【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.53 アメリカ(ニューヨーク)編2
お知らせコラム海外リユース探訪記2025-06-02
この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。
ニューヨークには、ひと昔前のハリウッド映画でよく見た、はぐれものの刑事が凶悪犯相手に派手なカーチェイスや銃撃戦を繰り広げているような、いかにも「犯罪都市」といった印象を持っていました。
フェイスレコードNYCにみる 日本の商品管理へのこだわり
フェイスレコードを訪問 ユニークな品揃え

フェイスレコードNYC店の入口。鉄格子は防犯対策
いざ訪れてみたニューヨークのメインストリートは、とても平和な街。ブルックリンなど一部地域では木製扉の代わりに鉄格子が取り付けられており、治安的な問題をうかがわせる光景も見かけました。
フェイスレコード ニューヨーク店は、ブルックリンの下町にあります。レンガ造りの素敵な店構えで、お店の中は「これぞレコードショップ!」といった雰囲気。こぢんまりとしたスペースにさまざまなレコードが並べられていて、おそらく近所にお住まいであろうお客さんがシャッシャッとテンポよく棚から商品をつまみあげて物色しています。品ぞろえもユニークで、和洋古今東西の楽曲が陳列されていました。
中にはプレミアのついた希少品もあり、たとえばLP版「シティハンター オリジナル・アニメーション・サウンドトラックVol.2」は約162ドル(2025年2月時点で約2万4000円、日本の中古相場で約8000~1万円)という高価格!意外なものとしては、海外バンドの日本盤も高価格で販売されていました。ひょっとするとその逆もあるかもしれませんね。マニアの方は要チェックかも?
ちなみに「ブックオフ ニューヨーク店」でも日本のレコードを販売していました。

すべての商品にバーコードと販売価格をつけて管理している
商品在庫管理が海外進出成功のポイント
同じ通りにある、現地の方が運営されている「Superior Elevation Records」もレトロな雰囲気で、いかにもアメリカのダウンタウンな感じ。DJブースやフリースペースも設けられていて、地元の若年層にも人気がありそうでした。
フェイスレコードとの違いは、洋楽中心の商品ラインナップであったこと、そして商品管理への意識です。こちらの店では「どのような商品の在庫がどこにどのぐらいあるのか」といったような事柄に対して、無頓着なようでした。
対してフェイスレコードでは、取り扱っている商品に番号を振り分け、バーコードによる管理が行えるようになっています。日本の場合、小さなお店であったとしても、見つからない商品の場所については店員が探してくれるのがほぼ当たり前のような認識ですが、アメリカの場合はそうではなく、基本的には「自分で探してくれ」といったスタンスなのだとか。
ニューヨークでは商品管理が日本に比べておろそかな点など、ビジネスとしては少々粗削りに思える箇所が目立ちます。逆に言えば、そういった弱点をフォローできる戦略さえあれば、ニューヨークという世界屈指の大規模マーケットでのビジネスで優位に立つチャンスを見出すことができるでしょう。フェイスレコードの手法はニューヨークのみならず海外進出で成功するポイントなのかもしれません。

地元レコードショップのDJブース

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中