【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.62 スリランカ編1
お知らせコラム海外リユース探訪記2025-08-28
この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、
弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。
スリランカ民主社会主義共和国は、インドの南東に位置するセイロン島を国土とする国家です。多数の鉱床が眠っており宝石採掘が盛んです。現代でも、何の変哲もない水田や小川、井戸から原石が掘り出せます。

右肩上がりの宝石ビジネス
現地職人の育成に期待
宝石の街で一攫千金
!? 鉱山に潜入

井戸の底から掘り出した鉱石は、近くの水たまりで洗い出して選別する
向かったのはスリランカ国内でも規模の大きい鉱山がある「ラトゥナプラ」。「縦穴掘り方式」という、鉱脈に通じていると予測される水田や河原等に井戸のような縦穴を掘り進めていくことによって、宝石の原石を探す方法の鉱山を見学しました。何十メートルと掘られている深い穴には水がたっぷり溜まっており、じめじめとしたいや~な空気。実際、穴の中へ降りてみると、まるで別世界の空間へやってきたかのような、なんとも不思議な感覚でした。
採掘量に関してはおおむね増加しているそうで、まだまだこのビジネスは勢いを保ちそうです。掘り出した原石は、そのままラトゥナプラの街へと持っていきます。至るところに宝石の交換所があり、宝石商がお客を待ちかまえています。原石を掘り出した人は日本の郊外にあるような素朴な公園の周辺で、非常に高価な原石についての交渉を行っているわけです。歩き回っていると、見知らぬ人達が研磨された宝石をやたらに目の前に見せびらかしてきます。よくよく聞いてみると「price」と言っていました。どうやら、宝石を買い付けにきたと思われていたようですね…。
次に案内されたのは警察署。署内にも宝石の交換所があります。原石を購入した人は、ここで研磨を依頼し、その価値を証明してもらうことができます。研磨の過程を経て、ようやく原石の真の価値が分かるとのことで、買い付ける側の鑑定眼の重要性が実感できます。
宝石ビジネスを取材して頭に浮かんだのは、かつて日本の富裕層が大量に買い付けた原石です。あれらの買取権をスリランカへ持っていけば、ひょっとすると国内で売買するよりもよい価格で取引ができるのではないでしょうか。
職人育成を支援する
日本のジュエリーデザイナー
スリランカで、自身のスキルを駆使して活躍している日本人がいます。ジュエリーデザイナーの大槻隆行さんはスリランカのコロンボ市に自身の工房であるD&O INTERNATIONAL(PVT)LTDを立ち上げ、そこで製作した作品を革製品やジュエリー等の日本ブランド「マザーハウス」と協力体制を敷いて販売しています。工房の30人の職人のうち25人が現地で雇ったスリランカ人で、いちから加工技術を教え、育成しているとのことです。
現地雇用の方々の作業を見学したところ、高い技術が必要とされる作業を黙々とこなしており、スタッフ育成がうまくいっている様子がうかがえました。ひょっとすると大槻さんのように海外で日本人が活躍して、遠く離れた海外の人々へその技術を伝えていくようになるのかもしれませんね。

至るところに宝石の交換所がある

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中。
