拡大する中東市場でシェア2位 攻勢を強めるEC noon.com

海外EC調査部2022-06-21

概要

noon.comは、UAE（アラブ首長国連邦）とエジプト、サウジアラビアに展開するECプラットフォームです。
以前ここでAmazon.ae（Souq.com）について取り上げましたが、この中東Amazonに次いでシェア2位に位置するのが今回ご紹介するnoon.comです。
最近の目立った動きとしては、noon.comはコロナ感染拡大真っ只中、2020年3月に世界最大の商業施設「ドバイ・モール」と提携。
同時にサイト内に「ドバイ・モール・バーチャルストア」を立ち上げ、好評を博しています。
また2022年に入ってからはロボット配送にも力を入れており、攻めの姿勢を崩していません。
中東地域のEC市場規模は2025年には25億米ドルにも達すると言われ、今後の伸び代に期待できる場所です。
この記事内では、noon.comの詳細と今後の可能性について解説していきます。

noon.comとは

デジタル機器、美容、ファッション、キッチン用品や食料品などの生活必需品など幅広く扱うECです。
試しに日本製品を探してみると、既に海外ECでもお馴染みのポケモン、koseなどの製品も出品されています。雪肌精、SK-IIなど見慣れたラインナップです。

日本製品の需要はどれほどなのか

noon.comスタッフのインタビューによれば、「サウジアラビア、UAEの人々の日本製品に対するイメージは「高品質、高技術、高い信頼性」で、需要は高い」と語られています。
デジタル家電、美容関連（基礎化粧品など）、ホーム＆キッチンなどのニーズが予想され、既に無印良品などが成功している前例を見ると、潜在的な需要は大きいのではないでしょうか。
また日本を代表するコンテンツ・アニメーション作品についても、近年は公式配信サイトの影響により、タイムラグが無い状態で人気が出ると語られています。日本で人気の作品は現地でもほぼ同タイミング、同作品が見られていると想定して間違い無さそうです。
これは越境ECにも影響を与える大きな変化です。

中東地域における出店の注意点

コロナ禍において中東地域では厳格な外出制限が行われており、必然的にECショッピングの需要が増え、急激に発展を促された経緯があります。

しかし日本から何らかの形で出品、販売をする場合には、中東地域における国単位での文化の違い、国民性、法律などを念頭に置く必要があります。
ここでは中東の中でもEC規模の大きいサウジアラビア、UAEの2カ国について解説します。

サウジアラビア

GCC加盟国（UAE、サウジアラビア、オマーン、バーレーン、カタール、クウェートの6カ国）の中で、EC規模と人口（3,500万人）共に最大の国がサウジアラビアです。
また自国民の中で富裕層が多く、人口全体の約6割にも上ります。
スマートフォンの普及率も高く、EC市場の発展に必要な国民の購買力については十分すぎるほどの土壌です。

自国民（サウジ人）が73％の割合を占めるため、ターゲットは自国民を前提としてマーケティングする必要があります。

UAE（アラブ首長国連邦）

人口は約1,000万人とサウジアラビアをかなり下回りますが、EC規模としてはGCC加盟国の中で2位に位置しています。
また国民は自国民以外にもインド人、フィリピン人、欧米人など様々な人種で構成されており、イスラムの戒律もサウジアラビアに比べ比較的緩やかです。

日本からは直接の出店はできない

noon.comは、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、中国、エジプトのいずれかに拠点がないと出店はできません。
また仮に出店する場合には、国単位で申請方法が異なるため、販売する国が異なればその都度申請する必要があります。

最後に

中東地域は人口の平均年齢が28.9歳と非常に若く（2020年時点の中東・北アフリカ（MENA）地域の平均年齢）、スマートフォンやSNS、インターネットに馴染みやすくECショピングにも親和性のある環境となりつつあります。
東南アジアと同じく、人口の中心が20代という点から今後の伸び代、日本国内以上に需要のあるカテゴリ（ベビー用品、ファッション、化粧品類など）があると予想もできます。
ただ日本とは全く異なる文化、宗教、法律がそれぞれの国単位で存在するため、現地との連携が重要です。
今すぐではなくとも、ターゲットとして視野に入れ、準備・検討するのも良いかと思います。

参考：
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2020/1202/0f3a8a2c593266fb.html

https://sell.withnoon.com/
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2020/1202/216e502b6900e6b6.html
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/saudi/data.html