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【クーボンの海外リユース探訪記】Vol.70 オランダ王国編3

お知らせコラム海外リユース探訪記2025-12-27

この連載は、世界を股にかけた循環型社会を作るために、
弊社代表の大久保が見てきた海外のリユース情報や旅行記をお届けするコラムです。
最新の連載はリユース経済新聞の紙面で読むことができます。

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アムステルダムを語る上で、「運河」と「自転車」の存在は無視できません。アムステルダムが大きく発展し続けてきた要因のひとつが、優れた運河システムの存在です。

水害の歴史が生んだ危機意識

運河・自転車の街づくり

ワサビ アムステルダムの街並み

アムステルダムの街並み

街の人々はこの運河をとても大事にしており、観光クルーズやハウスボートに対しては大らかに受け入れる一方、風景のバランスを著しく崩すような建造物は建てられないよう法律によって定められています。

そうしたアムステルダムの街中でたくさん見かけるのが、小洒落たデザインの自転車。環境に対する意識が非常に高いオランダでは、自動車よりも自転車による移動を優先的に考慮した街づくりがなされていることから、「自転車王国」として知られています

資源浪費を防ぐため
リサイクルの徹底

オランダという国は、環境問題に対して非常に強い意識をもって積極的に取り組み続けています。サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関しても、欧州諸国の中でもいち早く官民合わせて着手し、SDGsの理念に沿いつつも独創的なプロジェクトを多数企画し実践してきました。

一例として、「Fairphone」というオランダ生まれのスマホについて紹介します。これは誰もが簡単に分解できるような構造となっており、もし故障したとしてもその部品だけを交換すればすぐに解決できます。これによって、ただ1箇所が壊れただけで新品に取り替え、多量の電子ゴミを発生させてしまうことによる資源的浪費、そして過剰な大量生産と消費による発展途上国への負担増大等の問題の解決につなげることができます。

リサイクルボックスの設置に関してはもちろんのこと、たとえば使い捨てプラスチック製品の仕様や処理については「100%リサイクル可能なようにすること」「最低70%がリサイクルできるよう処理能力を増強すること」等の厳格な目標を掲げています。

ワサビ 街中に設置されているリサイクルボックス

街中に設置されているリサイクルボックス

繊維製品やプラスチック製品については生産者による責任を拡大させ、リサイクル事業者への助成金支援等々、さまざまな角度から積極的な施策を定めており、その本気を感じさせられます。

自然との共存を
目指す理由


なぜ、オランダはここまで環境問題に対して熱心なのか、それにはまさにその環境によって苦しみを味わってきた長い歴史が関係しています。張り巡らされた運河は便利な交通路でもありますが、それは必ずしも「暮らしやすい」とイコールではありませんでした。特に大きなネガティブポイントであったのが、その国土の「低さ」です。オランダの国土はそのほとんどが海抜200メートル以下であり、海面よりかなり低いとされています。そのため、歴史上幾度となく大規模な水害に見舞われ、到底把握仕切れないほどの物的被害や人的被害を被ってきました。オランダの歴史は、ある意味では水害との戦いの歴史であるといっても過言ではありません。

だからこそ、オランダの人々は自然の恐ろしさ、そして偉大さを深く実感しています。地球温暖化による気候変動や海面上昇についても深刻な問題と見なしています。海面がほんの1メートル上昇するだけで、国土のほぼすべてが水没しかねないからです。そのような最悪な未来を避けるべく、自然を侮らず、破壊せず、共存できる社会を目指すことによって、希望ある未来への道づくりを行っています。

株式会社ワサビ
代表取締役 大久保裕史(オオクボ・ヒロシ)
1975年大阪府出身。リユースのキャリアは前職の小さな古着屋からスタートし、EC興隆期前にノウハウを積み重ね、楽天市場中古部門の初代ショップ・オブ・ザ・イヤーを2年連続受賞。2012年に株式会社ワサビを創業。現在は日本だけでなく海外 × リユース × technologyこの3つに特化した一元管理システムの開発から、日本から世界へとワールドワイドなネットワークでマーケットを拡大中

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