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【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.68 オランダ王国編1

お知らせコラム海外リユース探訪記2025-11-30

この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、
弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。

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「風車」と「チューリップ」が印象的なオランダ王国。九州地方と同等の約4.2万平方キロメートルの国土に、日本の7分の1ほどのおよそ1800万人の人々が生活しています。

歴史の重みと現代アートの融合
旧教会のユニークな”変革”

「旧教会」はアムステルダムで最古の教会

歴史都市
アムステルダム

探訪で知った国民性ですが、ざっくり言ってしまえばアーティスト気質。そして、古い文化や技術、環境をとても大事にしているように感じました。

アムステルダムという街は教会を中心として形成された、日本でいう「門前町」や「寺内町」のような歴史ある場所で、無闇に解体したりせず、いたるところに古い様式の建物が残っています。それらは改修を経て住居や施設として現役で活躍し続けています。

そうしたオランダ、もといアムステルダムを代表する歴史的ランドマークのひとつが「旧教会」です。旧教会は1246年「聖ニコラス教会」として礼拝堂が建立、100年ほどかけて完成しました。その後も宗教的な争いによる建設工事の中断や災害、戦争等によってたびたび損害を被りながらも、オランダの人々の支援によって現代まで失われることなくその形を保ち続けています。

教会に人を呼ぶ
現代アートイベント

旧教会の中へと入ってみると、非常に興味深いものがありました。窓はブルーのステンドグラスで装飾され、天井には巨大な天井画が描かれています。こういったところは欧州にあるほかの古い教会と一緒なのですが、それ以外がかなり個性的。

例えば、中心部には椅子とヘッドフォンのようなものが円を作るように備え付けられており、教会内で奏でられているパイプオルガンの音色を深く聴いてリラックスするためのものなのだとか。ほかにも変わったものがたくさん。何やら人影のようなものがゆっくり回転するシーンだけが映し出されている巨大なスクリーンや、家具や動物のミニチュアに不気味な形の蝋細工、不可思議なショートムービーが流れているたくさんのタブレット等々。

特に印象的だったのが、真っ暗な狭い一室。ここでは仰向けになるように指示されるのですが、天井には雲と爆撃機のオブジェが吊るされており、そばに設置されているディスプレイからは不穏な映像や音声が流れていました。どうやら、これは第二次世界大戦中の1940年に引き起こされた「ロッテルダム爆撃」を題材として作られたコンセプトアートのようです。

教会内には他にもさまざまな現代アート的な作品が展示されており、教会というよりは、美術館のような様相でした。

訊いたところによれば、教会を訪れる人々が減少しているため、対策として現代アート展示のためのスペースを開放しているそうです。ユニークな試みであり、ある意味潔いと言えます。オランダ人は現実主義的なところがあるとのことなので、こういったチャレンジも好意的に捉える人が多いのでしょう。

しかしながら一方では、このような「変革」を試みなければならないほど、教会が本来の機能を円滑に果たせなくなってきているという状況の表れでもあり、文化をどのように伝え遺していくかということの難しさもまた感じさせられました。

「ロッテルダム爆撃」がコンセプトの展示

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世

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