Vestiaire CollectiveがTradesyを買収、その狙いとは?
お知らせ2022-03-29
2022年3月15日、ヨーロッパファッション界のリセールEC Vestiaire Collective(ヴェスティエール・コレクティブ)はアメリカにおける同業界のパイオニア、Tradesy(トレードシー)の買収を発表しました。
これにより両社合併後の規模は、2,300万の顧客数、500万のアイテム数、および10億ドルを超える総商品価値となります。
Vestiaire Collectiveはフランスのパリ本社を起点に、その他アメリカ、イギリス、香港、シンガポールにも認証センター(ハイブランドの真贋鑑定センター)とロジスティクスセンターを構えており、80か国を超えるユーザーに商品を提供しています。
Vestiaire Collectiveの特徴は認証技術です。
購入時に認証オプションを選択した顧客は認証センターでの真贋鑑定・品質検査を事前に受けた商品を受け取ることができます。
一方、Tradesyはロサンゼルスを拠点にアメリカ国内のみで700万人以上の顧客にサービスを展開していますが、ユーザーは同社商品・サービスに関して平均4.77つ星という高い評価をつけており、古着サイトでは1位にランク付けされています。
ハイブランド売買で重要となる真贋鑑定サービスに関しては、購入後90日以内に本社に商品を送付する手順で行われ、無料ではあるものの利便性には欠けている印象です。
買収の狙いとは
Vestiaire Collectiveは、従来はヨーロッパ市場を主軸として展開していましたが、過去2年間でアメリカでの売上高は年間平均75%増加しています。
今や米国をコア市場と位置付けており、同社にとっては米国内で2番目となるロサンゼルス認証センターの開設も発表しています。
更にアメリカでのプレゼンスを高めたいVestiaire Collectiveは、今回の買収でTradesyが持つアメリカにおける強力なマーケティングノウハウ、豊富な顧客を取り込むことを実現しました。
一方、TradesyはVestiaire Collectiveが持つ認証の専門知識とグローバルな供給能力を活用することができるようになりました。
Tradesyの利用者はアメリカ国外の顧客にも販売機会を得ることができるようになると同時に、国内で関心の高いヨーロッパブランドの購入機会も拡大されます。
2021年には2億米ドルを超える資金調達も完了し、今まさに急成長を遂げているVestiaire Collective傘下に入ることは、Tradesyにとっても魅力的な提案であったに違いありません。
まとめ
リセールファッション市場は2028年までに640億ドル、世界規模ではファストファッションの2倍の市場規模に成長すると予測されています。また同業界ではPoshmark、The RealReal、Mercari、Thredup、Ebayなども近年急速な成長を遂げました。
他にも、高級ブランドを取り扱うFarFetch、Net-a-Porterも再販サービスの提供を開始し、激しい競争にさらされています。
その最中、アメリカのEtsyは2021年6月に16億2,000万ドルでヨーロッパのDepopを一足早く買収し、世界規模での競争力の強化が急務となっていました。
今回Vestiaire Collectiveはアメリカ市場での最大の競合相手を敵対的買収したかのようにも見えます。しかし大局的に見ると、両社にとってはwin-winの合併であり、今後ファッションリセール市場を生き抜いていくために必要な買収であったことには間違いなさそうです。
参考サイト:
https://www.highsnobiety.com/p/vestiaire-collective-tradesy-acquisition/
https://fashionista.com/2022/03/vestiaire-collective-acquires-tradesy
https://www.voguebusiness.com/companies/vestiaire-collective-buys-tradesy-as-resale-consolidates