
TikTok Shopで成果を出すには、次の3要素が不可欠です。
①商材選定:コスメ、ファッション、キッチン雑貨など「映える&変化が見える」商品
②演出力:ライフハック・ビフォーアフター・ストーリーテリングなどで魅力を引き出す
③リピート設計:コメント対応、フォロー導線、定期ライブ配信などで「顧客化」を目指す
ことなどです。
ジャンル別成功例(海外)では、コスメにおいては英国の「Made by Mitchell」やNature SpellはTikTok経由で月商億単位を達成しています。ファッションにおいては、試着ライブで「自分で見た感覚」を提供し、購買率向上につなげています。日用品では、収納グッズや便利アイテムが「意外と便利」でバズっています。
食品では、ASMRや調理動画で五感を刺激し、「ついで買い」を促進しています。中古リユースでは、ライブでの一点物紹介が「早い者勝ち」心理を刺激し、売り上げ向上につながっています。
事業者がやるべきことは?
では、なぜ今、TikTok Shopが必要なのでしょうか。それはユーザーの注意・時間・信頼が集まっているプラットフォームであり、「購買目的でないユーザー」にまで商品を届けられる唯一の場所だからです。
今、事業者がやるべきことは、
①TikTokアカウントの強化
②コンテンツチームの育成 or インフルエンサー活用
③ライブ販売・物流体制の整備
④商品企画段階から「TikTok映え」を意識
⑤スモールテスト(クーポン/誘導リンク)でデータ蓄積 です。
2030年には、日本のEC事業者のうち7~8割がTikTok Shopを導入し、TikTok経由の売り上げがEC流通の10~15%に成長しているでしょう。若年層では「買う=TikTok」が常識化し、TikTok Shopは今後、Amazon・楽天と並ぶ第三の選択肢として定着するでしょう。
総括すると、日本ECの未来は「魅せる×売る」で拓かれます。良い商品があるだけでは売れない時代になっており、これからのECは、「映える力」「語る力」「演じる力」=魅せる力が求められます。TikTok Shopは、その新時代の入り口です。
中小企業でも、大手でも、無名ブランドでもチャンスは等しくあります。見るから売れる」EC体験、ぜひあなたのビジネスにも取り入れてください。
TikTok Shopの国別GMVは?
2024年のTikTok Shopの国別GMVと浸透状況をまとめました。
TikTok Shopは2024年に世界全体で約326億ドルのGMVを達成しました。国別の内訳は次の通りです。▶アメリカ:GMVは90億ドル。短尺動画が売り上げの58%を占め、ライブ配信は10%程度と低め。2025年には約200%の成長が見込まれています。
▶タイ:GMVは28.5億ドル(全体の25.66%)。ライブコマースが非常に盛んで、ユーザーの購買意欲が高い。
▶ベトナム:GMVは23.1億ドル(20.79%)。エンタメ性の高いコンテンツとライブ販売が人気。
▶マレーシア:GMVは16.3億ドル(14.68%)。美容・ファッション系商材が特に強い。
▶フィリピン:GMVは14.4億ドル(12.98%)。ライブ配信による販売が活発で、ユーザーの参加率が高い。
▶インドネシア:GMVは13.4億ドル(12.05%)。TikTok Shopの利用が広がっていたが、2023年に一時的な規制が導入されました。
▶イギリス:GMVは6.0億ドル(5.44%)。2024年に前年比180%の売り上げ成長を記録し、急速に市場が拡大中。
▶中国版のTikTokShopは、抖音電商(Douyin E-commerce):2024年の実績と浸透状況。GMVは約3.5兆人民元(約4900億ドル)、前年比30%増加。
販売チャネルの内訳は棚型ショッピング(商品検索・モール型):が全体の40%以上。店舗主導のライブ配信が約30%。インフルエンサーによるライブ配信が約30%。注文数が154億件、前年比39%増加。EC化率は中国全体のEC化率は約30%と推定され、抖音電商はその中でも急成長を遂げています。
これらのデータから、TikTok Shopはアメリカや東南アジア諸国で急速に成長しており、特にショート動画を活用した販売が主流となっています。一方、抖音電商は中国国内で圧倒的な存在感を示しており、多様な販売チャネルを駆使して高いEC化率を実現しています。
日本市場においても、これらの成功事例を参考にしながら、ショート動画やライブ配信を活用した新たなEC戦略の構築が期待されます。
(引用元:https://netkeizai.com/articles/detail/14650/1/1/1)

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中