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【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.64 スリランカ編3

お知らせコラム海外リユース探訪記2025-10-02

この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、
弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。

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コロンボからやや離れたところで日本製の自転車を販売しているリユースショップ「JAPAN BICYCLE」。このお店では、日本の業者から放置自転車を仕入れ、メンテナンスし販売しています。カンボジアのヘンリー市場でも、日本から輸入された中古自転車が山積みになっている光景を見かけました。

トレンド押さえコロナ禍を打開
日本輸入の中古自転車好調

日本の放置自転車で
コロナ不況を乗り越え

日本の業者から放置自転車を仕入れている

この店は元々リサイクルショップであったものの、新型コロナウィルスの影響によって経営不振に陥ったそうです。それを打開するための新機軸としてスタートしたのが、日本から輸入した自転車等の販売。耐久性が高く、長持ちで操作もしやすい日本の自転車はスリランカの人々にも評判がよく、売れ行きも順調とのことでした。ちなみに自転車の価格は4万2000スリランカルピー(2024年2月時点でおよそ2万円)で、仕入れには2万8000スリランカルピー(およそ1万5000円)かかっているそうなので、一台売れれば日本円にしてだいたい5000円の利益となります。売れ行きのよさを考えると、物価の安いスリランカであれば、なかなかよい品物といえそうです。

日本で不要とされ、放置され続けていた自転車が、遠く離れた国で人々の移動手段として活躍する道が与えられるというのは、地球にとっても人々にとってもいいことではないでしょうか。

コロンボ生まれの
SDGsな熱帯建築

有名建築家の「ジェフリー・バワ」はスリランカ・コロンボ生まれ。生涯にわたり「熱帯建築」と呼ばれる、周囲の密林や空気との調和を重視したリゾートホテルや寺院、公共施設等をデザインし続け、その独特な様式は彼の死後20年以上が経過している現在でも高い人気を誇っています。

ジェフリー・バワの住宅兼事務所(通称No.11)は太陽の光が木漏れ日のように適度に差し込み、心地よい風がスウッと通っていきます。このような場所で仕事ができれば気持ちがいいでしょうね。シーギリヤ周辺の密林の中に建てられたリゾートホテル「ヘリタンス カンダラマ」は、屋外と屋内を遮るものがほぼなく、廊下やベランダのすぐ近くに森が広がっています。野生のサルやリスが部屋の中に入ってくるといったこともしばしば。でも、これこそがバワの理想とする空間なのです。

バワの遺した建築物から読み解ける「自然との調和」の思想は、SDGsの理念とも共通すると思います。利益優先で大量生産や消費を続けた結果、疲労していく現代社会よりも、自然と調和する方法を模索し、あらゆる人々が幸福になるよう取り組み、持続的な成長を目指すSDGs的な社会像の方が人間的なように感じられます。

スリランカ訪問で嬉しかったのは、リユースやリサイクルの意識が高く、ビジネスとしても発展する土壌があること。日本で不要となった作業機械や家電製品、自転車がスリランカの人々に重宝されているという話を聞くと、リユースビジネスのすばらしさを再認識させられます。

最高傑作といわれるヘリタンス カンダラマ

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中

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