リユース・越境 戦略ガイド

【2026年最新版】貴金属の海外販売で注意したい輸出規制とは?関税・配送ルールも解説

リユース・越境 戦略ガイド 作成 2026-08-12

「貴金属を海外販売してみたいけど、規制や配送のルールが複雑で難しい」

と感じていませんか。

確かに、国内のEC販売と同じ感覚で取り組むと、思わぬトラブルにつながりやすいという側面はありますが、事前にポイントを押さえておけば、リスクをコントロールしながら販売の幅を広げることができます。

本記事では、中古ジュエリーやブランドアクセサリーなどを海外へ販売する際に確認すべき、輸出規制や配送会社のルール、利益を守るための管理方法について解説します。

貴金属とは?

海外販売のルールを見ていく前に、どのような商材が該当するのか、基本的な定義から確認していきます。

貴金属に含まれる主な種類

法律や市場によって定義は少しずつ異なりますが、一般的に以下の金属が該当します。

・金 ・銀 ・白金(プラチナ)

・パラジウム(白金族金属)

・およびこれらの合金

※出典:経済産業省「宝石・貴金属等取扱事業者」 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/hoseki_kikinzoku/ho_7.html

これらは素材としての価値が高く、世界中で取引されているのが特徴です。

リユース市場で扱われる主な貴金属商材

リユース事業において、越境EC販売の対象となりやすいのは次のアイテムです。

・指輪やネックレスなどのジュエリー

・ブランドアクセサリー

・金貨や銀貨

・インゴット(地金)

通関の分類上は「真珠、宝石・半宝石、貴金属、その製品」などとして、同じカテゴリーにまとめられる傾向がありますが、実際の物流の現場では、完成品であるジュエリーよりも地金やコインの方が厳格に扱われることが一般的です。★

※出典:Harmonized Tariff Schedule「Chapter 71」

https://hts.usitc.gov/

なぜ高額商材として扱われるのか

貴金属は、世界共通の国際相場が存在し、小さなサイズでもそれぞれ高い価値を持っています。

また、金銀の価格は、以下のような複数の要因が絡み合って日々変動し続けています。

・投資需要(資産としての保有)

・工業需要(半導体や自動車部品などの用途)

・中央銀行による需要

このように、投資商品や工業素材としての側面も持っている点が、貴金属の最大の特徴といえます。

国際物流においては、小さなアクセサリーでも、高額貨物として分類される場合があります。\

海外販売で貴金属の取扱に注意が必要な理由

次に、なぜこれほどまでに慎重な扱いが求められるのか、背景にある理由を解説します。

税関による確認が厳しくなりやすい

各国の税関にとって、換金性が高く偽装の余地がある商品は、特に警戒される対象となっており、たとえばアメリカの場合、商業目的での輸入において商品の価値が2,500米ドル以上になると、正式な通関手続き(formal entry)が求められます。

※出典:U.S. Customs and Border Protection「What are the requirements for importing diamonds, jewelry, and other gemstones?」

https://www.help.cbp.gov/s/article/Article1137

したがって、価格が高くなるほど、単に荷物を送るだけでなく、しっかりとした証跡を伴う国際取引としての対応が必要です。

マネーロンダリング対策の対象になりやすい

保存性が高く国際的な移動が容易であることから、資金洗浄(マネーロンダリング)やテロ資金供与に悪用されるリスクが指摘されており、日本国内でも、宝石や貴金属の取扱事業者は「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」における特定事業者に指定されました。

200万円を超える現金取引などを行う際には、厳格な取引時確認が義務付けられています。

※出典:経済産業省「宝石・貴金属等取扱事業者」 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/hoseki_kikinzoku/ho_7.html

真贋やブランド権利の確認が重要になる

素材そのものの価値に加えて、ブランドとしての価値が含まれることも多い商材であり、もし偽物や原産地を誤って表記した商品を送ってしまうと、税関での差し止めや没収、最悪の場合はプラットフォームのアカウント停止につながりかねません。

とくにブランドのアクセサリーや時計を扱う場合は、商標や真贋、出所の確かな証明を用意できるかどうかがビジネスの継続を左右します。

配送事故の影響が大きい

物流面においてもっとも懸念されるのが、紛失や盗難が発生した際のコストの大きさです。

多くの国際配送サービスでは、高額商品に対して厳しい制限や低い補償上限額を設けていますが、国内発送と同じ感覚で配送手段を選んでしまうと、「実は補償の対象外だった」という事態に陥るリスクがあると考えられます。

日本から輸出する際に確認したい規制と手続き

ここからは、日本から商品を送り出す際の手続きやルールについて確認していきましょう。

輸出申告と必要書類

通常、商品を海外へ販売する場合は、税関に対する輸出申告が不可欠で、輸出しようとする貨物の品名、数量、価格などを記載した輸出申告書のほかに、仕入書(インボイス)などの書類を添付して提出します。

※出典:税関 Japan Customs「5001 輸出通関手続の概要(カスタムスアンサー)」

https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/extsukan/5001_jr.htm

他法令で許可や承認が必要な貨物については、その許可書等もあわせて提示することが基本のルールとなっています。

国際郵便で送る際の価格基準

小さなアクセサリーだからといって、常に簡単な手続きで送れるわけではなく、国際郵便を利用する場合、価格が20万円を超える郵便物については、原則として税関への輸出入申告を行い、許可を受ける必要があります。

※出典:税関 Japan Customs「価格が20万円を超える国際郵便物の通関手続の見直しについて」

https://www.customs.go.jp/tsukan/yubin/yubin210216.htm

販売価格がこの基準を超えるかどうかが、手続きの負担を大きく分ける境界線といえます。

ワシントン条約など素材由来の規制

金や銀そのものではなく、組み合わされている装飾部材にも注意を払う必要があり、たとえば象牙やべっ甲など、ワシントン条約の対象となっている野生動植物由来の素材が使われている製品は、原則として輸出入が禁止されています。

※出典:環境省「象牙の国外持ち出し規制について(一般の方向け)」

https://www.env.go.jp/nature/kisho/kisei/conservation/ivory/general/

中古ジュエリーを買い取る際や販売する際は、素材の一部に規制対象が含まれていないかを確認するプロセスを組み込んでおくと安心です。

古物営業法や本人確認との関係

商品の仕入れ段階でも、守るべきルールが存在します。

中古の貴金属を買い取る事業者は「特定古物商」に位置付けられ、古物営業法に基づく本人確認や、疑わしい取引の届け出義務を負っています。

越境ECで販売する以前に、適正な買い取り手続きを行っていることが、健全な事業運営の前提となります。

主要な販売先ごとの注意点

輸出先となる国や地域によって、求められる対応は異なります。

主要な市場ごとの特徴を見てみましょう。

アメリカ向け販売

アメリカでは、2,500米ドル以上の商業輸入に対して正式な通関手続き(formal entry)と、税関ボンド(customs bond)の取得が求められており、商業インボイスには商品の詳細な説明や価格を明記し、原則として原産国表示も必要です。

さらに、商品がアメリカに輸入される際、購入者側に輸入関税が発生するケースがあり、関税率は商品の材質や分類(HSコード)、原産国によって細かく設定されています。

そのため、販売前にどの程度の税率が適用されるかを確認し、販売ページ等で「関税は購入者負担となる」旨を明記しておくとスムーズです。

※出典:U.S. Customs and Border Protection「What are the requirements for importing diamonds, jewelry, and other gemstones?」

https://www.help.cbp.gov/s/article/Article1137

EU向け販売

EU圏内へ販売する際は、EORI番号(事業者の識別番号)の取得や、事前の安全保障データ提出(ICS2)などが関わってきます。

EUは関税同盟であるため、輸入関税は商品が最初に到着した国で共通の税率が適用され、ここでも商品分類によって関税率が異なるほか、輸入時には原則として購入者側に付加価値税(VAT)が課されます。

ただし、投資用ゴールドなどは免税となる仕組みがあり、商材の性質によって税金のかかり方が異なるため、販売前に税負担のルールを整理しておくことが重要です。

※出典:Access2Markets「Guide for import of goods」 https://trade.ec.europa.eu/access-to-markets/en/content/guide-import-goods

中国向け販売

中国向け販売では、「個人向けの郵送」か「一般貿易での商業輸入」かによって、税負担や必要書類が大きく変わる点が特徴です。

個人郵送ルートの場合、1個口あたりの上限額が定められており、行郵税と呼ばれる税金が課されますが、一般貿易ルートとなると、通関時にインボイスや契約書などの詳細な書類が求められ、関税に加えて輸入増値税や消費税が課される複雑な体系となっています。

販売チャネルによって適用されるスキームが変わるため、どのルートで送るかをあらかじめ明確にしておくことが実務上のポイントです。

香港・シンガポール向け販売

香港は自由貿易港であるため関税や消費税(VAT/GST)はかかりませんが、14日以内の正確な輸出入申告が義務付けられています。

また、マネーロンダリング対策として特定の事業者は登録制度の対象となりました。

シンガポールでは、ほとんどのジュエリーが関税の対象外ですが、輸入時にGST(物品サービス税)が課されます。

ただし、投資用貴金属(IPM)の基準を満たせば免税となるため、この判定と許可の取得が実務上の分かれ目となります。

※出典:Singapore Customs「Import Procedures」 https://www.customs.gov.sg/doing-business/import-operations/import-procedures/import-procedures-overview/

配送会社ごとの特徴と注意点

商材を無事に届けるためには、どの配送会社を利用するかの判断が非常に重要です。

EMS・日本郵便

手軽に利用できるイメージのある郵便サービスですが、取扱いに厳しい制限があります。 日本郵便では、一部の品目を「貴重品」と定義しており、EMS(国際スピード郵便)では送ることができない代表例として以下のようなものが挙げられます。

・金や銀、白金などの地金

・インゴット

・宝石類

これらはあくまで代表例であり、「貴金属を使った中古ジュエリーがすべて送れない」というわけではありませんが、国によっては書留や保険付小包として送れる場合でも上限金額が定められているため、扱う商材が制限に引っかからないか、事前に確認しておくと安心です。

※出典:日本郵便株式会社「国際郵便として送れないもの」 https://www.post.japanpost.jp/service/send/oversea/attention/restriction/

FedEx

FedExの場合、ジュエリーの標準的な申告価額の上限は1パッケージにつき1,000米ドルに設定され、それを超える価値のものを送る場合は、第三者の保険に加入することが推奨されています。

特別なプログラム(Declared Value Advantage)に加入することで上限を引き上げることも可能ですが、金貨や地金などは対象外となる点に注意してください。

※出典:FedEx「How To Ship Jewelry」 https://www.fedex.com/en-us/shipping/how-to-ship-jewelry.html

DHL

DHLは、国や契約形態によって対応が大きく分かれる傾向があり、 一般的な規約では、金地金などは禁止物品として扱われ、ジュエリーも制限付きの扱いとなることが多いです。

ただし、事前に承認を得ているアカウント保有者であれば、一定の条件のもとで発送が可能になる場合もあります。契約内容でどこまで対応可能なのか、担当者とすり合わせておくと進めやすくなります。

※出典:DHL「What Can You Send With DHL \| Prohibited & Restricted Items」

https://uk.express.dhl.com/what-you-can-and-cant-send/

UPS

UPSも同様に、金や貴金属、ジュエリーなどを制限品目に指定しており、一般的に、ジュエリーは1個あたり500米ドルを超えると受託の対象外となるルールが設けられています。

※出典:UPS「List of Prohibited Items for Shipping」 https://www.ups.com/us/en/support/shipping-support/shipping-special-care-regulated-items/prohibited-items

国別の例外規定もありますが、基本的には低い上限額に引っかかりやすいため、高単価商材を送る際は運用に工夫が求められます。

インゴットとジュエリーでは扱いが異なる

ここまで見てきたように、配送会社は「地金やインゴット」と「完成品であるジュエリー」を分けて考えているケースがほとんどです。

地金や金貨などは金融商品に近い性質を持つため、原則禁止や厳しい契約条件が課されやすいといえる一方、ジュエリーは物販としての側面が強いため、条件を満たせば受託されやすい傾向があります。

貴金属の越境ECで利益を守るためのポイント

実際に事業を運営するうえで、利益を確保するための管理体制について整理します。

相場変動と為替変動を定期的に確認する

金や銀の価格は日々変動しており、為替レートも常に動いています。

仕入れ時の感覚のまま販売価格を固定していると、商品が売れたときには相場が変わっており、利益がほとんど残らないといった事態になりかねないため、定期的に定価を見直す仕組みや、為替を反映させるルールを決めておくことが不可欠です。

インボイスは具体的に記載する

通関時の事故やトラブルを回避するうえで、インボイス(仕入書)への正確な記載が重要なポイントになります。

たとえば、品名を単に「Accessory」と記載するだけでは不十分とみなされるリスクがあります。「Used 18K gold ring / 1 pc / 6.2g / with diamond / origin JP」のように、以下の項目を具体的に明記することが求められます。

・材質と純度

・重量

・数量

・中古か新品か

・原産地

商品の情報を日頃から整理し、正確に申告することがスムーズな通関につながります。

真贋情報や商品情報を整理する

ブランドアクセサリーなどを扱う場合、インボイス情報の整理とあわせて、商品の真贋や由来を証明できる情報の管理が不可欠です。

偽物や原産地を誤って表記した商品を送ってしまうと、税関での差し止めや没収、アカウント停止のリスクが高まるため、仕入れの段階から、ブランドの付属品や刻印の確認、修理歴などの情報を正確に記録し、いつでも証明できるようにしておくことが安全な運営につながります。

在庫ズレや売り越しを防ぐ

複数のモールで同時に商品を販売している場合、在庫の売り越しはもっとも避けるべきリスクであり、高額商材である貴金属は、以下のような要因による影響が一般商材よりも大きくなります。

・相場や為替の価格変動

・複数モール間での在庫ズレ

・手作業による利益計算ミス

もし売り越しが発生すると、再調達が難しいうえに、大きな損失やアカウントの評価低下につながりかねないため、複数モールで販売している場合は、在庫連携や利益管理を効率化できる仕組みを活用すると運営しやすくなります。

たとえば、越境ECと国内ECをまとめて管理できる「ワサビスイッチLITE」(https://wasabi-inc.biz/world-switch/lite/)などを導入し、在庫の自動連携や価格調整の負担を軽減するのも一つの有効な手段です。

FAQ

Q. 貴金属は海外発送できますか?

A. 可能ですが、税関への申告手続きや、配送会社が定める金額の上限・品目制限などの条件を満たす必要があります。

Q. 金のインゴットはEMSで送れますか?

A. 金のインゴットなど、貴重品に該当するものはEMSで送れません。

日本郵便では、加工の有無を問わず金・銀・白金や宝石類などを貴重品として扱っているため、発送前に対象品目を確認しておくと安心です。

Q. 貴金属の輸出に許可は必要ですか?

A. 通常の販売であれば税関への輸出申告を行いますが、特定の経済制裁国向けや対象貨物にあたる場合は、外為法に基づく財務大臣・経済産業大臣の許可が必要になることがあります。

Q. 中古ジュエリーも輸出できますか?

A. 輸出可能ですが、ワシントン条約で規制されている象牙やべっ甲などの素材が使われていないか、事前に確認する必要があります。

Q. 貴金属を海外販売すると購入者に関税はかかりますか?

A. 国や商品分類によって異なり、輸入時に関税やVATが発生する場合があるため、販売前に対象国のルールを確認しておくと安心です。

まとめ

ここまでの内容を整理すると、以下のようになります。

**・貴金属は高額で換金性が高いため、税関や配送会社のルールが厳密に定められている

・インボイスへの正確な記載や、20万円などの価格基準に応じた通関手続きが必要になる

・在庫の売り越しや相場変動による利益の目減りを防ぐため、一元管理の仕組みが重要となる**

貴金属は魅力的な商材である一方で、丁寧な管理体制が求められるため、まずは、取り扱う商品の輸出条件や配送手段のルールから確認してみましょう。

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