海外リユース探訪記

【クーボンの海外リユース探訪記 Vol.20】アジア編ーフィリピン

海外リユース探訪記2024-01-11

危険な香りとファミリー感が同居するニセモノデパート

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フィリピンでは、いいかげんなマーケットもちらほら見かけました。例えばサン・フアンにある「グリーンヒルズ・ショッピング・センター」は、一見すると日本でもよく見かける複合商業施設。施設内には映画館やレストラン等もあり、ある意味ファミリーのお出かけ先に適しているかもしれません。警備員も複数人常駐しており、セキュリティ面も安心です。

海外有名偽ブランドに混じるユニクロの偽物

ユニクロの偽物。フィリピンでは高級ブランドとして認知されている

しかし、辺りを見回せば売られている品々がニセモノだらけでビックリ。あからさまな偽ブランド品や偽キャラクターグッズがそこら中に陳列されています。その中に「ユニクロ」のニセモノが混じっていたのは興味深かったですね。慣れ親しんだ服が、グッチやシャネルといった有名海外ブランドの偽物に混じって販売されているのは、不思議な光景でした。

サン・ニコラスの「ディビソリアマーケット」もまた同様で、さまざまな偽物が溢れ返っています。外側には露店も並ぶ非常に大きな市場であり、電化製品から食料品までなんでも売られているのですが、偽物もたくさん売られてしまっています。

持ち逃げが怖いECは代引きが主流

アジア各国ではSNS上で商品を売買する「ライブコマース」がブームとなっていますが、フィリピンも同じです。長い雨季によって発生する損失をカバーできる点が注目されています。特にFacebookのマーケットプレイスがよく利用されており、ライブ配信機能を活用した展開が盛んです。

若年層の間ではTikTokのほか、シンガポール発の「Shoppee(ショッピー)」、手厚い返品保証が自慢のAlibaba系列「Lazada(ラザダ)」などが人気。興味深いのは、ほとんどのユーザーが代金引換決済を選択していること。実はフィリピンでは首都であるマニラですらクレジットカードの普及が遅れています。その原因は、「先に代金を支払っても持ち逃げされてしまうんじゃないか」という信用の問題もあるようです。

ショッピングアプリを利用した越境ビジネスを行っている方がいらっしゃればくれぐれも注意していただきたいのですが、もしフィリピンの利用者をターゲットとして商品展開を行ったとしても、代引きに対応していなければ、効果はほとんど見込めません。

一方、デジタルな決済に比較的抵抗のない層がフリマアプリ等でショッピングをするときは、代引きに加えて「GCash(ジーキャッシュ)」と呼ばれる電子決済をしばしば利用します。これはフィリピン版「ペイパル」のようなもので、第三者が取引の安全を確保する「エスクロー(取引保全)」が採用されており、慎重派なフィリピンの人々も安心して利用できるセキュリティ性の高さが特徴。外国人でも現金によるチャージが可能なので、最近は日本からの留学生や長期滞在者が頻繁に使用しているようです。

私見ですが、日本人がフィリピンで本格的にリユースビジネスを成功させるのは、そう簡単ではないように思えました。リユース事情や国民性をしっかり理解しており、なおかつ家族的な信頼を寄せられるパートナーを見つけられるかが要となるでしょう。

では、コンテナで価値のない品を適当に送っていればそれなりの利益が得られる市場かというと、そうでもありません。やはり、現地でオークションを主催するなどしてガッツリ本格的に、地に足のついたビジネス展開を行わなければ損を被るだけでしょう。

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